【第4回】究極アルティメットグランプリ レポート! 究極アルティメットグランプリが21日、東京浅草のBCCで行われました。参加者総数は、およそ70名。究極アルティメットという特殊なレギュレーションにも関わらず多くのユーザーが参加されました。※究極アルティメット... |
関連日記にしたが記事への直接の関係性はそんなにない。でも、ポニョは([CENSORED] [CENSORED])
まあ、記事がアルティメット結果ということで、長年思っていた「スタンダード」「エターナル」というフォーマット区分に関する私見をつらつら述べたいと思います。
2コ前のエントリの延長線上で。
MTGに端を発する「スタンダード(基準)となる新弾限定フォーマットの制定」=フォーマットローテーションの制度について(ここでは以降「スタン落ち」)。
前置きが長くなることが予想できるので、最初に結論だけを言っておく。
「スタン落ち」にまつわる諸問題は、「スタンダード」があたかもデフォルトのフォーマットであるかのように喧伝するために根が深くなる。
「スタン落ち」はフォーマットローテーションを生む制度ではない。
「フォーマットのパーティション(区分け)」を発生させる制度だ。
「カードの寿命」「旧資産が紙屑に」などといったネガティブな言説の流布は、新規ユーザの購買意欲にダイレクトに結び付く。これを嫌うのであれば、公式が主体的に上記二点を広く喧伝すべきではないか。
当エントリではこの結論に至るまでの道筋を書きたいと思うが飽き性だからどうだろうね。分からんね。
大前提
スタン落ち導入のメリットは、方々で語られているが、大体こういう風にまとめることができる。
ユーザーにとって:
●新規ユーザの(大会参加に要する)格差の軽減
└資産格差(ここに「旧弾の入手困難化」も含む)
└情報格差(ex.カード知識量の差。MTGの現スタンは950枚。エクステンデッドでは5500枚)
●(トーナメント環境の固定化軽減による)フレッシュな大会の継続
開発/販売にとって:
●(同様に)トーナメント環境の固定化軽減、環境のある程度のコントロール
●カードデザインのパワーインフレ負担の軽減
●プレイテスト負担の軽減、カードデザインの縛り軽減(直近の例で言えば、《吸血鬼の呪詛術師》はスタンダードに《深淵》がある間はデザインできなかっただろう)
●新弾の需要安定
●(「旧弾販売終了による生産ライン整理」はDMや遊戯にも再録パックの形で変わらずある。よってこれに含めない)
あまり語られることがないので個別に記述するが、「情報格差」項には「長大化していく禁止・制限リスト」も含まれている。
「スタン落ち」制度は、経年により縦に伸びていく禁止・制限リストを、環境の刷新とともに下から切り離していく。新規ユーザに求められる事前知識の負担を減らしてくれる。論じられることは少ないがこれも重要かつ十分なメリットだということを改めて強調しておきたい。
さて、他方ではデメリットについても散々議論が尽くされている。こちらの要点はだいたいこの二つにまとめられる。
▲「カードの寿命制限」による購入意欲および復帰意欲の減衰(ex.「今買っても落ちるからなー」/「昔買ったカードが今全部使えないって聞いてやる気失くした」)
▲(大会参加に)かかる資産・コストの膨大化
各論を比較するとメリットは開発の立場まで踏まえた論理的な論説、対してデメリットは「意欲」に触れるなどより感情に重きを置いた論説に見える。そのため前者が後者を「説得」しようとする様はいたるところで見かけた。だがMTGで制定されて十ン年経つというのに、制度への不満が未だに噴き上がっているのは、やはり否定論者が抱く感情が極めて自然なものだからだろう。
それにしても、なんでこんなことになったのか?
そんで考え
もうメンド臭くなってきたのでイキナリまとめてしまうが、この問題は文字通り「最メジャーな(基準となる)フォーマット」=「スタンダード」というコンセンサスが広くユーザ間に流布してしまったことによる部分が大きい。そして既存ユーザも、公式も、大部分が誰もこのことに疑問を感じていないように見える。自分はそれに違和感を感じて仕方がない(しかし、MTGは最近のGPなどを見ればかなりウマイ転換ができていると思う。だからココでは主にD-0について論じることになる)。
たとえば、「スタン落ち」否定論者の「資産・復帰意欲うんぬん」といったネガティブな論調に対し、肯定論者は(上記のメリットを挙げたりしつつ、シメに)「カジュアルならフォーマットは関係ない」という論説で対抗することが多い。
それに対して、公式はそれを周知させているのか?ということを、自分は問いたくなる。「カジュアル」と「トーナメント用フォーマット」を、同列に提示できているのか?
コンセンサスは新規ユーザだけでなく、(ネット上で相談の相手になり、デュエルスペースでは対戦相手になりうる)既存ユーザ側にも求められる。既存ユーザへの大掛かりな意識形成は公式が主導とならなければ難しい。
一例を挙げる。ある掲示板ではこのようなやり取りをいくらでも見ることができた:
A「初心者ですが、×××が定価半額で売ってたので始めようかと思ってます。コレは買いですか?」
B「いや、それはもうすぐスタン落ちするから微妙。今だとお勧めは~」
A「スタン落ちって? ……(カタカタ)なるほど……それでは…しばらく…考えてみます。どうもありがとうございました」
「薦める側がスタンダード一択しか見えていない」。新規ユーザは必ずスタンダードをやらなければならない、そんなスタンスに疑問を感じていない。なぜなら最もメジャーなフォーマットがスタンダードで、それ以外は彼らにとって「傍流の遊び」だからだ。そんな意識を無自覚に持つユーザが大勢を占めている。
「半額パックで1年でも2年でもカジュアルに遊び倒す」そういう選択肢を提示できない。あるいは提示できても、「初めたてはカジュアルで、慣れてきたら誰でもトーナメントフォーマットへ」という階層意識が根底にある。だから「将来の資産」という話が刷り込まれてくる。
自分にとってこれほどばかばかしく思えるやり取りはない。「あなたの買う商品は×××後に紙屑になりますよ」そう伝えながら新規勧誘するほどバカなことはない。一体どれだけの数のユーザがそれを聞いてやる気を失くしていくだろう?
そのカードが紙屑になるかどうかなんてのは、それを買ったユーザーだけが決められるべきことだ。新規ユーザを(あるいは復帰者も!)、「最メジャーだから」なんて無自覚な意識で、こんなローテーションに無理矢理付き合わせるなんて、本当にバカバカしすぎる。
フォーマットは、自分のプレイグループに合ったものを、主体的に、選べなければならない。そのためには、柔軟な選択肢が、何も知らないユーザにも見える位置に、提示されていなければならない。 だから必要なのは意識形成の場ということになる。
そしてそれは、公式なら簡単にできることなのだ。「メジャーなフォーマット」という存在を消して、新規ユーザに見える場所で、どれも同列に解説するだけでいい。センチュリー限定も、ノーマルも、アルティメットも、カジュアルなハウスルールも、「全部アリ」で、あなたに合うフォーマットを自分自身で選べばいいと、眼につくページで教えてあげるだけでいい(それがベテランユーザへの意識形成の足がかりにもなる。理解者が増えれば、上にあった購入相談や、デュエルスペースでの対応も変わっていく)。
デメリット
もちろん、「メジャーフォーマットの不在化」にはデメリットもある。一番に思いつくのはプレイグループのムラ社会化、マッチングの分断化だろう。
「(自分がよく遊ぶ)センチュリー限定構築のデッキを持ってショップに遠出、だけどデュエルスペースでの流行はアルティメット形式で、誰も限定構築のデッキを持ってなくて遊べなかった」こういうことが起こりうるかもしれない。
だが、これだけならユーザ間の対話でどうとでもなる。「デッキ貸して」or「次来るとき作ってきて/次来るときは作ってくる」or「そのままやろう(/ただしハンデつけてー)」フォーマットのすれ違いなんて簡単に摺りあわせられる。ショップに行くほど対戦に飢えているなら特にそうだ。
一番避けるべきなのは、「そもそもデュエルスペースに人がいない」この事態なのだ。コレに比べればフォーマットの差異は対話で解決できる分遥かにマシだ。
まとめ
いい加減長くなったのでまとめる。も~
●フォーマットローテーションの導入に際しては、「スタンダード」こそがフォーマットのスタンダード(基準)という固定観念がユーザに形成されるのを取り除くよう努力すべきではないか。
●それによって「スタン落ち」という言説に内包されるネガティブなイメージを取り除ける。スタン落ちは「標準搭載ではない」そういう意識をユーザ間で形成させるべき。プレイヤーが自主的に選択した、あるフォーマット1つでのみ発生する要素、つまり「スタン落ち」=「オプション」という認識を、(新規ユーザの購買意欲を減衰させないよう)積極的に形成するべきではないか。
●そのためには、ユーザーが自分の身の丈にあったフォーマットを柔軟に選択できなければならない。その選択肢は、「新規によく見える場所」で提示されているべきではないか。
こんな感じ。コレ他人に意見が伝わるかどうか……書いている途中ずっと脳から変な物質が出ていた。そんな感じ。
それから
あとそれからD-0の「レジェンド・カードシステム」についてだが、長くなったのでもうさっと書いてしまう。あれは中途半端だと前から思っている。「資産格差」のためにしては3年のプールは長過ぎる。でも「カードが落ちる」というエグミだけはしっかり新規に伝播してしまう。しかもMTGのような「フォーマット分け」じゃなくて「デフォ搭載のシステム」みたいな立ち位置になっている。完全にマズイトコ取り。あれを見て「意識改革」が必要だと感じた。それぐらい半端なプール。そんな感じ。
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テーマ:日記 | 投稿日時:2010/03/23 23:00 | |
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とむやんぷ~ さん | [2010/03/23 23:51] |
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はじめまして。 お邪魔します。 先週横浜で行われたMTGのイベントはエクステンデッドの大会でしたが 1000人以上の参加があったということで スタンダードがすべてではないということを証明したと思います。 また「スタンダード環境以外の商品をもちたくない店舗」が多いという点もこういう「誤解」を産む要因にもなっていると思うのです。 スタンダードだけではないイベントを行う店舗がどれだけ少なくなってきたか。 そういう部分も含めて店舗側が業界を育てなければならないんですが 目先の利益に目がくらむという気持ちもわからんでもないんで。(苦笑 ウチのようにいろいろやっている店舗が増えるといいんですけどね。 でも、それを他店舗さんに強要するわけにも行かないんで(苦笑 |
ツイスラ さん | [2010/03/24 09:59] |
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総じて同意です。 ノーマル構築へデフォを置くことで敷居を作っている光景は多々見てきました。 アルティメット構築として全カードプールが使える形式は存在するが実際にその形式が用いられたのは今回の究極UGPのみ。それも『お祭りとして』と銘打っているので「推奨されない」ことを示してしまっているようにも思えます。 ただ、公式も気づいていない訳ではないように思えます。 そこに絡んでくるのがVシールドです。 まずカードを集める上でどのパックが初心者にとってメリットがあるか?と始める人、進める人それぞれに浮かべることだと思います。 そこにVシールドという遊びが加わることで「まずは遊ぶ」そこで手に入ったカードから一つの「方向性を示す」とゲームを始めるまでの一連の流れを遊びながら出来る点を大いに評価しています。 ディメンションゼロはVセンチュリーへ向けて大きく軌道修正をしています。多くの意見は多くの影響を与えより良い環境を作ってくれることに繋がってくれると信じて公式にも直接メッセージを飛ばしてみると良いかも知れません。 (既に公式の方は閲覧しているかもしれませんが) こういった意見を読むのは非常に面白いです。 また何か気づいたことなどありましたら、是非読ませてください。 |
I love TCG さん | [2010/03/24 22:37] |
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コメントありがとうございます。 そうとう読みにくい文章だったと思いますが、それをここまで的確に文意を汲み取って反応して頂けるのは本当に助かります。「なにいってんだこいつ(スルルー)」というリアクションを9割9分覚悟していました。 >とむやんぷ~さん このエントリの趣旨に沿うと、 「『スタンダード以外を持ちたがらない店・開きたがらない店』の存在は店の問題ではなくある程度仕方がないこと、なぜなら『スタン以外は正式なフォーマットではない』という空気が(公式主導のために)出来上がってしまっているから」 というスタンスになってしまうのでちょっと心苦しいのですが、それでもお店側が主体となって現状亜流とされているフォーマットを積極的に盛り上げようとする試みは素晴らしいことだ思います。 ここ数年のMTGの非スタン構築の盛り上がりも、それこそユーザ主導の「草の根レガシー」が貢献した部分は大きいと思います。購入相談の掲示板などを見ても、「スタンこそカードの最大の価値基準」の時代からゆっくりとではありますが徐々に遷移しつつあるように映ります。 それにしても、『目先の利益に目がくらむと』…以下の文章は本当に金言だと思います。鬼カッコイイ。南日本の片田舎からですが、貴店のますますの繁栄を、イチTCGユーザーとして心からお祈り申し上げます。香魔カシコ。 >ツイスラさん D-0公式さんは、何だかんだいって面白いフォーマットフォローをなさるんですよね。ストラクチャー限定戦とか、グランプリ予選のセンチュリー限定構築とか。とはいえどれも局所的なサブフォーマットの域を出ず、「レジェンドシステム=構築の標準」が金看板になってるせいで「スタン落ち」の悪評被害からは結局逃れられずにいるのが残念なところです。 というわけで、そのジレンマ打破のさきがけとして、自分もVシールドには期待してます。アレは本当に面白いフォーマットですよね。自分のような机上論小僧には逆立ちしても思いつけないブレイクスルーです(ビルディング要素を完全に切ってカジュアルに特化したのが凄い)。自分としてはV-1プレリリースまでに初心者向けページにプレイガイドが設置されることを公式に期待したいですが……。 「公式に直接メッセージ」については、恥ずかしながら、もう完全にこのブログで発散した気になっています。「メールだとなんだかいろいろ面倒なイメージ。だけど、関連日記ぐらいの距離感なら言いたいこと言えるかも……」そんな気持ち悪いクソ乙女心みたいなのを動力にしてこのブログは稼動しています。 これからもよろしくおねがいします。あと私事ですがゲマズが隣接県内に存在しないので貴ブログには本当に助けられました。本当にありがとうございました。 |
曜子 さん (非ログインユーザー) | [2012/08/24 03:55] |
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