黒緑ウリカ・パウロ(デッキ解説)
こんばんは、アゲハです。前回の記事の続きですので、挨拶も程々にして早速本題へ。
【黒緑の強みとヘル構築】
はじめに、《黒緑》を選ぶうえで、他色より優れている点はなんでしょうか。黒側の強みは前回の記事で書いた通りであり、「バーレー&ザガン&冥風」「眼光」「鎧、アザゼル」「ゴーントレット」です。
では、緑側の強みとは?
言うまでも無く、真っ先に挙げられるのが「刻印によるログ加速」ですね。現状のシステムでは、刻印を作る方法を持っているのは緑のみです。ログの総量を増やし、ゲーム中に取れる選択肢を増加させることは、他色には絶対に真似できない強みでしょう。
また、コンバットコードがウル・エオーのみに偏っていることも実は功を奏しており、無駄にコード枠を欲張って困ったり、その色独自の強みを潰したりすることがありません。そもそも、眼光の採用に加え、ディスペル・レジストの重要性の上昇、Sの枚数が増加している現環境においては、コンバットに裂くコード枠は少ないに越したことはありません。その点、ウルとエオーは1枚のカードで大きく数値を増減させることができ、役割も複数あることから、コンバットの枠を節約することができます。これが非常に環境にマッチしており、《緑絡み》が強いと言われた由縁でしょう。構築段階でメタに合わせた対策カードを積む枠が作りやすいのは、緑が持つ圧倒的なアドバンテージです。
また、共闘こそ存在しないにしても、緑のユニット、特に「ブリュンヒルド」を始めとした「ヴァルキュリア」には優秀なユニットが多く存在しています。そもそも怪獣軍団を選択しない以上は、怪獣に対してユニットパワーが一歩劣ってしまうのは当たり前の話。その中でも、ブリュンはギリギリ怪獣とも渡り合えるだけのパワーを持っており、これは混色において他に類を見ない強さでした。
さらに《黒緑》という組み合わせで見ると、6弾で追加された緑混色の3コストユニットのうち、唯一横にゴーントレットを置いても最大限の力が発揮できる「ヘル」の存在が目を惹きます。波長を取っても、2コストユニットと並べると初ターンに強化を乗せることができないので、怪獣と同様S3体キャストとなりがちですが、ゴーントレットと並べてアビ焼き耐性が180ラインあるのはとても優秀でしょう。これはシヴァビームに対して鎧1枚orフリー覚醒2枚で耐えられる、150オデン+ルーンフォースで届かないというラインであり、どちらも怪獣に対して嫌な顔をさせることができます。黄泉返りにより、S事故を軽減しながら安定してバーレー、ゴーントレット、スケッギョルドあたりを供給できるのも大きな強みです。
というわけで、僕が《黒緑》を研究していくにあたって、はじめに作ったレシピがこちら。本当は《黒緑超甲殻》なのですが、これはまた別のアプローチで作ったデッキだったので省きます。
CAウリカ・パウロ
M12
ブリュンヒルド・ザガン・ヘル各4枚
S20
スケッギョルド・ゴーントレット・バーレー各4枚
グリムゲルデ・ヴァルトラウテ各3枚
ロヴン2枚
C18枚
冥風・鎧・眼光・ウル各4枚
ディスペル2枚
《黒緑》を選択する理由をふんだんに盛り込んだデッキ。これでしばらく回して感じた点が、鎧の使いにくさでした。先攻取ってザガン効果を使うか、バーレーで手札を1枚切るかしないと衰弱が撒けず、このデッキは決して手札が多い方ではないため、バーレーのコストがかなり重かった印象です。また、黒選択の強みでこれまでは挙げなかったヴァッサゴを取れておらず、色々と中途半端だったかなぁという印象は拭えませんでした。
なんにしても、眼光にディスペルを合わせられると総崩れしてしまいます。
結局のところ、ヘルを置けない限りはゴーントレットの旨みも小さく、先攻を取られるとかなり厳しいことに変わりはなかったため、お蔵入りに。このデッキも、思い切りが足りなかったなぁ、といった印象でした。ヘルを使うのならば、いっそのこと名古屋CS入賞者の構築のようにfast衰弱死に振り切ってしまうべきだったでしょう。
このあとしばらくは、《黄単シヴァ》の調整に時間を費やします。
【黒黒の台頭から得たアイデア】
《黄単シヴァ》の調整や無難な《赤赤スサノヲ》を握る誘惑に僕がうなされている頃、この辺りで、名古屋オリジナル大会・名古屋CS・各地のSCSと立て続けに《黒黒フリーゲ》が結果を残していきます。その結果、これまではほとんど見かけることのなかった《黒黒》に関するプレイヤー同士の議論を見る機会が圧倒的に増えました。
そこで何度か目にした次の意見が、僕に天啓とも言えるアイデアをもたらします。
「《黒黒》はAcの魔弾とReの眼光で2段構えできるのが強い。魔弾にディスペル撃たれてもそのあと眼光でケアできるから、魔弾が撃ちやすい」
きっと《黒黒》使いにとっては常識な意見だったことでしょう。なんなら、それなりに実力のあるプレイヤーならば、《黒黒》を使っていなくとも理解していた部分なのかもしれません。
しかしながら、この意見は僕の凝り固まっていた頭を水につけたわかめの様にふやかしてくれました(この例えどうなんだ)。
すなわち、「ソーン・眼光でAc・Reの2段構えしたら、ディスペルされたってほぼ確実に守ることできるんじゃね?」ということですね。
ちょうど、終盤に出てくるヤマタノオロチ含みSMパンチを止める手段がなく、育ったスサノヲパンチを守って突破してとするとかなり負担が掛かる、という事実に辟易していたところだったので、この発見はまさに目から鱗でした。言われてみれば当たり前なことしか言ってないんですが、僕にとっては目から鱗な事態だったことに違いはありません。
こちら先攻SMパンチ→相手S受け→相手SMパンチ→寝てるS受け→立ってるMにソーン(ディスペル)→相手M単騎(眼光)→こちらSMパンチ
という流れで、こちらはSのみの消費で相手のライフ側にSMパンチを2回通せる動きが非常に強い動きです。特に《赤赤スサノヲ》を見たとき、スサノヲの成長を1回で止めてSMパンチをすることができるので、共闘+神威+鬼武者1回の200ラインに対して、標準的なSMパンチラインも200と、何かしらの札を要求できる点が優秀でした。
そこで、この「ソーン眼光の2段構えでM1体を確実に止める」というコンセプトのもと、かなり先攻を取りやすくしつつ仮で組んだレシピが以下の通りです。
CAウリカ・パウロ
M12
ブリュンヒルド・ザガン・ロスヴァイセ各4枚
S21
スケッギョルド・スルーズ・ゲイレルル・グリムゲルデ各4枚
ラタトスク3枚
ヴァッサゴ2枚
C17
ウルソーン冥風眼光各4枚
ディスペル1枚
・《赤赤スサノヲ》のA++以上の枚数が、近江十勝夢咲チルヒメ各4枚の16枚といったところだと思うので、ここを意識してA++以上の枚数を15前後で調整。
・オーディン相手に、M単騎→オデン焼き非ライフ側、のあとのSSパンチで強化1枚乗ったオーディンに札要求できるゲイレルルの採用。
・プレミの温床であるバーレーを抜き、ザガン+冥風での流し際焼き1本に絞る。
といった感じの構築。これが思ったより良い感じで、一人回しの段階では《赤赤スサノヲ》に対してかなりの勝率を叩き出すことができました。
ただし、この構築では《緑単》に対する勝率が芳しくなく、一部を変更。
具体的には、
・そもそもオデン側へのM単騎が通らないので、オーディンを意識して採用したゲイレルルを抜く。
・これで空けた枠に、さらに先攻を取りやすくするため、2種目の俊足であるゲリ&フレキを採用。
・ザガンがいないと腐りやすい冥風を抜く。
・それでもせざるを得ないM単騎を通しやすく、かつアビ焼き等《緑単》に対して役割の多いアザゼルの荒ぶる闘気を採用。
特に、ザガンがいないと共闘が焼けず、そもそも共闘が出てこないと役割の少ない冥風抜きが真っ先に決まりました。というのも、ソーン眼光で数値を無視してアタックを止めるため、冥風を盾的に使う機会も少なかったからです。逆に、アタックを止められることが多いと感じたので、攻め札としてアザゼルを採用。これがやはり強かったです。
また何より、ゲリフレの採用が一番の正解でした。俊足が2種になったことによる、圧倒的に先攻の取りやすさが増加。どうしても、ブリュンがライフ側にいるにも関わらず、非ライフ側に置かざるを得なかったスルーズをライフ側に置けるようになり、かなり安定感が向上したことも見逃せません。ゲリフレを勧めてくれたフォロワーさんには感謝です。
で、「このままでは万雷を撃たれたときに何も対抗する札が無く厳しいのではないか」や「環境的にやはりディスペルは強い。《緑単》多い読みならなおさら」といった意見をいただき、レジストの採用やディスペルの増量を実施。
最終的には、前日予選レポにも乗せたような構築となりました。
CAウリカ・パウロ
M12
ブリュンヒルド・ザガン・ロスヴァイセ各4枚
S20
スケッギョルド・スルーズ・ゲリ&フレキ各4枚
ラタトスク・グリムゲルデ各3枚
ヴァッサゴ2枚
C18
ウル・ソーン・眼光各4枚
アザゼル・レジスト・ディスペル各2枚
ロスヴァイセの枚数が3でラタトスクやヴァッサゴが増えたり、ディスペルとレジストが互いに枠を奪い合ったりなどしましたが、結局は一番丸い構築に落ち着く結果に。
ロスヴァイセは3枚でもいいかと思いましたが、やはりソーン眼光をより多く引きたく、緑シングルシンボルに音叉がいないことから、疑似W音叉の役割として、やはり4枚あった方がよいという結論になりました。なにより、初ターンの理想盤面に必要となってきたので、フル投入は間違いではなかったと思っています。
コードの2枚枠やラタトスクの増量、グリムゲルデの減量などは頭を悩ませましたが、ブリュンが横にヴァルキュリアを要求する点や、レジストもディスペルもどちらも欲しい場面が必ず訪れる点から、このままでいくことに、前日で腹を決めました。
【黒緑ウリカ・パウロの動き】
このデッキを作った当初の目的は《赤赤メタ》です。ですので想定していた動きが、前述した「相手のパンチをSM1回に抑え、こちらはSMパンチを2回通す」ことでした。実際、《赤赤スサノヲ》を相手したときはこの動きで流していくことが多く、水鏡を連打or構築がバレてのお願い万雷されない限りは、一方的と言えるぐらいの勝率を叩き出していたと思います。
ところが、《緑単》を相手に回し始めてから、やはりオーディン相手にSMパンチスタートはできないことが大きな壁として立ちはだかりました。M単騎から入り、しかもそれではオーディンに止められる可能性が高いため、仕方なく非ライフ側へ……なんてことを繰り返す展開が多く、ライフを奪える気配がまるでありません。しかしながら、ソーン眼光グリムゲルデで守りの堅いこちらも中々点を奪われることがなく、山切れまでもつれることもしばしば。
ここらで、苦手だと思っていた《緑単》相手にも、ライブラリアウトを狙うことで勝ち筋が存在していることを意識するに至り、それも含めて上記のデッキリストに辿り着くこととなりました。
よって、このデッキのゲームプランとしては、
・相手のアタックを捌き、安全に大きなパンチを通してアタボを取っていく。
・先攻を取り続けて粘りに粘り、山切れ勝ちを狙う。
の2点が存在します。相手のデッキタイプ、試合展開等から、序~中盤までにどちらで勝つかを見定め、それに合わせたプレイをしていく必要がありました。そんなわけで、このデッキはかなりのプレイング難度を要求されており、結局のところ、僕というプレイヤーには十全に使いこなすことができず、本戦予選落ちという結果に終わってしまったのだと思います。
まあそれは置いておいて、本当に、相手と盤面と手札によるので一概にこうとは言えませんが、僕なりに大切にしていた展開等動かし方を、ポイントごとに並べていきます。
○初ターンの理想
初ターンの理想盤面は、スルーズ・ブリュンorザガン・ロスヴァイセ・ゲリフレです。ロスヴァイセが初ターンにいることが理想であるのがミソで、このキャストをすることで、手札の補充と刻印の作成ができます。
また、この構築のSサイズには、アタック値80を出せるユニットがいません。そこで、全損かユニットを取るためには初ターンからSMパンチをしていく必要があり、そういった意味でも、ロスヴァイセはザガンやブリュンよりも捻りやすいという点で優れていました。
この段階で手札にどれほどソーンと眼光があるかによって、以降のゲーム展開に大きな差が生まれてきます。多ければ多いに越したことはないため、ここでなるべく引き、手札を潤沢にしておきたいところ。
実際の話。実際には、後攻でS受けスタートをすることが多く、全損を取れない場面がよくありました。そのためにヴァッサゴを投げるべきか、あるいはギアチェンジして先攻をとるべきだったのか、はたまた別の選択肢があったのか……。初ターン後攻スタートの動きについては、研究不足感が否めなかったです。
ただし、絶対に言えることは1つ。初ターンで全損を取れないと、以降、かなり殴るのが難しくなって厳しかったです。
○vsオーディン
いやまあ、これが分かってたら苦労しなかったし、もっと自信を持ってGCSに臨めてたんですけどね……。
なんにしても、オデン警戒のパンチをしているとあっさり受けられて先攻の優位性を奪われてしまうことが多いです。コンバットが多いときにオデン受けを誘うようなパンチをすることはもちろん、1アクション目からソーンを投げていく・フリッグがいないときにレジストやアザゼルを切っていく・即死に繋がらないのならば、フリッグがいてもレジストを切って消耗させていく、などのプレイングが随所で必要になりました。
とにもかくにも、盤面と手札から、常に最善手を打ち続けることができれば、十分に勝機はあります。ということは、言い換えるとそれだけの腕がプレイヤーに求められるマッチアップということであり、やはり僕の力がまだまだ足りなかったということを痛感しますね……。
ソーンや眼光のせいでコンバットを吐かせる機会も多くありません。結果、札を貯めこまれて、ソーン眼光が切れた瞬間にぼっこぼこにされることが最もたくさん見られた負けでした。如何にしてオーディンに札を吐かせていくか、という点が重要であり、対《緑単》ではここをうまく運べると、調子よく山切れ勝ちが狙えると思います。
○ギアチェンジ
このデッキは焼きが一切搭載されておらず、しかもコンバットにリソースを裂いたデッキでもありません。水鏡の撃たれ方によっては、アタボを取って勝てるはずの《赤赤スサノヲ》にさえ、ライブラリアウトを狙わざるを得ないこともあります。
そういった意味でこの構築は、やはり山切れまで粘る機会が非常に多いです。音叉とロスヴァイセとで山を掘る関係上、後攻を何度も取っていると、こちらが山負けすることもあってしまいました。ある程度の手札は諦め、積極的にギアチェンジをして先攻を取りにいく必要があるでしょう。
体感的には、初ターンを除いて、後攻に甘えるのは2~3回程度が限界だと思います。
○マリガン
多くのデッキに対して山切れを狙うことになり、ライフ勝ちが狙える相手でさえ試合展開によっては山切れを狙うこととなるこのデッキでは、マリガンもなるべく少なく収めたいところ。
自分の中の規準では、キャントリップがついているMが引けていれば1枚程度までで済ませることにしていました。Sは多く入っているので、引けるだろうという判断ですね。ソーン眼光はできるだけ切りたくない札なので、本当にユニットがいないときしか切りませんでした。
また、相手のマリガン枚数に合わせることも多く、相手のマリガンが多ければこちらもある程度マリガンしていって良いですし、相手が少なければそれだけこちらもリスクのあるマリガンをしていかなければならないでしょう。僕はなるべく、相手が枚数を決めるまで待ってから枚数を決めるようにしていました。もちろん、そこで時間が掛かってタイムアップをしていては仕方がないので、ある程度までですが……。
【最後に】
気付けば、馬鹿みたいに長い文章となってしまいました……。書き始めると長くなるタイプではあるのですが、この時間を使えば短編一本ぐらいは書き上げられそうでしたね……。
しかも、肝心のデッキ解説の部分が随分とぺらっぺらな内容になってしまっている気もしますが……気にしないことにしましょう。
今回、GCSに持ち込んだこの《黒緑パウロ・ウリカ》は、自分なりにしっかり環境を読み、そこに合わせて自分なりに回答した初めてのデッキでした。これまでは、既存の強力なデッキタイプを使うか、無理のあるこだわりを通して勝ち目の薄いデッキを握るかのどちらかだったため、一から自分で考えて作り上げたデッキ(もちろん、骨格ができたあとの細かい肉付けの部分は色んな人に相談に乗っていただきましたが)を握り、しかもそれでそれなりの結果を残せたことは初めてで、前日予選を抜けたときなんかは本当に嬉しかったです。構築を見せた、何人かの尊敬している友人から褒められたことも忘れられません。こんなにも長い文章を書いていることからも、かなり本気で喜んでいることは伝わっていることでしょう(笑)
だからこそ、デッキの強さに対し、自分のプレイが追い付いていなかったことが悔やまれます。もっと時間を作り、本腰をいれて調整していたら……。もしも、直前に負けが立て込んだことで自信を失ってしまうことがなく、《黄単》や《赤赤》を握っていた時間をこのデッキの練習に充てられていたら……。もう後の祭りですね。後悔先に立たず。次期はこうなってしまうことがないように、精進していきたいところです。
とにもかくにも、僕にしては珍しく、本気で環境と向き合い、考え、そしてその全てをここに載っけました。よければ、ここが違うと思う、ここをこうしたらもっとこうできたと思う、etc...意見でもなんでもいただけたら嬉しいですね。気付いたことがあったら、ぜひ教えてください。
さてさて、本当にものすごい長さの文となってしまいました。ここまで書くのにもう3日使ってます(笑) さすがに疲れが……(笑)
ここまで付き合ってくださった方、弱小プレイヤーによる弱小プレイヤーなりの解説はいかがだったでしょうか。自分の記録のために書いたものではありますが、少しでも読んでくださった方のお役に立てていれば幸いです。
ではでは、いい加減にここらで筆を置くこととして。
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
また次回があればそちらで。アゲハでした。
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あなたはこのブログの 802 番目の読者です。
テーマ:考察という名の戯れ言 | 投稿日時:2016/09/29 02:41 | |
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