(以下はいわゆるフロアルール管轄があるイベント等を対象とした話。個人の野良試合なら積み込みでも何でも好きにすれば? 友達が無くならない保証はできないけど)
カーキン動画のシャッフル講座を見た。
https://www.youtube.com/watch?v=6Q-f5dEGBsA
端的に言って、この動画のディールシャッフル(人によってパイルシャッフル、○山切り、等とも言う)の部分がまったくもっていただけない。難しく言うなら、「『ディールシャッフルがよく混ざる』のくだりは、『無作為化』と『恣意的均一化』の混同をしている」。簡単に具体的に言うなら、「この言い分が通ると、マジックの『マナ積み込み』を認めることになる」。
以前に https://tocage.jp/blog/6081/1321989152.html で、無作為化とは「山札内のすべてのカードにおいて、絶対的・相対的に位置が判別できない」と定義した。たぶんこの定義には誰も異論は無いと思う。それに対しディールシャッフルは、山札をシステム的に並べ替えているだけだから、これを行う前と行った後で完全にカードの位置の移行が追跡できる。シャッフル前から乱数性要素がまったく増えていないことになる。増えていないのに「よく混ざっている」ように見えるのは、内容が「恣意的均一化」されているから、一見よく混ざっているように見えるからだ。だがそれはあくまで恣意的にシステマティックに均等にカードを並べ替えただけなので、無作為の処理はまったく入っていない。上記定義に則って言うなら、シャッフル前のカードの位置が把握できているなら、シャッフル後の位置関係も把握できる。よって上記定義に当てはまらず、無作為性はない。終了。
具体的な例を示す。マジックなら土地、ヴァイスならクライマックスを固めておき、これを適宜回数ディールシャッフルする。その後にこれに数回のヒンズーシャッフルを行う。これ、積み込みじゃないって胸張って言える? 言えないとしたら、それは適切なシャッフルじゃないということになるんじゃないの?
均一に並んでいると一見よく混ざっているように見える。なんか綺麗だからね。でも、本来の無作為化ってのは、端的に言えば「綺麗じゃない」ことなんじゃないかね。きれいに均等化されてたら、それは無作為じゃないじゃんよ。
もちろん、一部忌み嫌うマッシュシャッフル(ファローシャッフル等とも言う)にも弱点はある。やりようによっては上端下端が大きく動かないし、スリーブを使ったマッシュシャッフルはカードがほぼ1枚おきに噛み合うため、きれいに混ざりすぎるけれんもある(無作為性からするに大きな問題ではないが)。なので慣れている人は「インシャッフル」というやり方を行う。いわゆる「デッキの上半分の上2/3と、デッキの下半分の下2/3を噛み合わせるマッシュ」だ。これだとカード位置の固定もほぼ起こらない。塊部分が気になるなら回数を増やすとよい。
あと、「マッシュはカードが傷む」に至ってはもう好きにしてくれとしか。適正なシャッフルを行うためにジャッジが呼ばれれば、ほとんどのジャッジはマッシュを行う。早くて確実だからだ。それがいやならそのスリーブで大会に出るべきではないし、それもいやというなら「マッシュでもリフルでも、ましてやウォッシュ(https://www.youtube.com/watch?v=3azy4Z9x8_4)でもない適切なシャッフル方法を提示してくれ」って話になる。ディールは上記理由でダメだし、ヒンズーは上記動画の通り無作為化が圧倒的に低いかんね? それも嫌って言うなら、不特定多数と対戦する大会には出ない方がいいんじゃないかなー。相手のことまったく信用できないし、自分の不適切なシャッフルを訂正するつもりも無いんでしょ?
もう一つ、上記動画の「ディールは時間が短い」も間違い。ディール1回やる間にマッシュなら5回以上できる。ディールの均一性を確実にするために複数回行う時間で、マッシュなら7回(=数学的にほぼ無作為であることが保証される回数)ができる。ディールは早くもなんともない。むしろシャッフルの手順では圧倒的に遅い方だ。
カーキンさんに恨みがあるわけじゃないけど、納得できないことをスルーするほど人間丸くもないのだわ。
PS:参考までに、とある数学論文によれば、ヒンズー(≒オーバーハンド)シャッフルで52枚のデッキを無作為化するには、2500回程度繰り返す必要があるそうで。そりゃディールよりも遅いように見えるわw
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テーマ: | 投稿日時:2019/02/13 01:20 | |
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