こんにちは。米原です。
さて、菜月ちゃん。
巨乳幼馴染で妹の菜月ちゃん。
季節が正反対ですが、達哉君へ、別れの愛を語ります。
そんなわけでGO!
夜明け前より瑠璃色な 鷹見沢 菜月 SS 別れ際の重み
「ありがとうございました」
本日最後のお客さんを、菜月が見送る。
「菜月ちゃん。獣医の勉強がんばってね」
「はい!」
ここ数日、トラットリア左門での最後の菜月の姿を見ようと、お客さんが大勢来てくれた。
それだけ、菜月が、この店、いや、この街に欠かせない存在だったと言うことだろう。
カランカラン
お客さんが出て行って、店内に一瞬の静寂が訪れた。
「菜月、タツ。お疲れ」
「お疲れ様です」
「お疲れ様です、お父さん」
「本来であれば、掃除という最後の仕事があるのだが、今日は見逃してやる。二人とも、ちょっと外でたそがれて来い」
「……いいの、お父さん?」
「なに、こっちとしては、最後の晩餐の下準備をみられたくないというのが、本音だよ」
大人として、父親として、そして料理人として。
おやっさんが、ものすごくカッコ良い顔を見せてくれた。
「じゃぁ、菜月。お言葉に甘えて、外に行こうか」
「え、ちょっと達哉?この格好で行くの?」
左門の制服のまま、俺は菜月を引っ張って、外に出た。
春は近いのに、まだ寒い。
そして、少し強い風。
だが、綺麗な月夜が出ていた。
「ねぇ、達哉」
「ん?」
「あそこにフィーナが帰って、もう半年だよね」
「あぁ……」
「私たちも、もう卒業か……」
「だね」
「時が過ぎるのって、本当に早いね」
「あぁ、本当に」
「……」
「……」
会話が続かない。
正直、刻一刻と迫る別れに、耐えられなくなっている。
このまま、二人で別世界に逃げて、ずっと一緒にいたい。
そうまで思ってしまう。
「……」
「……」
二人で歩んだ先は、物見が丘公園だった。
「ちょっと、座ろうか」
「うん……」
二人でベンチに腰掛ける。
いつからかつないでいた手はそのままに。
肩を寄せ合い、ぴったりと。
「菜月」
「何?」
「今まで、ありがとう」
「……私こそ」
「俺、菜月と今までずっと一緒にいられて、本当に良かった」
「私も、達哉の彼氏になれて、本当に良かった」
「もう少しで離れ離れになるけど、菜月のこと愛しているから。ずっと待っているから」
「うん……。卒業したら、真っ先に達哉のところに行って『愛してる』って叫ぶから」
「……クスッ」
二人同時に笑う。
ここまで気持ちが通じ合っているなんて、なんだかくすぐったい。
「達哉……」
「菜月……」
自然に顔が近づく。
どちらから仕掛けたわけでもなく。
同時に。
「ちゅっ、ちゅっ、くちゅっ、ぴちゅっ。達哉……」
二人抱きしめあいながら、キスの雨を降らす。
「達哉……達哉……」
キスをしながら、俺を求めてくる菜月。
「菜月……菜月……」
俺も、菜月を求める。
「ふんっ、ぺちゃっ、ふぁんっ、はぁっ」
舌と舌が口の中で絡み合い、水音が起こる。
はしたないなんて思っている余裕が無い。
もう本能のままに、お互いがお互いを求める。
「あぁ……達哉……」
俺は菜月に抱きつき、首筋を舐めていた。
うなじから発生する菜月の香りを堪能する。
「ちょっと達哉、くすぐったい!」
俺はかまわず、首筋を攻める。
キスしたり、吸い付いたりして、菜月の首筋を独占する。
「もぉ、達哉……きゃっ!」
止まらなくなった俺は、左手で、菜月の胸をつかむ。
そして、優しく揉み上げた。
「ふぁっ、ふぁあぁっ、あぁっ……達哉……」
もうなすがままになる菜月。
菜月にとっても、俺を感じられるのは、これで最後。
積極的になってくる。
「あぁ……達哉ぁ……もっとぉ……」
俺は右手でも菜月の胸を揉み上げる。
再度、菜月の舌を、自分の舌に絡ませながら。
「はぁ、はぁぁっ、達哉、達哉、達哉!」
服越しでも、菜月の胸は十分大きく、やわらかかった。
「あ、ちょっと、もう!達哉のエッチ!!」
俺は菜月の胸と胸の間に顔をうずめ、頬で菜月のやわらかさを感じる。
もう菜月と離れたくない一心で、菜月に甘えていた。
「達哉……あぁ……そんなことばっかりされたら……達哉から離れられなくなっちゃう……」
「……菜月?」
菜月の眼には、うっすらと光るものがあった。
「……菜月、悪い。俺、やりすぎた」
「ううん、違うの」
菜月は首を振る。
「私ね、達哉の事が好きすぎて、達哉ともっともっとエッチな事がしたくて、達哉と離れたくなくて、達哉と……」
「……菜月」
「じ、自分で選んだ道なのに、達哉と離れる事なんかわかっていたのに!まだ心の中では、獣医なんかよりも達哉と一緒にいたいと思ってしまうの!」
眼から大粒の涙がこぼれる。
「卒業したら達哉と結婚して、妻としてずっと一緒にいることも、私のまた夢なの。今までみたいに、ずっと達哉と一緒にいたいの!離れたくなんか無いよ!!」
ずっと一緒にいた俺たち。
小学校からずっと一緒で。
一緒の職場で働いて。
離れたことなんか、なかった。
そして、これから。
お互いの夢に向かって、初めて、二人が離れる。
今までに無い、未知の世界の体験。
隠していた二人の思いが、今夜、一気に吹き出てしまった。
「俺も離れたくないよ、菜月」
「うっ、うぅ……達哉……」
俺の胸の中で泣きじゃくる菜月。
そんな菜月を、そっと抱きしめる。
「俺も、菜月と結婚したい。でもその菜月は、獣医であって欲しい。
「……?」
「小さなころに交わした、俺との誓いをかなえた菜月。そんな菜月と結婚したい」
嘘だった。
俺だって、今すぐ、菜月と結婚して、二人で暮らしたい。
離れたくない。
でも、俺たちが進むべき道は、そこじゃないことを感じていた。
「……うん、わかってるよ、達哉。取り乱してごめん」
「菜月が獣医になったら……動物の命を救えるくらい立派になったら、結婚しよう?」
「うん……じゃぁ達哉も、月と地球が自由に行き来できるくらい働いたら、結婚しよう?」
「どっちが先に出来るかな?」
「競争、だね」
いつしか、菜月の涙は消えていた。
二人でベンチに座り、たそがれる。
心地よい風が、二人の髪をなびかせる。
「ねぇ、達哉」
「何?」
「……今まで、ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」
「それと、もう一つ」
「ん?」
「今日、今さっき、私をなだめてくれて、ありがとう」
「俺も、菜月を満喫させてくれて、ありがとう」
「ちょ~っとやりすぎかもね」
「最後だから、許してくれ」
「え~、どうしよっかな~」
「そんな事言うと、恥ずかしいことを思い出させるぞ」
「え?どんなこと」
「夕立で、制服のままずぶぬれになって、あそこの木で雨宿りして……」
「わっ、わわっ!」
『ぽんっ!』という音がして、菜月の顔が、一気に赤くなる。
「確かあの時の菜月は緑のし――」
「だまらっしゃい!」
「ふぎゃっ!」
菜月から、初めてしゃもじを喰らった。
そういえば、瞬間沸騰が見られるのも、これが最後か……。
「ひくしょんっ!」
「達哉、大丈夫?」
「あぁ……すこし冷えてきたかな?」
「もうすぐ春なのにね」
「まだ寒いからさ、手をつないで帰ろうか」
「……」
「ダメ?」
「うん、良いよ!達哉が風邪引いたら大変だから、あっためてあげなきゃ!」
妙にご機嫌な菜月。
「えいっ!」
「うわっ!」
俺の背中に乗る菜月。
「さぁ、私が背中を暖めてあげるから、お家へ帰りましょう」
「ちょっと菜月、おも……」
「……なんか言った?」
「いっ、いえ、何も……」
結局、菜月をおぶって帰ることになった。
おやっさんと仁さん、男性陣にはからかわれ、姉さんと麻衣、女性陣には、あきれられた。
うわさは、一瞬にして街中に広まってしまった。
それでも。
俺は背中から感じた菜月の暖かさと、胸の柔らかさと、重さだけは、一生忘れないだろう。
そして。
早く、獣医になった菜月を支えられるように、がんばりたい。
あの夜、菜月をおぶった時のように。
夜明け前より瑠璃色な 鷹見沢 菜月 SS 別れ際の重み END
いかがだったでしょうか。
別れ際に発生する、心の重み。
妻を支える、男の重み。
背中に乗った女性から感じる重み。
今回達哉君は、重みをいっぱい感じました。
さてさて、我々は普段、どんな重みを感じているでしょうか。
たまには、泣いて開放しても、良いかもしれませんよ。
まぁ……。
あ ま え さ せ て く れ る ひ と が い た ら の は な し だ け ど な !
萌えシーンや可愛いキャラクターがオーガストの強みですが、こういう感動的なシーンも、オーガストの特徴です。
少し強引さもありますが、こういうシーンも書いていきたいと思います。
それこそ、オーガストなのだから。
米原
登録タグ: オーガスト 夜明け前より瑠璃色な 鷹見沢 菜月 tocageにSSシリーズ 萌と感動 これぞ、オーガスト 再現度はいかに? 重みを感じたら このSSを思い出して欲しい きっと救われる
テーマ:日記 | 投稿日時:2012/07/10 11:53 | |
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