前回のエントリ:
【Z/X】 ゼクス第一弾の不満点 全般編
http://tocage.jp/blog/2286/1344746584.html
の続き。
今回はカードデザインについて。
今回は最後に、
・オリカだいすき だいすきオリカ
のコーナーがあるが、
これはもちろんよほどの数奇もの以外は読み飛ばしてかまわない。
(でもみんなオリカが好きだって信じてるから!!)
今回挙げる不満点は以下の2つ。
・遊宝洞の悪癖、同型再販地獄
・色の役割分担について
遊宝洞の悪癖、同型再販地獄
遊宝洞の悪癖に、とにかく同型再販が多いことがある。
ヴァンガードしかり、WSしかり、D-0しかり。
Z/Xでも、コモンスロットは各色に六種を与えられているのだが、
生物は全色共通効果のヴォイドブリンガー/ライフリカバリー/スタートカードが
スロットの半分を占有していて、
スペルも各色1コスト呪文とそのアッパー効果版の3コスト呪文のリプリントで固定。
各色の特色が出るコモンスロットはたった一種しかないにもかかわらず、
その独自スロットも白と緑は5コスト8000バニラで完全同一。
しかもこの5コスト8000はアンコモンを見れば他の全色にも配置されている。
(第一弾のカードリスト:
http://www.zxtcg.com/card_list/b01/)
どうせ第一弾では誰も単色で組めはしないのだから、
白にはヴォイドブリンガーがない、赤にはライフリカバリーがない、として
色の独自性を出すとともにコモンスロットに1枚空きを作ってもよかったのではと思う。
それぐらい今のコモンスロットは開封の喜びがない。絶望的につまらない。
ゼクスに限らず、遊宝洞のTCGはとにかくカード効果の既視感が強い。
TCGにおいて重要な「新しいカードに出会う」そんな新鮮な喜びがない、
機械的にスロットを埋めただけのプールに見える。
(2年続いてるヴァンガードでさえいまだ新段はリプリントで埋められてるわけで、
これはレベルデザインなんてものではなく単純にデザインの出し惜しみ、
あるいは納期への間に合わせなのだろう)
似たテキストのカードばかりでは、どんなデッキと対戦しても、
ほとんど代わり映えしない均質化されたプレイ感を味わわされる。
それは対戦環境自体への、ひいてはゲームそのものへの飽きを早めてしまう。
ゼクスはどうかそんな出し惜しみはせずに、
アーキタイプを作れる多様なカードを早い段階からプレイヤーに提供してほしい。
色の役割分担について
上で触れたカード・デザインの話に絡む。
現状の色の役割・機能は、もう少し複数の色にまたがって与えてもよいように思う。
基本的にMtG系のカラー・ホイール振り分けだと、
盤上・盤外で役割が明快かつバランスのよい青と黒は特にデザインしやすく
(ドロー/バウンス/ミルの青とハンデス/リアニ/破壊の黒)、
その逆に火力しかない赤、これといった特徴がない白は役割不足を負いやすい。
(本家MtGでも「赤は役割が足りなくてデザインが難しい」と言われる:
http://mtg-jp.com/reading/translated/ld/003174/)
よく誤解されるが、色の役割というのはオンリーワンでなければならない必要はない。
効果のベクトルを微妙に散らしたり、あるいは逆に
「これだけはできない」という不得意の分配によっても色の特色は演出できる。
たとえばMtGでは、墓地回収は黒も緑も白も青できて、赤だけが微妙にできない。
黒は生物を手札にも墓地にも加えることができる一番手であり、
緑はパーマネントを手札に戻す効果がある二番手である。
白は低コストなパーマネントであれば戦場に戻すことができ、
青は呪文限定で手札に戻すことができる。
赤は墓地をシャッフルして無作為に手札に戻す類の非常に乱雑な墓地回収が
できたりするが、基本的には不得手とされる。
このように色の機能というのはある一色に独占させるのではなく
細分化して分配することによって、
かえって色の特色を際立たせることができる。
(余談だが、特に墓地回収・ドロー・サーチといった盤外にアクセスする機能は、
なるべく多くの色に分配して与えたほうがよい。
デッキや墓地からカードを引き出すアクションは動作のカタルシスが強い。
盤上のカード操作は平面の動きだけだが、
デッキや墓地をめくるアクションはプレイヤーに「縦軸の動作の快」を与える)
横道にそれたが、ゼクスの色分担に戻ってみると、
・火力、火力、ひたすら火力で役割不足ぎみな赤
・墓地回収、除去、チャージ加速と多芸な黒
・パワーマイナス効果を黒からガメたものの盤上しか触れない白
・リソース関連の効果を独占しているがそれ以外にほとんど特色のない緑
が目につく。そこで
・赤&白へ何らかの効果(できれば盤外にアクセスする効果)を分配する
・緑へリソース以外の効果を分配する
・緑のリソース操作効果を他の色に分け与える
というような役割の振り分けがされるとバランスがよくなる。
個人的に考える一例を以下に挙げる。
●赤にスクエア移動効果
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
フンガ・フンガ
(4)
赤ゼクス ― ギガンティック
5000
[自]:このカードがノーマルスクエアにいる相手ゼクスを
バトルで破壊した時、そのバトル終了時にこのカードを
その相手ゼクスのあったスクエアに置いてもよい。
(カードの向きは変わらない。)
●赤または白にリソース操作効果
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(4)
赤ゼクス ― ブレイバー
5000
[自]:このカードがバトルで相手ゼクスを破壊した時、
自分のリソースにある(IG)を持つカードを4枚まで選び、リブートする。
聖獣レストア・フェニックス
(4)
白ゼクス ― セイクリッドビースト
5000
[自]:このカードが登場した時、自分のトラッシュにあるコスト2以下の
カードを1枚選び、自分のリソースにスリープして置いてもよい。
●赤あるいは白にチャージ操作効果
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
混沌鍛冶スキルハート
(4)
赤ゼクス ― マイスター
4500
[自]:このカードがバトルで相手ゼクスを破壊した時、
自分のトラッシュから(IG)を持つカード1枚を選び、自分のチャージに置く。
再誕のリキュア
(6)
白ゼクス ― エンジェル
8500
[自]:このカードが登場した時、自分のチャージにある
コスト3以下のカード1枚を選び、自分の手札に戻す。
●緑に限定的な墓地回収効果
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獣王再戦
(1)
緑イベント
[EV]:自分の墓地またはリソースから、パワー10000以上のゼクスを
1枚選び、手札に戻す。
広汎な効果としてはひとまずはこんなところ。
だが、個人的にはいちばん推したい色の機能分担がもうひとつだけある。
墓地回収を普遍的に
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このゲームは後半になると、場面によっては
ドローするカードよりもIGでめくれるカードの枚数が多くなる。
そうなると自分のデッキに1枚だけ入ったエースが
イグニッションでめくれて、墓地に落ちて泣く状況がけっこう出てくる。
カジュアルプレイヤーの泣き言と思うかもしれないが、
しかしこの問題はMtGを開発するWotC社のカスタマー調査で、
「プレイヤーは自己ミル(山札削り)効果を嫌う」という
きちんとしたレポートになっている。
(参考――《甲冑のスカーブ》のトコ:
http://regiant.diarynote.jp/201111210730162484/)
プレイヤーは自分のデッキのカードが
使われないまま目の前で失われていくことに拒否反応を示すという。
そのせいで《弧炎撒き》はそのカードパワーにも関わらず
ミラディンでもっとも嫌われたカードの1枚になったのだと。
プレイヤーは自己ミルに体感的な不快を示す。
もしこのゲームがトーナメントプレイヤーだけでなく
カジュアルプレイヤーも大切にしたいと考えているのであれば、
この自己ミルに対するカジュアルな心理抵抗へのフォローは必要だ。
そこで最初にでた墓地回収の普遍化のはなしに戻ってくる。
どの色もあとで墓地から回収できるのなら、
プレイヤーが感じる自己ミルの心理抵抗を軽減できる。
もちろんそれは赤や青に《魔神の目覚め》の同型再販や
リアニメイト呪文を単純にデザインして与えるということではない。
ではどういうことなのか?
今の時点でイマイチ引っかかっているプレイヤーも、
次に自分が例示するカードを見てもらえば、
おそらくすんなりと自分の意図を納得してもらえるはずだ。
自分が考える、普遍化された墓地回収カードの例を挙げる:
小さなスナイパー リゲル
[2]
青ゼクス ― バトルドレス
3500
[自]:スタートカード
[起]:〈青5,チャージにあるこのカードをトラッシュする〉
自分のデッキ・トラッシュを見て「ソードスナイパー リゲル」1枚を探し、
ユニットのいないノーマルスクエアまたは自分のプレイヤー
スクエアに置く。その後、デッキを見た場合はシャッフルする。
リトル・エンジェル フィエリテ
[2]
白ゼクス ― エンジェル
3500
[自]:スタートカード
[起]:〈白7,チャージにあるこのカードをトラッシュする〉
自分のデッキ・トラッシュを見て「誇りのフィエリテ」1枚を探し、
ユニットのいないノーマルスクエアまたは自分のプレイヤー
スクエアに置く。その後、デッキを見た場合はシャッフルする。
そう、サーチ効果の拡張として墓地回収だ。
サーチ効果は書き方一つで墓地回収を兼ねられるのだ。
特定カードをサーチするときに、
デッキだけでなくトラッシュもサーチ範囲に含めてやるだけだ。
これならば、赤や青が墓地に触れてもフレイバー的な違和感もなく、
また「IGで落ちてもあとで回収できる」という保険があることで
ミルへのカジュアルな心理的嫌悪も軽減できる。
そういうわけで、墓地回収の普遍化をゼクスには強く望む。
オリカだいすき だいすきオリカ
前回のヴァンガードに続いて最後にオリカ。
けっきょくのところ遊宝洞ゲームへのいちばんの不満点は、
同型再販の多さ、つまりカードデザイン部分の凡庸さに尽きる。
デザイン空間なんてのはぱっと思いつくだけでもこれだけ広大なんだから、
もっと遊宝洞も色んなカードを作ってよぉ!!
と、1プレイヤーのそんな悲痛な叫びが
このオリカ群に込められているのかもしれないなわけねーか。
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砲炎のアヴァランチ・ドラゴン
(7)
赤ゼクス ― ギガンティック
10000
[起]:〈チャージ4点を支払う〉ターン終了時まで、このカードのパワーは
+3000され、以下の能力を得る。
"[常]:範囲攻撃(このカードは一回の攻撃で、このカードと同じ縦列か、
横列にいる2体の相手ゼクスに対して同時に攻撃を行える。)"
⇒前回のエントリで「千日手を終わらせるカードが必要だ」と書いたが、
このカードはそれと地続きの発想で生まれた。
「チャージをコストに使え」というそのエントリの内容を
引きずっているので少し不恰好な起動型能力になっているが、
デフォルトで範囲攻撃を持つ大型ドラゴンなんかがあったっていいのだ。
ピースキーパー テルス
(2)
白ゼクス ― ガーディアン <IG>
1000
[自]:ブロッカー (このカードと隣接するノーマルスクエアにいる
あなたのゼクスが攻撃された時、このカードを[→]してもよい。
そうした場合、そのゼクスの代わりにこのカードが
攻撃した相手のゼクスとバトルする。)
鋼城エージス
(2)
青ゼクス ― メタルフォートレス <IG>
3000
[自]:ガードマン ― バトルドレス (このカードと隣接する
ノーマルスクエアにいるあなたのバトルドレスが攻撃された時、
このカードを[→]してトラッシュしてもよい。そうした場合、
その攻撃を中止する。)
⇒このゲームはシステムクリーチャーがまず生存しにくいので、
ゲーム展開の多様性を考えるなら、
このようなタイプの保護能力を持ったカードはぜひともプールには欲しい。
⇒ただブロッカーは全体的なゲームを長期化させてしまう負の面もある。
カードプールに組みこむかは難しい問題だ。
投入するなら、最初はかなり弱めにデザインするのが丸いだろう。
下のように最初から種族を縛って様子見していくのもよい。
TCGはデフレは難しいがインフレは簡単だ。
騒演の合成獣ブレーメン
(9)
赤ゼクス ― ギガンティック
12000
[起]:〈スクエアまたはチャージにある自分の《制覇の黒馬ブケファロス》
《骨牙犬ボーンキーパー》《持ち逃げするメインクーン》
《煌きの金ゴールドピーコク》それぞれ1体ずつをトラッシュする〉
自分の手札にあるこのカードを、ゼクスのいない
ノーマルスクエアまたは自分のプレイヤースクエアに出す。
[自]:このカードが登場した時、ノーマルスクエアにあるゼクスを1体まで選び、
それに3000ダメージを与える。この手順をあと3回繰り返す。
FT:犠牲者の悲鳴で奏でる音楽隊。
⇒ウマ!イヌ!ネコ!ニワトリ!
(4)
白ゼクス ― エンジェル
4000
[常]:レンジ2
[自]:レンジを持つ他の自分のゼクスが相手ゼクスをバトルで破壊した時、
自分の山札の一番上のカードをチャージに置いてもよい。
魔弾クレイジー・パーティ
[3]
赤イベント (IG)
[☆]:ノーマルスクエアにある相手のゼクス1体を選び、そのゼクスに
6000ダメージを与える。
その後、スクエアにある自分の「レンジ」を持つゼクスの数まで、
[☆]の効果を繰り返す。
⇒役割不足ぎみな赤・白は、レンジのサポートカラーにするという手もある。
最初にも言ったけど、
不満点あげてるもののゼクスにはばっちりハマってます。
ソーシャルな要素、フリーカードの概念、ほんとうに白眉でした。
長文は期待の大きさ。
それでは、1.5を楽しみにまつ!
登録タグ:
テーマ:いちゃもん | 投稿日時:2012/08/12 17:52 | |
TCGカテゴリ: Z/X -Zillions of enemy X- | ||
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