国内TCGにいちゃもん

はてなブログではMTGのゲームデザイン論について語ってます。
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【VG】ヴァンガードの不満点 その1 UI編
「カードファイト!! ヴァンガード スペシャルカンファレンス2」開催!
【カードファイト !! ヴァンガード スペシャルカンファレンス2 開催】カードファイト !! ヴァンガード スペシャルカンファレンス2が2011 年 9月 26 日(月)秋葉原 UDX シアターで行われました。今回司会を担当してくれたの...

**ヴァンガードデビューdeレビュー

最近流行に乗って自分もヴァンガードデビューしました。

数十回プレイしてみて思ったことを、数回のエントリーに分けて投稿していこうと思います。

・1つ、カードレイアウトや書式などのUI部分への不満点 について。
・1つ、ヴァンガードのゲームデザイン について。
・1つ、アニメ『カードファイト! ヴァンガード』 について。

 この記事では一番上のUIと二番目のゲームデザインについて書いてあります。タイトルはUI編と書いてありますが、釣りです。自分がまず伝えたい4つの事項をピックして並べました。





**カウンターブラストアイコンの判別性

 カウンターブラスト、ソウルブラスト、ソウルチャージのアイコンの判別性が良くない。

 数回プレイしてカードの挙動を暗記するようになると慣れるが、初めてカードを手にとってテキストを読んだ時、アイコンと実際の挙動を結びつけるのに変換だけでなく判別の一手間を要求された。


 少なくとも、カウンターブラストのアイコンは横に90度回転させた方が他の2つとの判別性が高くなるはず。
 実際、ダメージゾーンのカードは横向きに置くのだ。


サンプル:



 なぜそうしなかったのだろう? これだけの規模のプロジェクトで、この程度のことが検討されなかったとは思いにくいが。



**起動効果と自動効果の混交

 ヴァンガードの自動効果のうち、コストを必要とするものの書式は、インターフェイスとして最低の部類に入る。


>自【V/R】:[あなたの手札から1枚選び、捨てる]このユニットがアタックした時、コストを払ってよい。払ったら、そのターン中、このユニットのパワー+4000。

>《薔薇の騎士 モルガーナ》のカードテキスト


 1つは、起動効果との書式の区別が非常に分かりにくいこと。

 2chのヴァンガードスレの初期では、「モルガーナの効果って手札を3枚捨てて+12000とか出来るんですか?」という質問が噴出していた。



 もう1つは、人間が文章を認知理解する際の視線誘導が考えられていないこと。

 "コストを払ってよい。払ったら、"の部分は、プレイヤーに「視線の出戻り」を強要する。


>自【V/R】:このユニットがアタックした時、[あなたの手札から1枚を選び、捨てる]のコストを払ってよい。払ったら、そのターン中、このユニットのパワー+4000。

>《薔薇の騎士 モルガーナ》のカードテキスト・比較用



 こうした方が絶対にスマートだ。
 人間の文章認知の手順に沿うのはどちらか、読み比べてみれば分かると思う。
 また、起動効果の書式との区別もより明確になる。



**パワー修整はつまらない効果


 ヴァンガードはパワー修整効果がとにかく多い。CB1で+3000するとか、その類。

 今出ている全ストラクチャーデッキで計算してみたら、バニラを除いた全38種類のカードのうち、22枚がパワー修整効果持ちだった。
 その中で、パワー修整効果しか持たないカードの枚数は、17枚だった。収録されているカードのうち、半分が単純なパワー修整だけしかしないカード。


 ゲームに作用する効果のうち、単純なパワー修整はもっとも面白くない効果の1つと自分は考える。


 理由は2つ。
 1つは、パワーの単純修整は「シナジーの終点の効果」であり、構築の魅力に乏しいから。
 1つは、パワー修整は身体性のまったくない、メタフィジカルな効果であるから。



***パワーの単純修整は「シナジーの終点の効果」であり、構築の魅力に乏しい
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「カードを探す、引く」「カードを捨てる、墓地に送る、戻す」「カードを起こす、寝かす」
 これらの効果は他のカードとシナジーしたり、あるいはもっと直接的に他のカードを引き込んだりしてプレイヤーにコンボの快を与える。
 《メイデン・オブ・ライブラ》と《お天気お姉さん みるく》。《キンナラ》と《サザーランド》。

 自分なりのシナジーの発見は構築における最大の喜びであるが、単純なパワー修整効果は絶対にこうしたシナジーの始点にならない。
 たとえば《デスメタル・ドロイド》を始点としてどんなデッキが組めるだろう?

 上の例を見る。ここではパワー修整は他に成立させたシナジーの報酬として与えられている。《みるく》や《サザーランド》でシナジーは止まる。彼らが他のカードへ新たにシナジーを渡すことはない。彼らは終点である。

 パワーというのは自分のカードと結びつくのではなく、バトルでの比較として対戦プレイヤーとのインタラクション(プレイヤー間でのやりとり・相互作用)へと向かう数値。
 パワーはシナジーの終点であり構築の魅力がない、というのはそういう点。

 パワー修整ばかりのヴァンガードでは、シナジーからシナジーをハブする連結点となるカードが少ない。それはTCGの醍醐味であるはずの構築の楽しみを稀釈してしまう。

 連結点が少ないということは、網目状のシナジーを作れず、デッキ構築がアスタリスク(*)のような分路状になるからだ。それはシナジーが噛み合わない引きを生むことになり、結果として事故の体感を増やすことにもつながってしまう。(デッキビルダーのNACならわかってくれるよね)



***パワー修整はメタフィジカルな効果であり、身体性に乏しい
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 パワー修整は仮想空間の……要するに頭の中のメタな数値を上げ下げするだけで、「プレイの楽しみ」として必要な身体的動作が付随しない。

 他のあらゆるカード効果、「カードを引く」「捨てる」「重ねる」「戻す」「起こす」「寝かす」には、かならず「カードに触れて動かす」という身体性が伴う。
 ヴァンガードは子供をメインターゲットにするTCGであるから、特にこの身体性は無視してはならない。頭の中の数値計算とカードを動かすのと、どちらが子どもに「プレイの楽しみ」を与えるか?


 パワー修整とシナジーするカードとして《ダイユーシャ》があるが、彼の存在をもってしても「パワー修整はつまらない」と言い切るのはこの2点にある。恩恵がクリティカル増加では結局「素早く相手を殺す」というシナジーの終点にしかならない。そして何より身体性がない。


 というわけで今のパワー修整効果の乱造は、その多くが焼き増し同型再販であることも相まって本当につまらない。他のバリエーションある、シナジーのハブとなる効果を作って欲しい。



**ブラストサポーターが欲しい

 最後の項目は数十回プレイしてみて、こういうカード効果が欲しいな、自分ならこういうカードをデザインするなというもの。カード効果のバリエーションが欲しいという意味で、上に絡んでいる……。
 まあ、オリカだね。


>ばいりんがる

>グレード0/ブースト/パワー5000/シールド10000

>《ロイヤルパラディン》・ハイビースト

>永:自分の(V)にある「ブラスター・ブレード」のコストを支払う際に、そのCB(1)の代わりに、自分のソウルにあるこのカードを自分のドロップゾーンに置いてもよい。



 カウンターブラストは、被ダメージというリアクティブな(受動的な)コストを要求する。さらに支払える総コスト量が1ゲームの間で厳しく制限されている。


 相手のプレイングや他のカードとの噛み合いによってプレイを制限される抑圧のジレンマがあり(「ダメージ1点止め」「コストもう払えないし残りのゲームの間バニラ同然だな、コイツ」みたいな)、それはそれで面白いが、子ども向けに作られたこのゲーム全体のゲームデザインを見るに、抑圧因子はもっと弱くてよいのだと思う。



>ががががーる

>グレード1/ブースト/パワー4000/シールド5000

>《ロイヤルパラディン》・ハイビースト

>永:支援 ― 「孤高の騎士 ガンスロッド」 (このカードと隣接する自分の「孤高の騎士 ガンスロッド」のコストを支払う際に、このカードを[→]することで、そのコストのうち[CB1]か[SB1]分の代わりとしてもよい。)



 上では使い捨てだったが、こういう風に継続効果にして、代わりにいろいろな縛りを加えてもよい。このような縛りであれば、配置やリア潰しの駆け引きを新たに加えることも出来るように思う。

 なんにせよ、ブラスト・コストを代替する効果はこのように非常にバリエーションを作りやすい。
 弱小ユニットがエースの能力を支援するというのは特に少年漫画的で絵的にもいいはず。


 いずれにしても重要なのは、受動的なコスト支払いにもっと自立性を、能動性を、構築段階からの選択権を与えて欲しい、ということ。


 コスト踏み倒し効果なので、支援できる範囲を広げすぎると危険だというのはもちろん分かる。特定カード名持ちに範囲を留めるのは、デザイナーが影響度をコントロールしやすいようにとの意図による。

 逆に言えば、カード名にスポットすることで、それまで弱カードとされてきたカードをピンポイントで救済することも出来る。コストが能動的に支払えるようになれば、一気に輝くだろうカードも何枚か浮かぶ。(今俺が誰のことを考えてるか、もう分かっているだろう!)


 オリカでそんなこと言ってどうするのかってことだが、まあ、自分オリカ好きだよってことで。


 ひとまず終わり、次のエントリに続く。

登録タグ: 株式会社ブシロード  カードファイト!! ヴァンガード 

あなたはこのブログの 4921 番目の読者です。


テーマ:日記投稿日時:2011/10/03 17:59
TCGカテゴリ:
表示範囲:全体
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現在“3件”のコメントがあります。
標準のアバター 保地 犬 さん [2011/10/29 09:47]
登録タグより失礼しますー。(自分でつけた2chで飛びました)
正直まずブログのタイトルで度胆抜かれましたw

読みやすくてこれからのVGに必要そうな諸々の問題点が提起されてますね。
特にアイコンの判別性は現在プレイしてても一番ネックになっている気がします。
何とかなるといいなーなんて思いますね。
萌えアルド I love TCG さん [2011/11/04 10:54]
コメントありがとうございます。
私はあなたのユーザー名にびっくりしました。犬が好きなのですか? それともご自身が犬の…い、いえ、失礼しました。お見逃し下さい。


ヴァンガードの島村プロデューサーはユーザーの意見を吸い上げてくれる人らしいので、twitterで呼びかけたら話だけでも聞いてもらえるかも知れません。狙うとしたらヤツです。

私は勇気がないのでほそぼそとしたブログ更新だけで溜飲を下げています…。

コメントありがとうございました。

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あと、アイコンのサンプル画像が見れてなかったのを修整しました。
萌えアルド I love TCG さん [2011/11/04 10:56]
黒星スリーブはみんなの青春。私も欲しいです。