/(^゜ω゜)\<フィーカスの徒然日記は君が投げて捨てちゃったじゃないかww

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【小説】私立ToCaGe学園3

第3話:保健室のプチ天使

このToCaGe学園も、一般の学校と同様の施設が備わっている。
たとえば体育を行う体育館や職員が仕事をする職員室、プールや運動場、音楽室なども備わっている。別に、「リザード・ソサイエティ」ばかりやっているわけではないのだ。
普通の生活を行うには、当然一般教養が必要となる。一応カードゲーム特化の学校といえど、その辺は普通の学校と同じだ。
さて、この学校は運動が苦手な人が多いせいか、結構けが人が多い。保健室では、毎回生徒がなにかしら怪我をしてやってくるのだ。少なくとも、1日3人は目撃している。
保健室には保健看護の先生も駐在しているが、それだけでは手が足りないこともある。そこで、休み時間はもちろん、授業中でも、保健委員会の委員が保健室にいることがある。
その中でもひときわ献身的なのが、鳳いつもだ。私は「つもちゃん」と呼んでいる。「女っぽいからいやだ」などという理由でスカートははかず、いつもジャージ姿だ。しゃべり口調も男っぽく、ボーイッシュな女の子の典型だ。
その見た目とは裏腹に、けが人や病人に対してはそこらの女生徒よりもよっぽど親切に振舞う。さすが、保健委員といったところか。
しかし、その献身的な性格が災いし、自ら怪我をしたことがある。というのも、自宅でカードゲームのアニメを見ていたところ、主人公が怪我をしたのを本気で心配し、テレビに激突したことがあるのだ。その光景は、傍から見れば何をやっているのだと驚くことだろう。

今日も男子生徒が怪我をして保健室にやってきた。どうやら、昼休み中に遊んでいて転んだらしい。
「どうした、怪我か?私に見せてみろ」
つもちゃんは、怪我をした男子生徒がジャージをめくるより早く、足からジャージをめくり、怪我の具合を確認した。
その後、消毒液や絆創膏を駆使し、あっという間に処置を終えた。このスピードは、保健室の先生も唖然とするほどだ。
「元気に遊ぶのはいいが、あんまりはしゃぎすぎるのは良くないな。なんと言っても、自分の体はすべての資本だからな。あんまり無理はするなよ」
下級生に対しても上級生に対しても、あまり男口調に変化はない。それが彼女のアイデンティティーなのだろう。
そういえば、つもちゃんはいつもゆる公を避けているようだが、何かあったのだろうか。ある程度活発なつもちゃんと、どちらかというとおとなしいゆる公なので、あまり気が合うことはないのだろうが。

基本的に男子生徒も女子生徒も、つもちゃんの処置にはおとなしく従う。だが、たまにひねくれた男子生徒が、反抗することがあるのだ。怪我の処置なのに、何故反抗するのか、さっぱり分からない。
「待てよ、こんくらい、自分で処置出来るから!」
「落ち着け、今は大丈夫でも、後々化膿するかもしれん。しっかり消毒しないと大変なことになるぞ」
「うるさいなぁ、自然に治るからいいんだよ!」
「ならば仕方ない。私が勝ったらおとなしく私の処置を受ける。私が負けたら好きにするがいい」
つもちゃんは駄々をこねる男子生徒に向かい、カードを差し向けた。けが人にデュエルを申し込むのはどうかと思うのだが……。

「俺のターン、【ブログアンカーアスナ】登場!ターン終了だ!」
「私のターン。【嫁の守護者ニシジョウ】登場。ターン終了だ」
キャラクターにも色々あり、同じキャラクターでも、名前や能力が異なるものもある。
たとえば、以前ゆる公が使っていた【規律の解説者ニシジョウ】は風紀委員などの規律を守る職業・役柄をしている人が使用すると能力が上がるが、先ほどつもちゃんが登場させた【嫁の守護者ニシジョウ】は、女性キャラクターがいると能力が上がる特性がある。ちなみに、同じ種類のキャラクターは、場に1人までしか登場させることができない。
しかし、避けている割には同じキャラクターを使うんだな。へんなの。
「俺のターン、【追撃のブロガーベニメアール】登場!まずは【アスナ】で【ニシジョウ】へ攻撃だ!」
「残念、カウンターハプニング【俺の嫁リースちゃん】使用。これにより、私の【ニシジョウ】はパワーアップ!」
「な……カウンターハプニングだと!?」
「まったく、私の処置をおとなしく受けていれば、この場面も予想できただろうに」
デュエルを申し込んだのはあんただろ、という突っ込みは置いておこう。
ハプニングカードの中には、特定の条件を満たせば相手のターンでも使用できるものがある。それがカウンターハプニングと呼ばれているものだ。
「とりあえず【アスナ】は退場だな。私のターン。【癒しの歌姫ミミナ】登場。女性キャラクターの登場により、私の【ニシジョウ】のステータス上昇、さらに【ミミナ】の効果により私の精神を回復」
キャラクターを登場させるのにも、ハプニングカードを使用するにも、使い手の精神を使うことがある。つもちゃんの戦術は、そうした精神を使用するカードを多用しつつ、キャラクターカードの効果などで精神を回復、単体を強化して攻めることだ。回復しながら戦う、という点が保健委員らしい。
「ぱ、パワーが上がったからって、怖くないぜ!俺のターン、ハプニングカード【ブログランカーのプライド】使用!退場したブログランカー持ちのキャラクターをすべて場に登場し、ステータス上昇!」
「ん、まずいな、このままでは嫁状態の【ニシジョウ】がやられてしまう」
特定のステータスを持つキャラクターを強化するハプニング。これは、授業でもよく取り入れられているコンボだ。この男子生徒は、早速今日習ったコンボを取り入れたようだ。
「では私も、【嫁の大人買い社会人ツカ・ポーン】を登場。さらに【ニシジョウ】のステータス上昇」
「な……こんなパワー、勝てるわけないじゃないか!」
「体調が万全なら私に勝てたかもな。だが、怪我状態のお前じゃ私は倒せまい。さっさと私の処置を受けるんだ!」
暴走した【ニシジョウ】により、あっさりとつもちゃんが勝った。

駄々をこねる生徒はいるものの、負けて処置を受けた後はおとなしくお礼を言っていく。それにしても、保健室にまで来て自分で処置するとか言うなら、保健室にこなければいいのに。
今日もつもちゃんの処置を受けに、多くの生徒がやってきた。今日もつもちゃんは、いつもの献身的な態度で、処置を行っていくのだろう。



「姉さん、もう授業始まってますよぉ?」
突然セーラー服姿でやってきたのは、つもちゃんの弟、鳳きめるだ。セーラー服を着て女の子っぽくなっているが、間違いなくこやつは男だ。
「あら、委員長もこんなところに?」
見つかった。仕方ない、彼女……いや、彼のことはまた今度紹介するとして、とりあえずこの場は逃げてしまおう。

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テーマ:小説投稿日時:2010/05/09 20:49
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