※文系の方、中学生以下の方は読んでいると頭が痛くなる可能性があるので、ところどころ読み飛ばして読んでください。
会社の人から、「化学を教えてほしい」ということで、家庭教師に行くことになりました。といっても、寮の隣の部屋なのですが。
私は化学系の会社で働いているのですが、結構文系の人もいるのです。確かに化学薬品を大量に使うのですが、作業自体は注意事項を守れば化学の知識が無くても出来ることがおおいので問題ないのです。
今回の範囲は「モル」の概念と化学式。高校化学の入り口となるところです。
化学の世界ではいろんな反応があります。たとえば水素と酸素が反応して水が出来る、というのはほとんどの人が知っていると思います。
ただ、水素と酸素もでたらめな割合で反応しているわけではなく、水の化学式である「H2O」が示すとおり、水素原子2つと酸素原子1つが反応して水が出来るわけです。
物質を細切れにしていったときの最小単位である「原子」は、原子の種類によって大きさも違えば重さも違います。なので、単純に1gの水素が1gの酸素ときっちり反応する、というわけではありません(ちなみに1gの水素だと8gの酸素が必要となります)。
また、原子の世界は非常に小さいため、たとえば水素2個と酸素1個がどれくらいの重さになるか……と考えると、重さで考えるのは煩雑になってしまいます。
そこで「物質量」という概念が登場しました。原子は「重さ」ではなく「個数」で反応する量が決まっているため、ある程度の精度で比較できる大きな量を1と定めたのです。
というわけで、「分子(原子)6.02×10の23乗個」という非常に大きな数を「1mol(モル)」という風に定めたわけです(ちなみにこの「6.02×10の23乗」個のことをアボガドロ数(アボガドロ定数)といいます。これは「原子量12の炭素12gに含まれている炭素原子の数」です)。つまり、どんな原子(分子)でも、1molには6.02×10の23乗個の原子(分子)が存在する、というわけです。
これは、「1ダースは12個」というのと同じ考え方です。より大きな数を小さな数でくくることで、分かりやすくする、ということですね。
たとえば水素の原子量は1ですので、1molの水素原子は1gということになります(水素分子になると分子量が2になるため、1molの水素分子は2gということになります)。
また、気体の場合、1molの分子が占める体積が決まっており、どの気体分子でも1molでは22.4Lの体積を占めます(0℃1気圧の場合)。
水素分子と酸素分子が反応して水が出来る反応式は、
2H2 + O2 = 2H2O
です。これは「2個の水素分子と1個の酸素分子から、2個の水分子が出来る」ということを意味しています。
つまり、「2molの水分子と1molの酸素分子から、2molの水分子ができる」ということでもあります。
また、これから「水素何グラムと酸素何グラムから、水何グラムができるのか」「水素何リットルと酸素何リットルから、水何リットル(気体で)できるのか」ということもわかります。
原子量をH=1、O=16とすると、たとえば1molの酸素分子が反応した場合、必要な重さは
2molのH2:1×2×2=4(g)
1molのO2:16×2×1=32(g)
2molのH2O:(1×2+16)×2=36(g)
となります。
また、必要な体積は、
2molのH2=22.4×2=44.8(L)
1molのO2=22.4×1=22.4(L)
2molのH2O=22.4×2=44.8(L)(気体)
となります。
化学が苦手な人は、この「物質量」の概念が分からない、といいます。物質量という概念は何なのか、そこから単位換算するとどうなるのか、というのが分からないわけです。
化学式を扱うためにも、この「物質量」という概念は必要なため、これが分からないとその先のことも理解しづらくなるのです。
どんな分野でも、必ず「これが分からないと先に進めない」ということがあると思います。その分野が苦手な人は、それが難しく感じたり、うまく理解できないために苦手だと感じてしまうのだと思います。
逆に、教える側とすれば、そのポイントをしっかりと教えることで、苦手意識を克服させることが重要となってきます。
人に物事を教える際は、「何がポイントなのか」「何故こういうことをするのか」という、「要点」と「理由」を解説することが重要なのです。
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テーマ:落書き | 投稿日時:2010/06/20 11:19 | |
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