ドレッドノート・ステップアップV3:3
Chapter3からドレッドノートを始める人向け、ドレッドノート・ステップアップV3。
今回はめんどくさいことばかり書いてあった前回とは違い、分かりやすく全カードレビュー。
具体的なカードの評価と使い方を交えて、スターターデッキ「煉獄ノ王」「雷鳴ノ帝」の全てのカードについて解説していく。
まずは「煉獄ノ王」からレビュー開始といこう。赤黒の方だ。
●煉獄ノ王、概要
このデッキは、相手を弱らせながら弱みに付け入るようにして殴り倒すコントロール気味の赤黒「鬼」デッキだ。
「鬼」のタイプを持つユニットを揃えており、この「鬼」はサブエフェクトを捨てている代わり、通常のユニットより基本的な性能に優れる。
また敵軍ユニットに「衰弱」を与える手段も多くあり、基本性能とBPの差を前面に押し出し制圧していくような戦い方ができる。
弱点は、デッキの大半のユニットがサブエフェクトを持たないことから来る駆け引きの弱さ。
手札に「見えない戦力(コンバットトリック)」を隠し持つことが困難なため、アタックとブロックを巡る攻防において、「相手にプレッシャーを与えて安全策を取らせる」という動きができない。
そこをどうフォローするかが、勝敗を分けるのカギとなる。
●ユニット個別評価
ここからは、まずユニットをフリーペーパーの掲載順に個別評価していく。
そのカードの評価だけでなく、実戦ではどういう使い方をするのかも合わせて紹介する。
▼《赤鬼》
サブエフェクトが「覚醒:BP+20(Type:鬼)」になっている、俗称タイプ覚醒持ちのSサイズ。
この手のユニットは、基本的に『コスト0でBP20増加』のコードカードのような使い方をするのが基本だ。
「煉獄ノ王」では、貴重なリアクション手段であり、攻防共に見えざる戦力、コンバットトリックとして活躍する。
なおユニットとしてキャストするのは避けた方がいい。基本性能が基準値通りの《赤鬼》は戦力になりにくいからだ。
ユニットの基本性能の高さで優位に立ちたい「鬼」デッキでは、特に「BP70と並みの性能止まりであること」が枷になりかねない。
ダミーを出すよりはまし、と思うかも知れないが、貴重なコンバットトリックである《赤鬼》を使ってしまうくらいなら、いっそダミーの方がいい状況の方が多い。
コードカードと違う点として、先攻を取りたい時にはギアチェンジでスピードカードにできるという利点がある。《山姥》に限らず、先攻を取るのはこのデッキでは重要だ。勝負が決まりそうなターンにはできるだけ先攻が欲しい。
▼《悪鬼》&《悪鬼 弐》
《悪鬼》はSサイズでBP80、サブエフェクトなし。俗に言う「80バニラ」。
《悪鬼 弐》はMサイズでBP110、サブエフェクトなし。こちらは「110バニラ」。
何の強みもないように見えて、実際これ単独だと大して強くない。この手のユニットが真価を発揮するのは、他のカードと組み合わせた時だ。
まず《悪鬼》に「強化」が1枚エンチャントされれば、それだけでBPが100になる。Mサイズの標準的なBPと同じ、つまりMサイズユニットと同じような強さが期待できる。
また《悪鬼》と他のSサイズユニットがアタックすれば、それだけでアタックダメージは最低150。これはHP3枚分をブレイクでき、またBP100のユニットが《アテナの煌めく盾》や各種1コストコードを使っても仕留められる威力。
《悪鬼 弐》はアタックダメージ100止まりの半端なアタックになら耐えてくれるので、相手としてはアタックダメージが大きなユニットを使うか、複数体でのアタックを行わなければならない。
そこに《赤鬼》やBP上昇コード《ベリトの闇の鎧》、その他このデッキなら使える「衰弱」が加われば、攻撃面でも防御面でも役立つ。
地味に強い、それがBP10の差だ。
▼《酒呑童子》&《霧島 ケイゴ》
《酒呑童子》はログコスト②でBP110。基本性能にはやや不満が残るが、《Fast》アビリティ『霊威』によって、山札を2枚捨て札にするだけでBP130になってくれる。
《霧島 ケイゴ》の持つ『魂の絆』のおかげで、キャストしたターン中は更に「強化」が1枚追加されてBP150。BP70のSサイズ2体でアタックされても耐えられる、かなりの防御力だ。
さらに、アタックに回れば『猛攻』によってアタックダメージ+20。これでアタックダメージは実質150、『魂の絆』があれば170と、簡単には防げない威力になる。
攻めるにも守るにも使える、力押しの権化みたいなユニットだ。ただしサブエフェクトがないため《赤鬼》なしでは「覚醒」できないので、過信は禁物。
▼《泥田坊》
ログコスト①でBP110、なんだ《悪鬼 弐》と同じじゃねえかと侮るなかれ。
『呪言』は、手札かスピードカードから「鬼」を捨てることで、相手のユニット1体に「衰弱」をエンチャントする。
これは《Fast》アビリティなので、アクションフェイズでの殴り合いが始まる前に相手を弱体化させることができる。
基本的にはMサイズのユニットを狙っておいて「アタックをSサイズでブロックしたけど、生き残ったMサイズが単独でアタックしても防がれそう、仕方ないから2体でアタックしよう」という流れを作る。
また、もうひとつのアビリティ『殺意』のおかげで、相手のユニットに1枚でも「衰弱」がエンチャントされていれば、それだけでBPが120になる。
何枚「衰弱」があってもBPは120で止まるが、BP120ということはアタックダメージ120。
これはBP100のMサイズに「強化」が1枚エンチャントされていても撃破できる威力だ。
「衰弱」も合わせれば、合わせてBP30分の違いが出てきて効果絶大。
なお『殺意』は「衰弱」が相手ユニットについていれば、何による「衰弱」かは問わない。そして「衰弱」がなくなると『殺意』も消える。
「衰弱」させた相手ユニットを全滅させてBPが元通り、などという展開には気をつけよう。
▼《山姥》
BPは70だがアタックダメージは80、先攻だったらアタックダメージ100という優秀なSサイズ。
サブエフェクトはないが、Sサイズ単独でアタックダメージが100出せれば十分。
他のSサイズと一緒に170ないし180ダメージを出せば、相手からすれば防ぐのがかなり厳しい。Mサイズユニットと一緒にアタックすれば、Lサイズのユニットだって撃破できる。
と言っても、大抵はSサイズユニットでブロックされることが多いため、その強さを実感する機会は少ないのが悩みどころ。
▼《雷鬼》
このユニットがターンを越えて生き残ると、スピードフェイズでSPを比べる時に先攻を取りやすくなる。
基本的に、カードに印刷されているSPの+の数は0~3個。3個の+がついているカードはかなり少ない。
そしてSサイズユニットはA、MサイズとLサイズはB、コードはCというのが基本的なSPだ。
先攻を取ってぶん殴る、という動きがしたい「煉獄ノ王」にとって、先攻を取りやすくなるのはありがたい。
《雷鬼》自体もSサイズでBP80と《悪鬼》と同じ強みを持っている。スピードフェイズ中以外は何の効果も持っていないものの、最低限の仕事はしてくれるだろう。
▼《クランプス II》
《泥田坊》から『殺意』がなくなって、ログコスト0になったようなユニット。
「トイフェル」のタイプも持っているが「煉獄ノ王」では全く関係ない。
『呪言』の強さについては前述の通り。注意点としては、《泥田坊》や《クランプス II》が複数体バトルエリアにいるとき、無理に全ての『呪言』をプレイする必要はないということだ。
手札に余裕がないなら、あえて一部だけプレイするに留めるという選択肢もある。
まあ、「覚醒」用に手札にユニットカードを抱えておく必要のない「鬼」デッキでは、大して心配しなくていいのだが。
▼《べリアル》&《リリー・ヤコブス》
「煉獄ノ王」の目玉ユニット。ログコスト③だが《リリー・ヤコブス》の『魂の波長』があれば、1ターン1体までは実質ログコスト②でキャストできる。
BP120に加えて『冥影』が非常に強力。同じバトルエリアに赤のSサイズが必要だが、それさえ用意しておけば『呪言』の4倍の高効率で「衰弱」をばらまいてくれる。
合計で最大80ものBPを下げてくれるのはもちろん、『殺意』や《ベリトの闇の鎧》といった「衰弱」を参照する効果を持つカードとも相性抜群。
敵軍SサイズがBP50まで縮めば、Sサイズ2体でアタックされても《べリアル》でブロックして耐えられる可能性も高い。
もうひとつのアビリティ『サディスト』は「衰弱」がエンチャントされている相手ユニットをブレイクするたびに、自身に「強化」をエンチャントするか、相手のバーストを1枚チェック状態(横向き)にするか選べるという変わったもの。
単に《べリアル》のBPを140、160と上げていくのもいいが、相手のノーマル状態のバーストが残り1~2枚という状況なら、バーストをチェックするのも悪くない。
ログコストが①のコードは、戦闘に直接干渉するコンバットトリックが数多い。それを封じ込められるというのは結構な利点だ。
▼《モレク》
LサイズユニットでBP180、『活力』のおかげで、手札枚数を減らすことなくキャストすることができる上に、状況に合っていないユニットカードを新しいカードに変えられる、手札に優しい奴。
もうひとつのアビリティ『大暴れ』も地味に便利で、こちらも状況に合っていないコードカードを相手ユニットへのダメージに変換してくれる辺りが手札に優しい。
先攻を取って相手のMサイズに130ダメージを叩き込めば、相手は対応のためにリソースを使うことになる。
もしそのままMサイズユニットをブレイクできれば、相手の攻撃力を大幅に削り取ることができる。あらかじめファストフェイズに「衰弱」をエンチャントしておけば、より一層確実だ。
●コード個別評価
ここから先はコードカードの個別評価。
実はChapter1からの再録が多い(サブエフェクトが変わっている)のだが、今回はこのデッキでの評価に絞っていく。
▼《神通力 鎌鼬 弐式》&《神通力 烈風》
ログコスト②で100ダメージと、ログコスト④で160ダメージ。単純で便利なコードカード。
ドレッドノートでは、基本的に1ターンに行えるアタックは3回が限度だ。つまり、1ターンにブレイクできるユニットは3体までと言える。
しかし、これらのコードダメージを与えるカードを使うことで、1ターンにブレイクできるユニットを増やすことができる。
それだけではなく、例えば「敵軍Mサイズに先んじて《神通力 烈風》を叩き込み、相手側の攻撃力を大幅に落とす」とか、「お互いのアタックが全て終わった後、もう「覚醒」やコードで耐える余裕もないと見越して《神通力 鎌鼬 弐式》で相手ユニットを狙う」といった駆け引きも生まれる。
ログコストに余裕があるのなら、《べリアル》とも好相性だ。『冥影』でBPが下がったユニットをコードカードでブレイクし、『サディスト』をプレイすることで相手にユニットを失う以上の痛手を負わせることができる。
▼《アスモデウスの眼光》
防御面の弱い「煉獄ノ王」における、超強力な防御手段。
その効果はアタックのキャンセル。簡単に言えば、アタックされている時、そのアタックをしているユニット1体を「アタックしていなかったことにする」というもの。
アタックをキャンセルされたユニットはチェック状態になったままなので、このターン再度攻撃されることもない。
Mサイズユニット相手にこれが通れば、アタックダメージを100以上減らすことができる。後は《酒呑童子》や《べリアル》の高いBPで、相手のアタックを防いでしまおう。
注意する点としては、アタックされた場合、このコードを使う前にブロックするユニットやキャスターを決めなければならないこと。
「《ヴィシュヌの天眼》でコードがキャンセルされたからユニットでブロック」とか「ゴッドドローして《アスモデウスの眼光》引き当てたからユニットでブロックしてプレイ」とかいった動きは不可能だ。
▼《ベリトの闇の鎧 Version2》
リアクション連鎖終了まで、BPを上昇させる便利なコンバットトリック。
アタック・ブロック時だけでなく、《神通力 鎌鼬》や『大暴れ』に狙われたユニットを守るためにも使える。
ただし、そのBP増加量は、このコードが解決される時点で相手側に「衰弱」があるならBP+40。もし「衰弱」がないならBP+20となってしまう。
可能な限りBP+40として使いたいので、「衰弱」をエンチャントできるユニットはある程度大事に扱いたい。
特に「煉獄ノ王」においては、《赤鬼》と《泥田坊》の「覚醒」と《ベリトの闇の鎧》しかBPを上昇させる手段がない。
貴重なコンバットトリックなので、くれぐれも無駄に使わないように。時にはユニットを見捨てる覚悟も必要だろう。
▼《ベルゼブブの冥風》
またの名を《ベルゼブブの魔風 Version2》。
「Ac」で使うと、ユニット1体に「衰弱」2枚をエンチャントしてBP-40。
単体へのBP減少としては『呪言』や『冥影』よりも効率がいいものの、ファストフェイズではなくアクションフェイズに使う必要があるのが若干苦しい。
相手のアタックを捌く自身がない限り、アクションフェイズの早い段階で使うのは避けた方がいい。
「Re」で使うと、アタックダメージを40点軽減する。
「衰弱」によるBP-40の方がお得に見えて、実際その通りなのだが、こちらは「Re」なので相手のアタックに割り込んで使えるのが強み。
基本的には、「Re」のコード効果を、強力なMサイズユニットを守るために使うことになるだろう。
▼《ストライキング》
ログコスト③と若干重いが、アタックダメージ+60と大幅な打点上昇を行う「Re」コード。
この+60という数値はコンバットトリックの中でもトップクラスで、かなりの確率で相手に損失を与えることができる。
ただし、相手がアタックに対して抵抗を試みてくれないと使う機会がないため、若干扱いにくいのが悩み。
「鬼」デッキには「覚醒」が少ないのを逆手にとって、Sサイズ単独でアタックし、Mサイズがブロックして耐えようとしてきたところに《ストライキング》で相手のMサイズを仕留める、というのが理想形。
これを狙うなら、アタックに関して性能の高い《山姥》が適任だ。
●アームズ個別評価
最後にアームズの個別評価も行う。一種類しかないけど。
▼《炎鞭 フェーゲフォイア》
Chapter3アームズ共通効果の『加護』は、アタックボーナスを無効化する。
通常、同じバトルエリアに向かって2回アタックを通されると、アタックボーナスかキャスターのブロックによってHPに損失が出るものだ。
だがアームズはアタックボーナスを無効にすることで、残りHP1枚でもターンを耐えられる可能性を生み出してくれる。
各種コードや『大暴れ』を使って、なんとか1ターンを生き残ろう。
もうひとつのアビリティ『紅蓮撃』は、実質ログコスト④で130ダメージ。
《神通力 烈風》と比べるとやや火力が落ちるが、それでも130ダメージはコストなしのMサイズをブレイクさせるには十分な威力。
相手のユニットを減らすことでアタック回数を減らすことができるので、窮地においても攻撃的に戦うことができるだろう。
実際に使う時は、このアームズをエンチャントしたキャスターの前にいるユニットがアタックを終えた後に使うといい。
『紅蓮撃』を使ったら、その返しにアタックされてノーマル状態のユニットをブレイクされた……という事態を起こしては、このカードの真の強さを発揮できない。
以上、スターターデッキと同じ内容のフリーペーパー「煉獄ノ王」レビュー第一回終了。
次回は青黄のフリーペーパー『雷鳴ノ帝』について、同様の全カードレビューを行う。
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テーマ:ドレッドノート | 投稿日時:2015/11/05 23:59 | |
TCGカテゴリ: ドレッドノート | ||
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