/(^゜ω゜)\<フィーカスの徒然日記は君が投げて捨てちゃったじゃないかww

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【小説】PCP-完全犯罪党―

 退屈な授業に退屈な生活。
 そんな退屈な世界に住む僕は、なんて退屈な存在なのだろう。
 世界はもっと楽しくあるべきで、楽しくできるべきだ。
 もちろん、友達と遊ぶのは楽しいし、ゲームだって楽しい。
 でも、それは安全なものの中での楽しさでしかない。
 もっと、わくわくするような、スリルを感じるような。
 きっと、そう考えながらも、誰もが安定を求めて臆病になるのだろう。

 世の中は犯罪でまみれている。
 強盗、殺人、放火、強姦、窃盗……
 どれもこれも、迷惑なものだ。
 あるときは自らの欲望を満たすため、あるときは憎い相手の存在を否定するため、あるときは誰かに依頼されて。
 中には、その犯罪を”芸術”と呼ぶものもいる。
―完全犯罪―
 自らの犯した罪が、永遠解決されないという優越感。それを追い求めるために、あるいは罪を犯すものもいる。
 しかし、当然ながら、そのようなことを行うことは非常に難しい。解がありながら解が無いような、さながら難解なパズルを作るようなものだ。


 4時間目の授業が終わるチャイムが鳴り響く。ここ在阪(ざいはん)小学校の児童たちのうち、給食係を任された人はすぐさま給食の準備に取り掛かった。残りの児童は、机を給食モードに切り替え、配膳のときを待ち構える。
 小学生にとって、この給食の時間は楽しみな時間でもあり、じれったい時間でもある。なぜならば、この後には長時間勉強という拘束タイムから開放される、昼休みが待っているからだ。その昼休みを少しでも長く取るために給食をさっさと平らげる人もいれば、唯一の食の時間を楽しむ人もいる。
 そんな児童たちが思い思いの時間を過ごす頃、5年3組の児童の一人、道本真(どうもとまこと)は、周りの友達と雑談をしながら、その視線は別のところに向かっていた。
 真には一つの楽しみがあった。
 その言葉を聞いたのは、小学校に入って間もない頃だっただろうか。推理ドラマを見ている際に聞こえてきた”完全犯罪”という言葉。罪を犯しながら、それが決して解決されないと言う芸術的な言葉。いつかは、そのような芸術を、自分の手で行いたいとも思った。
 しかしながら、さすがに殺人や強盗などというとんでもないことをやるのはごめんだ。ならば、小学生でも出来る、そんな犯罪ではなく、ちょっと人を困らせるようなことをやってみようと考えていた。
 たとえば、この給食の時間。給食が終われば児童たちはさっさと教室の最前列に並べられた、給食用の長机へと片付けに入り、8割ほどはすぐさま楽しみだった昼休みの遊び場の争奪戦の参戦する。給食係も、全員の給食が終わらずとも片付けられるところは片付けてしまうことだろう。あるいは、残りの2割は、給食が終わってもなお、教室から出ずに席に戻る人もいる。この教室でいえば、奥の席に座っている高橋君がそうだ。彼は自分の席に戻ると、勉強する振りをして休み時間をやり過ごす。彼が給食の片づけを行っている間に、自分の食器をその席の上に置いたとしたらどうだろう。
 給食の時間終了前に、かなりの児童がじれったい時間を終え、すぐさま片付けて教室から出て行った。高橋君は食べ終わってはいるものの、まだ食器を片付ける様子は無い。
 やがて、給食終了のチャイムが鳴り響くと、彼はゆっくりと席を立ち、片付けに取り掛かる。
 それを見ていた真は、同じく自分の食器を手に取る。―が、向かう先は長机ではなく、高橋君の机。周りの児童は、片付けに集中しているか、友達と話していてこちらには気がつかない。
 不自然な動きなく、誰も気がつかれず、そっと自分の食器を高橋君の机の上に載せ、ゆっくりと教室を離れようとする。
 扉の前に差し掛かったとき、ちょうと高橋君が自分の机に戻ってきた。
「……えっ?さっき片付けたのに……」
 かすかに振り返りながら、真は彼の反応をみてにやりとした。
―完全犯罪成功。
 そう思い、教室を出て行こうとした瞬間、目の前で一人の児童がこちらを見ていることに気がついた。同じクラスの徳永実(とくながみのる)だ。彼は何を言うこともなく、こちらをしばらく見つめていた。まるで、「全て見ていたぞ」と言わんばかりに。そして、すぐさまグラウンドに向かっていった。
 ……見られていた。僕がやることを全て。せっかくの完全犯罪が、これでは不成立。

 授業終了のチャイムが鳴ると、真は友達とどこかに遊びに行くこともなく、用事があるからといってすぐさま帰宅した。
「……ただいま」
 両親が仕事でいない家に、帰宅の報告を力なく伝え、とぼとぼと自分の部屋に戻る。
「徳永君……まさか、いままで行った完全犯罪も、全て見られていたということだろうか?」
 安田君の漢字ドリルが何故か全て終わっていたことも、授業中にスズメが乱入して授業が中止になったことも、全て、完全犯罪と思っていたことが、不完全犯罪―
 だが、たとえ見られていたとしても、誰にも話さずに黙っていた。一体、何が目的なのだろうか?

 実のことが気になった真は、翌日から実の観察を行うことにした。すると、なんと昨日自分がやったこと―すなわち、給食の片付けに入った児童の机の上に、自分の食器を置くという”犯罪”を行っているではないか。
 さらに学校が終わった後、気がつかれないように実の後を追うと、実もまた、同級生の北村君を追っていた。
 尾行。真も、任意の相手を尾行したことがある。これも完全犯罪だと思い込んでいたが、見られていたのだろうか。
 次の日も、実は上級生を尾行していた。そして、給食の食器も。まるで、自分が行った”完全犯罪”を、別の人の視点で見ているような感覚だ。
 そうやって尾行を続けて1週間。授業終了後に、それは起こった。
 終業のチャイムが鳴り、帰宅の準備をしていると、実は真の机にやってきた。
「道本君、このあと、ちょっといいでか。ここじゃ何ですので、屋上へ」
 実は初めて真に話しかけた。
「う、うん、そうだね」
 話の内容はおおよそわかっている。周囲に違和感を覚えさせないように、自然と教室を出る二人。とうとう、自分がやった”完全犯罪”が暴かれるのだろうか。

 夕方といえども、快晴の空は青く、日光は容赦なくコンクリートや真たちを照りつける。ようやく梅雨時期を抜け、もうすぐ真夏なのだと実感させられる。たしかに周囲の気温は高いのだろうが、屋上に吹き抜ける風がその暑さを緩和してくれて気持ちがいい。フェンスから下を覗くと、帰宅している児童たちがそれぞれの家路へと向かっているのが見えた。あるいは、グラウンドを見ると、課外のクラブ活動をしている児童や先生もいる。
 フェンスを高く張り、安全を重視しているためか、屋上は自由に出入りできる。時々、これでいいのかと思うくらいだ。そんなことを少し思いながら、真は実に真意を聞いた。
「徳永君、話って?」
「ミノル、で結構です。道本君、君に手伝って欲しいことがあるんです」
 フェンスを眺めながら真を見ずに話す実。その実の言葉で、グラウンドから聞こえる声が、一瞬途絶えた気がする。
「手伝って欲しいこと?」
「そう。校長先生の机の上に、これを置いて欲しいのです」
 手渡されたのは、ピンク色の包み紙に包まれた、一辺20センチほどの立方体。丁寧にピンクのリボンまで添えられている。
「……何だ?これは」
「今日は校長先生の誕生日らしいです。なので、ちょっとしたプレゼントをと思いまして」
 今まであれほどのこと―もっとも、真のやっていたことだが―をやっている実がやることだ。どうせ中身はろくでもないものだろう。
「そんなもの、校長先生に直接渡せばいいじゃないか」
「確かにそうですが、しかし、本当はわかっているのでしょう?」
 急に真に迫ってくる実。持っているピンクの箱が妙に不自然だ。くだらないことだとその場を立ち去ろうとしたとき、
「完全犯罪」
 その言葉に、真はピクリとした。
「―やってみたいと思いませんか?本当に誰にもばれず、誰にも何も言われない、完全犯罪を」
 “完全犯罪”をやってみたいという思いと、これからやろうとすることの不安が交錯する。
「……か、完全犯罪だって?何を言っているんだい?そもそも犯罪なんて……」
「隠すことはないですよ。給食のときのことも、尾行のことも」
 だめか。やはり今までやってきた”完全犯罪”はすべて実にばれている。
「……わかった。しかし、何でそんな包装なんだ?」
「やる気になってくれたみたいだね」
 にやりとする実。真は観念したように、ふぅ、とため息をついた。
「もちろん、ただプレゼントするだけじゃ面白くないです。そのためのこの包装ですよ」
 真は何が言いたいのかわからず、ただじっとピンク色の箱を眺めていた。
「たとえば、これが自分の机に入っていたら、プレゼントの主はどんな人だと思いますか」
「……そうだな、こんな丁寧でピンク色の包装をしているのだから、同じクラスの女の子の誰かだと考えるだろう」
 丁寧に赤いリボンで包装された箱をさまざまな角度から見ながら、真は自分がもしこのようなプレゼントが置かれていたらということを想像した。その様子をみて、実は口元をにやりとつりあがらせる。
「そういうことです。もしこの箱が校長先生の机の上にこっそり置かれていたら、校長先生は誰からのプレゼントだと思うでしょうか?」
 実は、持っていた箱を、地面を机に見立ててそっと置くそぶりをした。
「そうだな……女の先生のだれか……かな」
「ええ、恐らくそう考えるでしょう」
 ようやく、実の言いたいことがわかった。つまりは―
「この箱を校長先生の机の上に置く。校長先生はその箱を見て、女の先生の誰かからのプレゼントだと思う。そして、御礼をするために、とりあえず手当たり次第聞いてみるが、誰も知らない。困る校長先生、それを見てにやりとする私たち―ということです」
「ずいぶんとせこいことするな」
「そうでしょうか。今まで徳永君―」
「僕もマコトでいいよ」
「いえ、私は呼び捨てというものが苦手ですので」
 まるで育ちが良い家で育ったような丁寧な口調が、妙に小学生らしくない。
「とにかく、徳永君も同じようなことをやっていたでしょう?」
 今までやってきたことを思い出しながら、たしかにそうかもな、と納得する。青かった空が、徐々に赤く染まっていく。ずいぶんと時間が経つのが早く感じる。
「作戦は今日―といいたいところですが、今日は生憎校長先生はずっと校長室にいますからね。明日の放課後ではどうでしょう?」
「明日なら大丈夫なのか?」
「校長先生の行動は調査済みです。明日は午後4時までは学校に帰ってこないそうです。明日は5時間目で終わりですので、掃除を含んでも私たちが終わるのは午後3時。そこでさっさとコトを起こせば、ミッション終了です」
 実の計画を静かに聞く真。その計画を聞いていると、徐々にワクワクしてきた。
「……で、僕がその箱を机に置く間、ミノル、お前は何をするんだ?」
「見張りですよ。校長先生が戻ってこないか、校長室の前に人が来ないか……ということの」
 なるほど、それで2人か。だったら僕が見張りでもよくないか?とも考えた。が、今での行動を見ていてのその役割分担なのだろう。そう思い、真はその件について突っ込むのはやめた。
「さて、作戦実行のために、これを渡しておきましょう」
 実は小さな機械を、真に手渡した。
「これは?」
「小型のトランシーバーですよ。もちろん、明日の作戦のために準備しました」
「……いったいどこから準備したのだ?」
 そんな疑問を真が抱いたところで、下校を知らせるチャイムが鳴った。
「まあ、どこでもいいじゃないですか。とりあえず、続きは明日にしましょう」
 そういうと、不自然なピンクの箱を持ち、また明日、と実は屋上から去っていった。


 作戦開始の当日。終業のチャイムがなると、すぐさま真は友達の誘いを断り、実との待ち合わせの場所に向かった。場所は、職員室前。実が、職員室に用事があるから、とのことだ。
 2階にある職員室に向かうと、ちょうど実が職員室から出てきたところだった。4階にある5年3組の教室からは少し距離があるが、何故か実のほうが先に職員室にいた。そういえば、帰りのホームルームの時間、どこに行っていたのか、実の姿を見ていない。
「来ましたか、道本君。ちょっと準備が必要ありましたので。ホームルームは先生に”ちょっと体調が悪い”と言って抜けさせてもらいました」
「で、何で職員室にいるんだ?」
「準備の一環です。まあ、最終確認とでも言いますか。さて、では校長室に行きましょう」
 何かを隠しているような素振りを見せながら、実は校長室へ向かっていく。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ」
 あわてて実を追いかける真。一体、この作戦はうまくいくのだろうか―

 校長室は1階の奥にある。わりかし生徒の出入り口も近いので、人の出入りが多いのだが、帰りのこの時間に校長室のほうに向かう児童はいないだろうし、校長室に用事がある児童もいないだろう。ましてや、今日は校長先生はこの時間学校にはいないのだ。
 唯一の懸念は、校長室の近くにある保健室。ここの出入りが激しいと作戦に支障が出るのだが、この点も既に実がリサーチ済みだった。保健室の先生も、今日は休みなのだ。
 作戦の内容はこうだ。実は校長室の近くを見張り、児童や先生が作戦中に通ってないかを確認する。人がほとんどいなくなってから、真が校長室に侵入する。ちなみに校長室は校長先生不在の間も、学校の鍵が閉まらない限りは開いている。それを聞いていると、真はこの学校はいろいろ大丈夫なのだろうかと不安に感じている。それはともかく、校長室に侵入したら扉を閉め、速やかにプレゼントのピンクの箱を机の上に置く。後は、トランシーバーからの実の合図で、校長室から脱出するだけだ。
 入るときはともかく、出るときは外の様子がわからない。うっかり出るときに先生に出会おうものなら、長時間問い詰められるだろう。だが、実が周囲を見張っていれば、その心配もなくなる。真が校長室にいる間、実は携帯電話をいじりながら周囲を見張る。いまどきの小学生なら、携帯電話を持っていても不思議ではないだろう。もっとも、授業中は当然使えないが。
 真と実は、校長室が近い階段の近くで、おしゃべりをしている振りをしながら機会をうかがった。数分後、人が通らなくなったところで真が校長室へ侵入。
「……もういいでしょう。後は任せました」
 あまりもたもたしていると、人が来てしまう。階段から校長室までの距離はそう離れていないため、真はすばやく進入し、すばやくドアを閉める。
 校長室は他の部屋と大きく異なり、絢爛豪華な装飾が施されている。壁にはいくつもの賞状が並べられ、棚にはトロフィー、机のそばには優勝旗が置かれている。
 もっとも、これらは全てが校長先生のものではなく、クラブ活動やコンテストなどで児童が取ったものがほとんどだ。優勝旗にいたっては、運動会用の優勝旗が1つ。
 それらの賞状、トロフィーを眺めて、うちの学校って結構すごいんだな、などと思いながら、こんなところには長居は無用とばかりに、すぐさまプレゼントのピンクの箱を机の上に置く。
 ポケットに忍ばせたトランシーバーを手にし、実にミッション成功の知らせを入れることにした。
「ミノル、ミッションは終わった。後はここから出れば……」
 そうい言いかけた瞬間。
「道本君、すぐにどこかに隠れてください」
 隠れる?一体何が起こったと言うのか。
「校長先生が戻ってきました。今校長室に向かっているところです。あと数秒で入りますので、急いでください」
「な……!?」
 時刻は午後3時半、まだ校長先生が戻ってくるのは早い時間だ。一応、物が多いので隠れる場所はあるが、それにしてもこのままでは校長先生が帰るまでずっと隠れていなければならない。
 しかも、このまま校長先生が帰ることになってしまっては、校長室の鍵も閉められてしまうだろう。そうなったら、脱出手段は無い。
 窓から出るか―しかし、外はグラウンド。こんなところから出たら目だって仕方が無い。
「と、とりあえずどこかに隠れる。脱出ルートはないのか!?」
「……」
 とうとう返信さえ来なくなった。恐らく、誰かと話しているのだろう。ひとまず、入口付近においてある空の段ボールに隠れる真。
「くっ……どうすれば……」
 こつこつと迫り来る足音。ふっと足音が鳴り止んだと思うと、校長室の扉が開いた。
―――――――――――――――――
うーん、PCPってこんな話なのだろうか?

登録タグ: 小説  PCP-完全犯罪党― 

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テーマ:小説投稿日時:2011/10/09 01:20
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