TCGのルールに、誘発型能力(ゲームによって自動能力)と呼ばれる物がある。いわゆる「○○が起きたとき、その事実を見た上で何かする」能力のこと。この太字部分がいわゆる置換効果(「○○が起きそうなとき、その事実を無かったことにして代わりに何かする」)と異なる点なんだけど、そこはまた別の話なので今回は略。
んでもってその誘発型能力の中に領域移動誘発と呼ばれる物がある。いわゆる「カードがどっかからどっかへ移動したとき」を誘発条件とする能力のこと。モンスターが場に出た(場以外の領域から場に移動)死んだ(場から墓地に移動)とかもこの類。まあここまでは分かるでしょう。
その領域移動誘発には、えてして「優先領域ルール」というのがある。これはカードの情報や状態を調べる時に使うルールなんだけど、だいたいこんなルールになってることが多い。
● 移動元か移動先のどっちかが場(フィールド、戦場等)なら場が優先。
● 見えないところから見えるところに移動したら、見えるところ優先。
● それ以外なら移動先優先。
で、今回のお話は、なぜこんな優先領域ルールがあるかって話。こっから小難しい総合ルール学の話になるのでめんどくさい人はここで離脱可能。
誘発型能力ってのは、上にも書いたけど「何かが起こった瞬間」にその誘発条件が満たされたものとみなされる。ダメージを受けた時なら受けた瞬間、カードが横向きになったらその瞬間、云々。
では領域移動誘発におけるこの瞬間がいつかというと、領域が変わる時点なんだから、具体的には「今そのカードが両方の領域に境界線に乗っている瞬間」という理屈になる。移動前の領域にある状態でも、移動先に落ち着いた時点でもなく、今まさに移動してる瞬間ってこと。外からお家にはいる領域移動誘発なら、玄関のドアをくぐってる最中、ってところですかね。
で、理屈はそれでいいんだけど、それだと困るのが「その瞬間、具体的にゲームのルール的にカードはどの領域にあるの?」って話。境界線にあるんだから、どっちにもあるようでどっちにも無いような気がする。これではルール的に情報が決まらなくて困る。
なので、この境界線を通る瞬間において、カードがどっち側に傾いているか、あるいはどの瞬間をもって移動するタイミングとみなすか、ってのがこの領域優先ルール。どっちの領域側にある瞬間かを決めないとゲームの状態が困るから、優先する状況側を決めよう、って話し。言ってみたら、移動前の領域が優先なら「移動するカードが境界線に触れた瞬間」で、移動後の漁期が優先なら「移動を終えようとするカードの端っこがまだ境界線に触っている瞬間」なわけね。
このルールにおいて場が優先ってのは、普通のゲームにおいては場が一番重要で、なおかつ場の情報を基準とするのが直感的だから。見えるところ優先なのはまあしかるべき。それ以外は移動先ってのは、普通のゲームにおいてはカードが移動しちゃってから能力の実行が行なわれるから。話はこんだけに過ぎないのよ。
で、このルールを適用する際によく話に出て来るのが「AとBが戦闘で相打ちになったり、2枚同時にどっかいったりしたときに、両方が互いの場を離れた条件の誘発型能力を持ってたらどうなる?」ってところ。これは特に、両方の処理を順次解決する際に、後から解決する方がカードが実際に移動してからずっと後の処理になるもんで、ちょっと面食らう部分ではある。
なので、前述の優先順位の原則に戻ってみる。例えば戦闘で相打ちになったってことは、普通のゲームのルールでは両方が同時に墓地に行く。この際に両方が「相手を戦闘でぬっ殺した時」的な能力があるとしすると、領域移動の誘発条件の基準は場優先ルールにより「カードが場から墓地に移動する際の、まさに墓地に移動する瞬間の、まさに境界線に触れた瞬間なんで、まだカードが場側にある状態基準」になるので、カードが同時に移動する以上、その時点で一方だけが場に残っているということは無いはず。なので、両方が場にある瞬間のゲームの状態を基準とする。なので、両方がまだ場にある(=能力がまだ有効である)状態で、互いに墓地に移動する(=ぬっころした事実を見る)誘発条件を満たす、という理屈になる。
これは戦闘に限らず、例えば「AとBが同時に場を離れ、Aが『Bが場を離れたとき』誘発を持っている」なんてのも同じ。まあ理屈は分かるやね。
これがカードの移動に、たとえテキスト内ででも時間差があると変わってくる。「Aを殺し(その後)Bを殺す」と書いてあれば、明確に処理に時間差があるので、AはBが死んだことを見ない。この時間差があるか否かが超重要。
すべてのルールには理由(自分が良く言うところのPhylosophy)があるのです。何か変だなーと思うルールを見かけたら、そのルールが存在する理由を考えるのもまた一興。
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テーマ: | 投稿日時:2024/02/26 15:26 | |
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