*恋するカードゲーム*　月原みゆき

コンセプト的にだいぶ煮詰まってきた女子向けカードゲームも通算５回目の連載となりました。
ということで、ここで根幹的なシステムについて考えてみたいと思います。

ここまで書いてきて目指すべき方向性は次の通りです。
ルールはシンプル・イズ・ベストで１ターンにカード１枚、効果は自動にしよう。
また人数はフレキシブルに２～６人程度まで対応できる。さらにできればチーム戦も可能であること。

これにうまく合致してくれるカードゲームは何かというと……

トリックテイキング

これしかないでしょう！
カードゲームの王様ですね。
数百種類あると言われるトランプゲームの内、５～７割はトリックテイキングゲームの変形だと言われるくらいですからね。
オリジナル系のカードゲームにもトリックテイキングゲームはけっこうありますし、歴史的にもっとも人気のあるカードゲームのスタイルと言っていいでしょう。
とはいえ、日本ではほとんど知られていないし、遊ばれていないんですけどね。

ヨーロッパの王侯貴族や貴婦人たちが夜な夜な舞踏会の後でカードゲームをしているシーンとか見たことがあるかもしれません。
あれこそトリックテイキングで最も代表的で有名なコントラクト・ブリッジなんですよ。
西部劇とカジノ以外で「カードゲーム」といえば、まず間違いなくコントラクト・ブリッジのことです。
日本でトリックテイキングゲームというとWindowsに入ってるハーツか、日本オリジナルルールのナポレオンですかね。

知らない人もいると思うので、トリックテイキングゲームの基本ルールを説明しておきましょう。
４人プレーとするなら、手札から順番に１枚ずつカードを出すだけです。
この４枚カードの中で一番強いカードを出した人が勝ちです。
この区切りをＴＣＧではターンと呼びますが、トリックテイキングではトリックと呼びます。
手札がなくなるまでトリックを繰り返して、より多くのトリックを買った人が基本的にはゲームの勝利者ですが、勝利条件はゲームの種類ごとにいろいろあります。

カードの強弱については、１枚目に出されたカード（リードカード）のスート（スペードとかハートとか）と同じカードの中で最もランクの高いほど強いカードです。
リードにスペードが出されたら、ダイヤ、ハート、クラブのカードは数字がいくら大きくても無条件で最弱になっちゃうんですね。
そして手札にリードと同じスートのカードを持っていたら、たとえ出したくなくても必ず出さなければ反則です。これをマストフォローと言います。
リードと同じスートがない場合のみ好きなカードを出せます。

それともう一つ。ほとんどのトリックテイキングにはトランプのルールがあります。
トランプは日本語では「切り札」と呼ばれています。
日本でトランプといえばplaying cardsのことをさしますが、本来はトリックテイキングゲームの用語なんですね。
トランプはリードのスートよりも強いカードとみなされます。
スペードがリードでもハートがトランプとして出されたら、ハートのカードの中で最も大きなカードの勝ちとなります。
ただし手札にリードと同じスートがある限りはトランプを持っていても出すことはできません。そこがジレンマなんですね。
トランプのスートはゲーム開始前にそのつど決めるか、あらかじめルールで指定されていることが多いですね。

以上がトリックテイキングゲームの説明になります。
しかし、これは基本の基本で、ここから変形させることでさまざまなカードゲームになるわけです。

実際、女子の間ではルールさえ共有できれば大富豪よりもナポレオンのほうが盛りあがっていましたので、女子のニーズ的にも大きいんじゃないですかね。
次回からはさらに女子向けに特化したルールを考えていこうと思っています。

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