「それにしても、どうして突然東北に行くのをやめるって言い出したんですか。」
カードの中からアポロンが不服そうにつぶやいた。
「……あまり言いたくない。」
アポロンの入ったデバイスを片手にもちながら、その持ち主である高幡誠もつぶやくような声で言った。
「……まぁ、いいでしょう。深くは追求しません。」
現在は、まだ走ることのできるアスファルトでできた道の上を車で走っている。
青の世界付近の道は比較的走りやすいのだが、黒の世界に近づくたびに、Z/Xによる破壊の爪あとが残っている。
ブラックポイントが出現したとき、この日本において1番被害を出さなかったのは白の世界。
そして緑、青、赤がそれぞれ別方向の被害を出させた。
そして1番被害を出させたのは黒の世界。
五色の中で1番ろくでもない世界。世界の五大ブラックポイントの一つが関東の黒のブラックポイント。
故に、自然と黒の世界によってできた日本の傷跡は凄まじい部分がある。
それを今、改めて誠は認識した。
流石に数時間ずっと車を運転することは辛く、誠は一旦パーキングエリアに車を止めた。
ここまで走ってくる間、誠は一切口を開くことはなかった。
それまでに思いつめていたのだ。
「……。」
緑の世界を探索する際、アポロンを連れて行くのは危険だと判断したからだ。
アポロン・アガナ・ベレア
伝説上において存在する人間。
しかし、そのクローンがいる以上、伝説ではなく実在する者と証明された。
彼の伝説の中にこんなものがある。
自分が天使の呪いで恋した人が、天使の呪いによって自分を嫌い、やがて好きだった人は神に願って樹にしてもらったというものだ。
つまり、彼に緑のリーファーと白エンジェルの関係を持たせると何が起きるか分かったものではない。
よって、誠は一度里帰りするという名目の上で、白でも緑でもない黒の世界を目指した。
しかし、いつまでもこうしていては、商売が成り立たないのも事実だ。
誠は自動販売機で買ったドクペを一気に飲み干し、再び車を走らせた。
打開策が全く思い浮かばない。
その打開策を考えている間に関東までたどり着いてしまった。
東京の西側、ブラックポイントの影響下にあり、よくここで生き残ることができたなと感心するくらい荒れ果てていた。
もう少し東に行くだけで不可侵領域なので、本当に生きているのが奇跡だ。
ここに帰ってくるのはホント、何年ぶりだろうか。
ブラックポイントが出現したときのことは実はあまり思い出すことができないのだ。
誰かに助けてもらったような記憶がぼんやりと残っていたが、これについてもよく思い出せない。
「どうしましたか?」
デバイスからアポロンが声をかけてきた。
「……いや、昔のことを思い出そうとしたんだが、どうしても思い出せなくてな。」
誠は腕を組みながら昔のことを思い出そうとしていた。
「記憶、ですか。我々ブレイバーにとっては魂までもが本人ではありますが、僕もあまり思い出せないんですよ。」
その言葉に、緑の世界を目指さなかったのは杞憂だったか、と考えたが、やはり何かの衝撃で思い出されても困る。
「実家も特に異常は無かったようだし、とりあえず不可侵領域内まで行きますか。」
再び車に乗り、誠は商売のため元都心を目指すことにした。
途中何度かZ/Xに襲われかけたりしたが、なんとかアポロンの力で追っ払うことができた。
しかし、やはり使役しているZ/Xが一人だけというのはどうも戦いづらい。
かと言って、デバイスは民間用の制限がかかったデバイスが10数枚、それだけしかない。
特殊なのは今アポロンを入れているでバイスだけだ。
ちなみに、これがないとLフィールドが展開することができなくて、ブラックポイントの不可侵領域に侵入することができない。
また、民間デバイスは特に大型Z/Xは入れることができないようになっているらしい。
都心部、元浅草あたり――。
もう眠い、書けない。また今度書く。
テーマ: | 投稿日時:2013/07/26 01:10 | |
TCGカテゴリ: Z/X -Zillions of enemy X- | ||
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