/(^゜ω゜)\<フィーカスの徒然日記は君が投げて捨てちゃったじゃないかww

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【小説】私立ToCaGe学園1

第1話:風紀の少女

ここは私立ToCaGe学園。この世界では多くのことをトレーディングカード、「リザード・ソサイエティ」によって決めている。
この学園では、数学や国語といった一般的な教科に加え、生活を送るにあたって絶対に避けては通れない「カードゲーム」の科目に特化している。
もちろん必須授業のため、他の学校でも同様の教科を行っているが、力を入れているのはここくらいだろう。
「リザード・ソサイエティ」は通常のトレーディングカードゲームと異なり、特殊な製法で作られているらしい。それゆえ、販売可能な店舗は限られる。カードゲームに法規制まで定められている、大きな存在だ。
ちなみに私は、この学園の生徒会長を務めている。とはいっても、他の委員会の権力が強すぎて、たいした事はできないわけだが。
「リザード・ソサイエティ」のルール?そんなことはこの学園で学んでくれれば、いくらでも教えてくれる。
やり方からデッキの組み方、デッキ理論、コンボ実習まで、さまざまなことをやっている。興味がある人はぜひとも入学してもらいたい。

さて、この学園ではデュエルに関するさまざまなトラブルが起こる。それを取り締まるのは風紀委員会の役目だ。
校則違反をしたものはまず口頭で注意。さらに違反を繰り返したり、言うことを聞かない場合は実力行使のデュエルに持ち込まれる。
勝てば無罪放免。しかし負ければ厳罰が待っている。
言っているそばから廊下の向こうから男子生徒が走ってきた。当然、廊下で走るのは危ない。
その男子生徒の袖を、座っている少女がつかんだ。
「……だめ。廊下を走るのは危ない」
袖をつかまれた男子生徒は少し赤くなりながらこくりとうなずき、走るのをやめた。
袖をつかんだ少女が風紀委員の一人、花伏ゆるりだ。
私は「ゆる公」と呼んでいるが、あまりこちらとは話したがらない。
いつも休み時間に出ると、廊下を観察し、校則違反している生徒がいないか見張る。
そして違反者を見つけると、袖をつかんでぼそりと「……だめ」という。
袖をつかまれた時点で男子生徒なら勘違いしてしまうこともある。そのせいもあってか、男子生徒は案外素直に従うらしい。現金なやつらだ。
どうやらお嬢様にあこがれて風紀委員会に入ったらしいが、残念ながら本当のお嬢様は美化委員会だ。
まあ彼女のことはまた次回紹介するとして、今回はゆる公のことについて話そう。

さっきも言ったとおり、男子生徒は意外と素直に従う。しかし、それが女子生徒ともなると反抗する生徒も多い。
たとえば……おっと、ちょうどいいところに弱そうな男子生徒相手に賭けデュエルをはじめようとしている女子生徒がいる。
賭けデュエル自体は職業として存在するが、校内ではもちろん、校則違反だ。
「……だめ。賭けデュエルは校則違反……」
さっきの男子生徒と同様、袖をつかんで女子生徒を止めようとする。だが、やはり女子生徒はなかなか言うことを聞かないようだ。
「うるさいわね、ちょうどいいカモがいたところなのよ!あんたは引っ込んでなさい!」
そういうと女子生徒はゆる公を突き飛ばした。女同士とはいえひどいことをする。
しかしゆる公はすっと立ち上がり、その女子生徒にカードを突きつけた。これはデュエルを申し込む合図だ。
「……賭けデュエルは重大な校則違反。見逃すわけにはいかない。私とデュエルをすること。これはあなたの義務」
「デュエル?ばかばかしいわね、私はこのカモと賭けデュエルをするのよ!」
「あなたが勝てば今回の件はもちろん、今後のあなたの行動についても私は感知しない。しかし、私が勝った場合はあなたが賭けデュエルで使用しようとしたカードの没収、および1週間の謹慎処分を申告する」
そういうと女子生徒はゆる公の方を向いてカードを突きつけた。これはデュエルの申し込みを受ける合図だ。
「あら、あなたに勝てばすき放題できるのね。わかったわ。受けて立ってあげるわ!」

昼休み、廊下でのデュエル。お互いのデッキをシャッフルし、準備を整えたところでたくさんの野次馬で廊下がいっぱいになった。
「……【毒舌の伝道者ニット】登場。ターン終了」
「あらあら、そんなキャラクターで相手をしようというの?じゃあ、私は【雪下の少女セリ】を登場させてターン終了よ」
「キャラクター」というのは場に出して(登場)戦うカードのことである。まあ、「クリーチャー」とか「モンスター」とか言えばわかりやすいだろうか。
これらのカードをうまく操ることが、勝利への必須条件といえるだろう。
「フフフ、デュエルを申し込んだ割には、たいしたことないわねぇ。では私は【ケーキショップ店員カエデ・ヒトヒラ】を登場させるわ!どう?私のキャラクターたち、かわいいのばかりでしょ?」
「たしかにキャラクターたちはかわいい。でも肝心のカードの使い手の心が醜い。キャラクターたちが泣いている」
案外毒舌だなぁと思いながらターンは進んでいく。ゆる公は少々おされ気味のようだが、大丈夫だろうか?
「……【規律の解説者ニシジョウ】登場。効果により、お互いの手札を山札に戻しシャッフルする」
「くっ……せっかくいいカードを引いたというのに……」
「流れは風紀を乱さぬものについてくる。あなたが正しい行動を取っていたのであれば私に勝てるかもしれない。しかし、あなたが社会的に間違った行動をとっていたのであれば、私には勝てない」
シャッフルし、引きなおした手札を見て、女子生徒はにやりと笑った。
「あら、そんな大きな口をたたけるのも今のうちよ。ハプニングカード【雷落としの恐怖】使用!さあ、このカードで恐怖しなさい!」
「ハプニングカード」というのはさまざまな出来事を示す、「魔法」のようなカードだ。そういえば【雷落としの恐怖】によって、大金を得ているやからがいるとのうわさを聞いたが、この女子生徒がその一人か。
まずい、これが通ると一気にゆる公が不利になる。
……が、今度はゆる公がにやりと笑った。
「残念、私の【ニット】にはそんなハプニングカードは効かない。場が見えていないあなたに、私は倒せない」
そして、一枚のカードをたたきつけた。
「ハプニングカード【社会ルールの変更】使用。風紀の乱れは許さない。それが私」
一瞬にして女子学生の場は空になり、ゆる公の勝ちが決定した。
その瞬間、ゆる公は女子学生のカードを取り上げ、去っていった。
「風紀を乱すものに私は絶対に倒せない。絶対に……」

「リザード・ソサイエティ」は人の心にも影響されるカードゲームだ。
彼女の場合、「風紀を守ることに対する人一倍の責任感」が強さの秘訣だ。
ゆる公が風紀委員を勤めている限り、風紀を乱す者は彼女によって狩られる。確実に。


勝手に企画。たぶん長続きしない。
あと、カードの名前になった人、勝手に名前を使ってごめんなさい(汁

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テーマ:小説投稿日時:2009/09/18 22:24
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