国内TCGにいちゃもん

はてなブログではMTGのゲームデザイン論について語ってます。
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【Z/X】 ゼクス第一弾の不満点 全般編
遂に迎えた『Z/X』発売日当日のカードショップの様子をお届け!
2012年7月27日(金)いよいよ『Z/X - Zillions of enemy X - 第一弾「異形との邂逅」』が発売日を迎えました。そこでカードショップにお邪魔してその発売日の様子を探ってきました。▲お店に入るとまず目に入ってくる『Z/X』の特...

 

TCGクラスタで話題のゼクス、先週やっと初対人戦。面白かった。
ポジティブな意見はこの二週間でもう大方出てる感じだったので、
自分は不満点や気になった点をピックアップしていく。

誤解されないよう繰り返すが、Z/Xは面白かった。
でも「面白かったー」って感想は別に色んなトコで溢れかえっているだろうから、
こっちはあえて不満点を挙げていくことにする。


 不満点は全部で5つあるが、今回は以下の3つを取り出して語る。
 残り2つは次のエントリーで。

・3コストゼクスにだけは差異を作るべきでない
・殲滅戦コースに入ると鬼のようにダルイ
・フリーカードと製品版のビジュアルの差異



3コストゼクスにだけは差異を作るべきでない

フリー版・製品版両方の対戦をこなして、
ゼクスでは明確にやるべきでないと思ったのが一つだけある。
フリー版からパワー+500しただけの上位互換カードが製品版にいくつかあるが、
そのうち「3コストのカード」にだけは
そのような純粋パワー+500の上位互換をデザインすべきではない


製品版のインセンティブとして、
そのようなパワーによる純粋上位をデザインすること自体は否定しない。
しかし少なくともこの3コスト域のカードにだけは、
フリー版と製品版で単純なパワー+500だけの変更を設けるべきではない。


製品版 対フリー版で対戦したことのあるプレイヤーなら分かると思うが、1ターン目に
製品版3c5000ゼクスに立たれると、フリー版は途端に苦しい立ち回りを強いられ、
ともすれば守勢一方になる。

フリー版がそのターン出せるのは3c4500。殴り返しても倒せないので、
次のターンに確定で倒されるのを知りながらも
PSを守る壁としてしぶしぶチャンプブロッカーを供出するしかなくなってしまう。


第一ターンというのは人間でいうところの第一印象のようなもので、
初ターンのゲームプレイはまさしくそのゲームに対する今後の好感度に大きく関わる。
そんな重要な第一ターンに「壁を出すだけ」というプレイしか選べない状況は、
ゼクスの魅力を大きく伝え損ない、新規プレイヤーのモチベーションを削いでいる。

何度かフリー版デッキを使う新参プレイヤーを相手にしたことがある。
しかし戦ってみると序盤から一方的なゲーム展開で、正直気の毒になるほどだった。
「この5000がいきなり辛いよ。フリーじゃ製品版相手は無理ゲーだわー」、
そう言われて互いに苦笑するしかなかった。



「フリー版と製品版で差を作るなとでも言いたいのか?」そうではない。
最初に言ったがインセンティブとして二つに明確な差はあってもいい。
しかし第一ターンだけは、この二つは平等であるべきだ。
フリープレイヤーを製品版へと向かわせるなら、
少なくともスタートラインは平等だと思えるゲームで楽しませるべきだ。


ゲーム終盤に現れるカードならば、たとえば《アウグストゥス》が7000になろうが
《アドミラシオン》が7500になろうがそこまでの問題ではない。
しかし第一ターン必須の攻防に絡む《ヤタガラス》や《オーラペガサス》だけは、
製品版だろうがフリー版だろうがプレイヤーには平等なパワー値5000が必要だ。
第一ターンだけは製品版にもフリー版にも対等なゲームを与えなければならない。

 
長くなったが、自分の言いたいことは
『賭博破戒録カイジ』で会長が言ったこのセリフに尽きる。


 公平である必要はないが・・・・・・・・
 公平感は客に与えなければならんのだ・・・・・!



殲滅戦ルートに入ると鬼のようにダルイ

それぞれが自陣にちょっと堅めな布陣を敷くと、
お互い一向に相手にダメージを与えられないまま
IGで展開されたゼクスをえんえん削り殺しあう不毛な殲滅戦ルートに入ることがある。

「フィエリテでライノ殴り殺してエンド」
「IGとオーラビャッコ2体でフィエリテ殴ってエンド」
「IG、こっちもビャッコ出してビャッコ殴り返して…」

こうなると引きとIGの偏りによってしか決着が見いだせない、
長――く薄――い千日手をやらされているような果てしなくダルイ気分になる。

このルート、対戦時間15分ていどが主流の今のTCG業界で
30分ぐらい変化のない盤面がダラダラ続くし、見ててもプレイしてても楽しくない。
こういう状況でライフリカバリーが絡むとさらにオゲ――――って気分になる。

そういう千日手を深くやらせない、殲滅戦入ったらサクッと終わりに向かわせるような
ギミックがこのゲームには必要なように感じた。
今のところその誘導はデッキリフレッシュが担っているのだろうが、
それでも結局30分コースなわけで、現状あまりにも悠長すぎる。

いちばんカンタンなのはボード上を整理できる除去内蔵ゼクスを
カードプールに数枚忍ばせることだが、それだと環境のアーキタイプが
コントロール側に偏ってしまう可能性がある。


殲滅戦がつづくというのは要するにチャージが溜まり続けるという状況なのだから、
チャージをコストにアドを取れるカードを特に低コスト帯
意識的に1-2枚デザインしておく、というのがいちばんスマートな解法のように考える。


 (3)
 緑ゼクス ― プラセクト (IG)
 4500
 [起]:〈自分のチャージ3枚をトラッシュする〉ノーマルスクエアにいる
 相手のゼクスを1体選び、それを持ち主のリソースにスリープして置く。


 (3)
 白ゼクス ― セイクリッドビースト (IG)
 3000
 [自]:このカードが登場した時、ノーマルスクエアにある相手のゼクスを1体選び、
 ターン終了時までパワーを-2000する。その後、自分のチャージを3枚トラッシュ
 してもよい。そうした場合、その相手ゼクスのパワーをさらに-6000する。


あるいは、コスト部分にこのような制限をかけることで、
単色デッキや部族デッキの構築を誘導することもできる。


 (7)
 赤ゼクス ― ギガンティック
 10000
 [起]:〈[→],自分のチャージにある赤のカード4枚をトラッシュする〉スクエアにいる
 相手のゼクスを2体まで選び、それらにそれぞれ10000ダメージを与える。

 


いずれにせよ、今後フリーデッキや構築済みを提供する場合、
こういった「千日手を終わらせられるカード」を
意識的に数枚デザインしてデッキに入れておくのが、
初心者が間違いなくウンザリする千日手ゲーの発生抑止になると考える。


 

フリーカードと製品版の視覚的差異

最後に。
ゼクスではフリー版と製品版のビジュアル部分の差異として、
イラストサイズやら背景を微変更しているのだが、
《インペトラル・ジャッジ》はフリー版と製品版が見分けにくくて困った。
これはゲーム上の数値でも差があるので、もうすこし瞬間的な判別性がほしくなる。

 
 
      どっちが製品版でしょう?


個人的には、背景イラストというのは可視性にどれもムラがあるし、
製品版でわざわざ追加されてもありがたみはそんなに高くない。

もし製品版とフリー版でビジュアル部分に差異をつけるのであれば、
自分はフレーム、いわゆるカード枠を変更するのがいちばんよいように思う。

実カードレイアウトのなかでは、「カード枠」というのは一番いじりやすいし、
いちばん特別感や他との差異性を見出しやすい。
白枠やゴールドレアしかり、テキストボックスレスしかり、
透明フレームのエルドラージしかり。

http://dm.takaratomy.co.jp/capture/voldash06/index...
http://gatherer.wizards.com/pages/card/Details.asp...


現在のゼクスのフレームについて言えば、
コストを示すシンボルの下にそのカードの色を示す5つのアイコンがあるが、
これを製品版で取っ払ってしまえばいいのでは? と思う。

初心者に向けたフリーカード版では、
このゲームのカラー・ホイールの概念を暗示するガイドとして機能するが、
ある程度慣れた製品版プレイヤーには、そのようなガイドは必要がなく、
むしろ取り除かれることでイラストスペースが拡張され、
フリー版とは違う特別感を得られるようになる。


ってなわけで背景だなんだといわず、
カード枠そのものを明確に変更するほうが
製品版フリー版の差別化を強く印象づけられるのではないか、と自分は考える。





 自分のなかで長文化できた不満点は、今のところこんなところ。
 小さいところを含めるとあと2~3気になる点があるけども、
 全体的にはゼクスというゲームとその周辺の取り組みにはとても満足してる。

 次はカードデザインに関する気になる点を語る。続きはコチラから。
 http://tocage.jp/blog/2286/1344761535.html

登録タグ: 株式会社ブロッコリー  Z/X 

あなたはこのブログの 8445 番目の読者です。


テーマ:いちゃもん投稿日時:2012/08/12 13:43
TCGカテゴリ: Z/X -Zillions of enemy X-  
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現在“6件”のコメントがあります。
私服らいか Φ野仁志 さん [2012/08/12 21:22]
コメント失礼します。

シンボルアイコンを取ってしまえば良い、とのことですが、それは
少し難しい、というか、自分はやめた方がいいと思います。

というのも、色の識別が難しい、色弱という病気の人がいるからです。

デュエルマスターズでも言われたことですが、色だけではそういう人達に
優しくなく、最近では色以外にアイコンをマナのところにつけるようになりました。

それでなくても、今後レインボー(多色)カードが出て来た場合、
色だけでは分からないので、こういったアイコンで示すことも必要だと思います。
まぁ、アイコンの位置は変えても良いかもしれませんね。


あとついでに、これは別のブログ(不満デザイン編)についてですが、
同型再販をやめて欲しい、という意見だそうですね。

少し関係ない話、貴方はスマブラDX(スマッシュブラザーズデラックス)というゲームを
やったことがありますか?
あのゲームには、マリオとルイージ、ロイとマルス、カービィとプリン、
ファルコとフォックスのような、性能の似たようなキャラクターが多く登場します。
そのことについて制作者は、
「性能の近いキャラクターを作ることによって、より多くのキャラクターが
登場できるようにしました」とコメントしています。

これはカードでも言えることです。カードの数を増やそうと思ったら、
バニラはやはり全色同じようになってしまいますし、
どの色にもヴォイドブリンガーとライフリカバリーは入ります。
そもそもこの要素は、既にこれまでの結果によって導き出された答え
なので、特に書きませんが……。

あるいは納期への間に合わせ、ですか?
それに何の問題がありますか?
プロの世界では、〆切は最優先事項。
どんなに良い物を作っても、遅れることは許されません。

デザインの出し惜しみ、ですか?
では逆に聞きますが、デュエルマスターズが第一弾で
進化、サバイバー、ウェーブストライカー、跳んでサイキック、ガチンコジャッジ、
これらを一度に出したらどうですか?

そんなゲーム、出してたら今頃もうデュエマは無いですよ。

特に進化に至っては、一弾の時点で既に案が出ていました。
つまり、考えていたのに「デザインを出し惜しみした」んです。
これがどういうことか分かりますか?

確かに世の中には、「最初から最強」というのもありますが、
大概のものは、「これから成長していく」ものですよ?
もしz/xというコンテンツをこれから長~~く続けていこうと会社が考えているのなら、
そんな初っぱなから全力疾走するわけないじゃないですか。
会社の考えからすれば、
「これぐらいでもみんな満足してくれてるから、アレは4弾に回して
3弾は飽きられないぐらいにちょーっと面白い効果だしとこ」
って感じですよ。

ていうか、フラグもう立ててるから言いますけど、
もう多色をつくる案は出てると思いますよ? 総合ルール見れば分かります。

効果が被るカードが多いのは、このゲームがライトユーザーでも楽しめる
ように配慮しているからです。
もっといえば、MTGのようにパワーとタフネスが分かれてないからです。
そういう要素を絡ませる(貴方の言うように色ごとに特色をつける)と、
ゲーマーには楽しいでしょうが、初心者に分かりにくいところがでてくるんです。


あと、製品版でもパワーは4500がいいとのことですが、
「じゃぁフリー版使えばいいジャン」
……じゃぁ商品が売れんのですよ(泣)
なんだかんだで、あれレアですし。
売れない=コンテンツの崩壊なんで。

不満を提示することは何も問題ありませんが、
そういった事柄にはだいたい「理由」があります。
できれば、「なんでこうなんだよ!」という考え方ではなく、
「なんでこうなんだろ?」という思考を持ってください。
閉じていた視界(視野・世界)が、広がるんじゃないかなぁ、と思います。


……と、つい熱くなってしまいました。
すみません、上から目線で好き放題……自分の悪い癖ですね。

あぁそうそう、今までさんざんなこと言って来ましたが。
オリカいいですね! フンガ・フンガとかピースキーパー テルス
とか。
こういう効果はマジでちゃんと出て来て欲しいです。

あと、どういう効果かはよく考えないといけないかもしれませんが、
確かにもっと主役カードが活躍できるようにしてほしいですね。
イグニッションで切り札落ちたときはホント涙目なんで…。
標準のアバター 通りすがり さん (非ログインユーザー) [2012/08/13 01:22]
>φ野仁志 さん

横槍失礼します。
記事本文の「製品版も4500だったら良かった」に関して言及していますが、的外れな意見になっているように思えます。

客観的に考えて、『3コスト』ゼクスのパワーをフリー版に合わせた時、「それによって売れなかった損失」と「フリー版でも最初だけはある程度対等に戦えて楽しめる」のどちらかが製作側にとって利益になるかは断定できないと思います。
標準のアバター 通りすがり さん (非ログインユーザー) [2012/08/13 01:25]
訂正
どちらかが→どちらがより
構築アルド まさゆき さん [2012/08/13 16:43]
初めましてです。
個人的に気になったところにコメントをさしていただきます。
・殲滅戦になるとだるいですが、どんなTCG変わらないと思います。
なぜなら点(ライフ)を取られない限り負けない。なら点を取られないためにはどうしたらいいか、相手の出したクリーチャーを動き出す前に除去し、相手に出したらまた打たれるのだろうか?と考えさせるのも必要な手だと思います
僕の中でブロッコリー製TCGで3×3と言えばプロジェクトレヴォリューションを浮かべます。プロレヴォでも基本除去合戦から相手の隙を突くプレイで決める人たちが多かったし、僕もその感覚がなんとなくわかった気がします。
もしよかったらニコ動あたりでプロレヴォの動画を見てみるといいですよ。かなり長いですから・・・
・遊宝洞の悪癖、同型再販地獄
こちらは「公平感は客に与えなければならんのだ・・・・・!」で話はある程度解決すると思います。
私服らいか Φ野仁志 さん [2012/08/13 19:37]
通りすがりさんこんにちは~

いやはや、tenkoさんからどんな手痛い仕返しがくるかと思ってたら、
まさかの別の人からでしたという。

しかし……うん? 申し訳ございません、よく意味が分からないのですが……。
えっと、どちらが制作側にとって利益になるかは断定できない、って、
つまりは、「0円で売った物と、294円で売った物、どちらが利益になるでしょうか」という問題の答えが「分からない」であると、
貴方はおっしゃりたいのでしょうか?(←攻撃的。悪気はある)

まぁ、ユーザーからしたら、そんなん安いに越したことはないですし、
タダで遊べるならそれが一番かもしれませんが……

ユーザーにとってカードはあくまでゲーム、遊びかもしれません。
しかし、メーカーからしたらこれはゲームであっても遊びではなく、
ビジネスなんですよね。

別の例えをすると、(すみません、自分はこういう関係ないことで例えるのが好きなので……)

「課題の提出が遅れた人間も、普通通りに出した人と平等の平常点をつけよう」
という考え方は、本当に平等であるか、という話。
そんなの、真面目に勉強してきた人が馬鹿みたいじゃないですか。
(あ、ちなみに自分は余裕で提出期限破ります)

「義務」を果たした人間に「権利」が許されるのと同じように、
「対価」を払った人間がそれ相応の「有利性」を取れるのは当然なんです。
スタートラインは同じ? もちろんそうですよ。
誰も初めはカードなんて持ってないんですから。
だから、フリーペーパーの段階で、みんな平等だったじゃないですか。
スタートラインは同じですよ。製品版発売日も、基本同じで、
差はありません。平等です。

でも、製品版が出てから差がでた。何故ですか?
それは、他の人より「対価」を払った者が得た「有利性」ではありませんか?

ちなみに自分は、その「有利性」を得ていません。
まぁ、売ってないからですけど。
それに不満がないことはないですが、それは他のメンバーも同じなので、
うちでは未だにフリー版で戦ってます。
ですが、製品版売り出したら、確実に差がつくでしょうね。
より多くパックを買える人は、確実に強いデッキを作りますし、
ゼクス以外でも、他のTCGでも同じでした。
ですがそれは当然。
でなきゃ、わざわざ金を払った人が馬鹿みたいじゃないですか。

さて、分かりづらいので意見をまとめますが、
「それが商品である以上、値段に見合った価値をつけるべき。
それがビジネスというものであり、サービスである。
そしてサービスとは、なんでもユーザーの言うことが通ることではない」

ということです。

……と、色々なんだかんだで書いてきましたが。
通りすがりなのに、わざわざあんな長い文章読んでくださってありがとうございました。
まだ私に不満があるようなら、ガンガン意見を言ってください。
私は、私の意見が論破されるときを待っています。

あぁ、最後に一つ。前のコメントで勘違いされそうな書き方していたので
付け加えます。

確かに自分は製品版の3コストは5000で良いと思っていますが……

全部レアってどういうことなのよ!?
せめてアンコモンにして! 集めずらいから!

フェアリーライフ並の必須カードがレアってどういうことなの!

以上、長文申し訳ございませんでした。m(_ _)m
標準のアバター Vikram さん (非ログインユーザー) [2012/08/22 18:11]
That's really tihnikng out of the box. Thanks!