そう、そんな甘いものではなかった。
黒いロボットは何故かほぼ棒立ちっていえる程動きが鈍く、2対1って事もあり一方的にやられていた。
ラジエッカーが牽制はしているが、殆ど無視に近い扱いで、まずはロボを倒すと決めてかかっているようだ。
そして、士達の方に、黒いロボットは倒れ込んで来た。
かわす事は出来た一同だったが、問題はそれからだった。
倒れたロボを狙った攻撃で、辺り一面に火柱が立ち、爆風が砂塵を巻き上げ、1メートル前すらろくに見えない状態に陥ったのだ。
更に、悪い事は重なる。
もうもうと立ち込める煙の中から、大量の魔化魍が現れて、彼等を攻撃してきたのだ。
一反木綿のような飛行種あり、化け蟹のような大型種あり。
「地下に封印でもされていたものが、今の騒ぎで封印が解けた…そう考えるしか…」
騒ぎの中、それでも黒いロボットは何とか立ち上がり、それに伴って地上への攻撃は止んだ。
ロボットが立ち上がるだけのチャンスを作ったのは、ラジエッカー?否、そこにはチェンジロボの姿が有った。
こちらは黒いロボットとは違い、普通に動いてはいる。頭数では3対2と逆転。しかし、やはり2対1の形で劣勢のようだ。
黒いロボットは相変わらずマトモには動かず、ラジエッカーの攻撃もあまり効果はなかった。
そして士達は、そんな戦いをゆっくり観察している暇はなかった。目の前に魔化魍の群がいるのだから。
とは言え横目にロボットの戦いはチェックを続ける。
すぐ横でデカブツがあるのだから嫌でも目に入るし、踏み潰されたり押し潰されたりするのが嫌なら気にせざるを得ない。先程潰されかけたばかりなのだから。
既に一向は変身していた。
流石に鬼達は対魔化魍のプロ、1体ずつ手際良く数を減らしていく。
残るは大物1体。
「ちょっとくすぐったいぞ」
響鬼となったアスムをFFR(ファイナルフォームライド)させて、一気に決着を目論むディケイド・士。
ヒビキアカネタカが飛び立ったその時、またもオーロラ?が一行を横切った。
お構い無しに化け蟹に一斉攻撃。化け蟹も塵と化して浄化された。
ロボット達の戦いはオーロラ?の向こうに霞んで見える。
「どうやら、『響鬼の世界』に戻れたようだな。
変身を解く(鬼達は顔だけ)一行。
そこに警笛とブレーキ音が響いた。
「侑斗、侑斗、こんな所にいたんだね、探したんだよ」
「俺は侑斗なんて名じゃねー、人違いだ、化け物」
ゼロライナーから降りてきた、カラス天狗のような姿のイマジン・デネブが鬼の一人にまとわりついた。
「アスム、アイツの名前、何て言うんだ?」
「僕と同じ音撃鼓の戦士で凶鬼、本名、桐谷キョウスケさんです。」
「全く、世界の融合とは別に、勝手に何処でも現れるからな、あの電車連中。」デネブを説得して、アスム達に別れを告げて士はチェンジマンの世界に戻ってきた。迷惑料としてゼロライナーで送ってもらった。
本者の櫻井侑斗が何処に居るかという新たな謎は有るが、目の前の事一つ一つが大切だ。侑斗の事はデネブ達の問題、彼等自身で何とかして貰おう。
そんな士がチェンジマンの世界にわざわざ帰ってきた理由…それは自分の帰る場所・光写真館が今現在そこに在るからだった。
一緒に来た海東は
「やっと協力する気になったんだね、士」
と、勝手に勘違いして妙に機嫌良いが、知った事じゃない。海東にとっては、お宝が在るから行きたいだけだ。ラジエッカーを諦めてないらしいが、アスムから貰った人形に関する何かを探す必要もあるらしい。
が、まずはロボット達の戦いだ。終わってないのは見えていたがあれからどうなった。
海東にとっては二重の意味で現場だが、士にも立ち寄る理由はあった。
戦いに手を貸す理由は無いが、この世界に来た時、電撃戦隊の制服を着ていたのだ。未だ何か為すべき事がある筈だった。
まさかあの場所で、アスム達と再会するのがこの世界での仕事だとは、士には思えなかった。
「俺は未だ、此処では何もしていない」
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テーマ:裏設定 | 投稿日時:2010/01/02 19:53 | |
TCGカテゴリ: レンジャーズストライク | ||
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