Shangri-La

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決勝レポート最終戦 ソバット vs タム

 2008年度より計画されていた、「遊戯王やろうぜ!!」全国大会。年明けと同時に全国各地の遊戯プレイヤーに地方予選大会主催の依頼が行われた。誠に恐縮ながら、筆者も中四国地区の予選大会を担当させて頂いた。
2009年の年明けから3月までの3か月間、選考会期間が始まるよりも先に各地で開催された予選大会に参加して頂いた参加者総数は566名。生まれたての非公認大会に参加して頂いた多くの、熱意あるプレイヤーたちには主催者の一人として感謝の念が絶えない。
「遊戯王が好きな、全ての人たち」へお送りする、「遊戯王やろうぜ!!」非公認大会。遊戯王を、何より、カードゲームを「正しく・強く・楽しく」プレイしたい。
そんな思いを持った全てのプレイヤーのために、主催者であるカードショップ札市さんをはじめとした我々「遊戯王やろうぜ!!」運営スタッフは全国大会という戦いの舞台をご用意させて頂いた。
全国の予選を勝ち抜いてきた全てのプレイヤーは、どの人も、実力と人格の両方を兼ね備えた素晴らしいプレイヤー達であったと言える。

最強の座を争う二名を紹介しよう。
九州代表、ソバット。
近年、独自のコミュニティを作り上げ、地域全体が盛り上がりを見せている九州地方からの古参プレイヤー。研究に研究を重ねた「植物シンクロ」という新たな構築で、猫一択と呼ばれている現環境に挑む。
もう一人は、関東代表のタム。
関東地方で精力的に活動をしているプレイヤーで、実力は未知数であるが、的確かつ迅速なプレイングから歴戦の勇士である事は間違いない。使用するデッキは環境最多最強の「レスキューシンクロ」。一般的なアーキタイプではなく、独自にチューンをした、まさに"タム猫"とも言える、新たな構築。
強さだけでなく、構築の楽しさも追求していくプレイヤーたちに戦いの場を提供できた事をスタッフ一同、とても光栄な事に思う。

そして2009年5月31日。
ついに、東京・浜松町の地で、全国の頂点が決まる。
遊戯王界に新たに刻まれる「伝説」を、刮目せよ―――

Game:1
先手のソバットは一枚のリバースカードを置いて、ターンを終える。
対するタムの初動は、一枚の壁と一枚の伏せカード。エンドフェイズにソバットは《スケープ・ゴート》をプレイし、4匹の羊を並べる。
ターンが始まって即座に《サイクロン》をプレイし、伏せカードの《大嵐》を射抜いてから《ゾンビキャリア》をキャスト。全ての羊とキャリアをシンクロさせ、《ゴヨウ・ガーディアン》をプレイしてパンチ。めくれた裏守備モンスターは《クリッター》。
苦笑いをしながら効果発動の宣言を控えるソバット。
これにより《レスキュー・キャット》を手札に加え、コンボパーツを着実に揃えていくタムに対し二枚の伏せカードを用意して、ソバットはターンを終えた。
3ターン目。
手札を見つめしばらく考えた後、《大寒波》をプレイ。これが通り、《サイバー・ドラゴン》を追加してから《レスキュー・キャット》を配備し、場が凍結しているうちに大量展開を狙う。これに対し、ソバットは厳しい様子を見せる。《X-セイバー エアベルン》2体が場に置かれ、《ギガンテック・ファイター》へシンクロ。《ゴヨウ・ガーディアン》と相殺しながらも再び場に戻り、《X-セイバー エアベルン》と共にプレイヤーへ奇襲をしかける。これによりハンドから《クリッター》が削がれ、《レスキュー・キャット》の自壊テキストによりベルン1体は墓地送りとなる。場には《ギガンテック・ファイター》1体が残ったまま、壁を一体追加してタムはターンを終える。モンスターが引けず苦しい状況のソバットは二枚のカードを置いてターンを返すが、《サイクロン》《撲滅の使徒》と除去魔法の連発で伏せカードが全て消え去り、《キラー・トマト》を追加して高速で大打点を叩き出す。
伏せカードが1枚、場には《キラー・トマト》《ギガンテック・ファイター》を並べている相手に対して、《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚。墓地の《ゾンビキャリア》のテキストを使い、手札一枚をデッキトップに送って蘇生させるが、《月の書》で《サイバー・ドラゴン》を裏返されシンクロへのアクセスを遮断、さらに《緊急テレポート》でモンスターを追加して総攻撃という超高速ゲームを披露して、一戦目は一瞬にして幕を閉じた。

タムのサイドボーディングの方法は、実に特徴的である。デッキのカード一枚一枚を見ていき、確実に必要なもの、外すかどうか悩むもの、外すものと三つの山に分けてサイドボーディングを行っていく。自分が使っているカード一枚一枚を見極め、そこから展開されるゲームを脳内で想定し、確実に「勝ち」に繋がるものを厳選していく動きは、戦いに慣れている証拠である。各カードを一枚ずつ削り、デッキ全体に幅を持たせるサイドボーディングで二戦目に突入する。

Game:2
ソバットの先手で二戦目が始まる。
リバースカードを一枚置くのみでターンを終えたソバットに対し、タムが勢いよく《大嵐》をプレイする。相手の初手の強さに驚きを隠せないソバットだが、《スケープ・ゴート》を発動し場に羊を並べる。カードを一枚伏せて、タムはターン終了。続くターンも、同じく伏せカードを一枚置くのみでターンを返す。相手の展開が鈍っているうちに、タムは《レスキュー・キャット》をプレイし、能力を誘発させる。それに対応して《激流葬》をプレイし、場の羊を洗い流そうとする、完璧な布陣。
山札から《X-セイバー エアベルン》《コアラッコ》を並べ、ベルンでハンデスを狙おうとするも《威嚇する咆哮》をプレイされる。攻撃をする事なくシンクロし、《ナチュル・ビースト》にシンクロしてから、カードを一枚伏せて終了。
ソバットの3ターン目。二枚の伏せカードに加え、一体の守備モンスターを置いて終了。返しのターンで攻撃してくる《ナチュル・ビースト》には《強制脱出装置》。壁を一体追加して、ターンを渡す。
一枚の伏せカードを置いて、ソバットはターンを終える。次のターンに、《召喚僧サモンプリースト》を反転召喚、《スケープ・ゴート》をコストに効果を発動しようとするも《スキルドレイン》がそれを許さない。続いて《死霊騎士デスカリバー・ナイト》を出して戦線の増強を図るが、《奈落の落とし穴》を使われ、それに対して《強制脱出装置》を使い、デスカリを守る動きをする。

一枚の伏せカードを追加し、ターンを終えるが、ドローゴーでターンを返すタム。《死霊騎士デスカリバー・ナイト》を再び場に置いて、僧侶を戦闘破壊。返しのターンで《サイコ・コマンダー》をプレイしたタムは、裏守備モンスターに攻撃を仕掛ける。《ナチュル・ローズウィップ》が表になった所で、テキストを宣言する。
ここで誤解されやすいのが《スキルドレイン》のテキスト。これは、テキストにもある通り、厳密には「テキストを無効にするものではない」という事が分かる。効果の発動や誘発は行われるが、解決しようとする時に無効化されるため、解決に失敗する、というのが正しい解釈。
これにより最低限のライフの損失で、《死霊騎士デスカリバー・ナイト》を場から取り除く事が可能となったのである。

その後、《貪欲な壺》でリカバーし、一枚の伏せカードを置いてターンを終える。リバースカード《ハリケーン》を表返し、伏せカードを剥がしてから《神獣王バルバロス》を場に置き、攻撃。相手のダメージステップに動きがない事を確認してから伏せカードを1枚置く。相手が一枚ずつ裏向きにカードを並べたエンドフェイズに《スキルドレイン》を発動してから迎えるソバットの8ターン目。戦闘により《N・ブラックパンサー》を破壊した後、一枚の伏せカードを用意して終了。墓地確認をしてしばらく考えるタム。場に《召喚僧サモンプリースト》を出して《精神操作》をプレイ。相手の場のチューナー《ナチュル・ローズウィップ》を奪い、《ブラック・ローズ・ドラゴン》をシンクロ召喚。誘発能力に対応で《砂塵の大竜巻》を撃ってスキドレを射抜き、場を流す事に成功する。次のターン、伏せカードを1枚置くのみで終了すると次にタムは《X-セイバー エアベルン》を送り出し、手札から《ライトニング・ボルテックス》を射抜く。一枚の伏せカードを追加してターン終了。
手札と墓地を何度も確認してから、《死者蘇生》をプレイするソバット。墓地から《神獣王バルバロス》を呼び戻し、エアベルンを戦闘破壊。パワー3000の巨大な相手を前に、壁を置くのみでタムはターンを渡した。バルバロスが守備表示の《サイコ・コマンダー》を戦闘破壊すると、次のターンに《貪欲な壺》をプレイするタム。しかしそれは《D.D.クロウ》が阻止。これにより動きを挫かれたタムは伏せカードを1枚置くのみでターン終了。バルバロスのパワー3000の直接攻撃をまともに受ける事となり苦しい状況。次も壁を置くだけのタム、それに対し《トレード・イン》で手札の上級の余剰処理を行いながら《増草剤》をキャストし、手札から落とした《椿姫ティタニアル》を釣り上げるも《奈落の落とし穴》。
バルバロスの攻撃により、《キラー・トマト》が《クリッター》を呼び込む。アドバンテージを失わせないモンスターの連発に、ソバットの顔が若干歪むが、《ローンファイア・ブロッサム》による植物族お得意のループを駆使し、《椿姫ティタニアル》にまで繋ぐ。肥えた墓地を眺め、場に置いていた《貪欲な壺》をプレイ。今大会では猫以外にも様々な方法で《貪欲な壺》を運用する構築が見受けられるが、ソバットの構築も、別手段から壺にアクセスする手段が用意されている。巨大なモンスターたちの快進撃を止める事ができないタムは、速やかに場のカードを片づけるのであった。

再び一枚一枚のカードを見ていくタム。
優勝が決まる運命の三戦目である事、そして先手である事を考慮し、二戦目よりも入念なサイドカード選定を行う。
決勝戦のプレイヤー同士、そしてそれを見つめる観戦者の間にも、張りつめた空気が漂っていた。

Game:3
《砂塵の大竜巻》《奈落の落とし穴》と、タムが完璧な先攻の展開を見せて始まる最終戦。それに対し、ソバットは三枚のリバースカードを設置してターンを終了する。モンスターが引けていない事に、不穏な空気が流れる。伏せカードを一枚追加するだけでターンを返すタムさん。
ソバットは、これに対しドローゴー。
場のカードを冷静に見つめ、タムもドローゴー。
再びソバットがカードを引くのみでターンを終えた。
硬直状態を最初に破ったのは、タム。6ターン目に《レスキュー・キャット》のプレイから《X-セイバー エアベルン》《N・ブラックパンサー》を並べる。それに対してソバットのサイドカード、《呪言の鏡》が突き刺さる。場で寝ている《コアラッコ》は、単体では動けない。タムはそのままターンを終了した。
ソバットも《トレード・イン》で山札を掘り進め、動き始める。
硬直した場を打破できる有効牌を探しに行くが、さて…?
二枚の伏せカードを追加するのみで、ターンを返した。
お互いが伏せカードを置き合い、8ターン目に場のカードの枚数は両者ともに同じ。握っているハンドを見つめながら、次のプランを脳内で巡らせるソバット。長考の末、《ローンファイア・ブロッサム》をキャストし、次々と花を咲かせて行く。《ダンディライオン》を呼び込み、ターンを終了。《X-セイバー エアベルン》を引き込んだタムは、それを全力でプレイ。《コアラッコ》を反転召喚し、シンクロの準備をしながら、相手の場へ攻めて行く。綿毛が一匹となったソバットの場。そしてタムの場には《ナチュル・ビースト》が置かれる。一枚のリバースカードを置いてターンを返すソバット。またしてもモンスターが場に出ない。《ナチュル・ビースト》の攻撃には《強制脱出装置》が打ち上げられ、壁を一体追加してタムはターンを終える。ソバットが壁を置いたターンのエンドフェイズに《スケープ・ゴート》をプレイ。
タムの場に4匹の羊、いや、ピカチュウたちが並ぶ。
返しのターンで《サイコ・コマンダー》を反転召喚。これで場のレベルは7。しかしシンクロへ繋ぐ前に《サンダー・ブレイク》が撃たれ、コマンダーを雷撃が貫く。追撃の《死者蘇生》により《サイコ・コマンダー》を呼び戻し、《ブラック・ローズ・ドラゴン》をシンクロ召喚。能力を誘発させるも、対応で《威嚇する咆哮》。次の総攻撃を阻止して、《キラー・トマト》と一枚の伏せカードを置いてタムはターン終了。

11ターン目の時点でお互いのライフは8000のまま変動はない。手札のファッティを《トレード・イン》で切り、新たなカードを山札へ探しに行くソバット。《死者蘇生》をプレイし、墓地から《神獣王バルバロス》を特殊召喚。《クリッター》も戦線に追加し、バルバロスがトマトを倒し、《クリッター》が場に置かれるのを確認すると、伏せカードを追加してターンを終える。次のターン、タムのハンドは《サイクロン》《月の書》《洗脳-ブレインコントロール》と潤沢な魔法カード三枚に加え、《召喚僧サモンプリースト》。《ダーク・アームド・ドラゴン》まで繋げたいが、墓地には闇属性が足りない状況。場と合わせて《月の書》は二枚握っているタムは、《クリッター》で相打ちを狙い、
ソバットが《デブリ・ドラゴン》を、タムは《墓守の偵察者》を手札に加える。《大嵐》のプレイから始まるソバットの12ターン目。
《エネミー・コントローラー》を失う代わりに、相手の《月の書》《サイクロン》を奪う。《デブリ・ドラゴン》プレイから、《ダンディライオン》を墓地からキャスト。《ブラック・ローズ・ドラゴン》をシンクロ召喚。そして忘れがちな二番目の起動型能力により、墓地の《ローンファイア・ブロッサム》をリムーヴし、相手の場の《墓守の偵察者》を表返す。二枚目の《墓守の偵察者》が呼ばれた事で墓地の闇属性の数がずれてしまい、手札のダムドが出せず、これにはタムも苦しい表情を浮かべる。タムの場のカードは0。ハンドと場を見つめ、脳内で次の戦略を打ち立てる。《サイバー・ドラゴン》特殊召喚、そして猫を追加し、山札から獣を呼んで、動物園の構築に取りかかり、なんとか巻き返しを図る。
エアベルンを置いてからしばらく考え、《コアラッコ》を追加、《神獣王バルバロス》を能力によって弱体化させ戦闘破壊してから、《ギガンテック・ファイター》で盤面をさらに強化する。
シンクロモンスターが睨み合う場で迎える13ターン目。
ライフポイントはソバット5900、タム5100。
守備モンスターを1体追加し、攻撃をする事なくターン終了。
次のターンもタムの勢いは止まらない。《召喚僧サモンプリースト》の召喚から《洗脳-ブレインコントロール》を切り、再び猫を呼んで、ベルン・黒豹と並べて《アーカナイト・マジシャン》により守備の《ナチュル・ローズウィップ》を叩き割る。相手のダイレクトアタックから、《冥府の使者ゴーズ》をプレイするソバット。
そのゴーズも、《アーカナイト・マジシャン》の能力によって破壊される。

ゲームもいよいよ終盤。
《貪欲な壺》を発動し、ローンファイアやデブリを回収し、引いたカードを見つめてから二枚目の《貪欲な壺》をプレイ。墓地とハンド、目に見える全てのカードの情報を統合し、相手のシンクロモンスターに対する回答を探す。《おろかな埋葬》で《ダンディライオン》を墓地へ送り、綿毛2体を並べる。次に《増草剤》をプレイし、《ナチュル・ローズウィップ》を釣り上げる。そして二枚目の《増草剤》キャストから《ダンディライオン》を復活させ、一気にソバットの場は植物で埋め尽くされた。カイエントークンでアーカナイトへ攻撃。
綿毛1体とカイエンを残し、メイン2で《ブラック・ローズ・ドラゴン》をシンクロ召喚。テキスト宣言に対して《奈落の落とし穴》。
無人の荒野を《X-セイバー エアベルン》が駆け抜け、伏せカードを1枚置く。お互いの進撃が止まらない。
《デブリ・ドラゴン》をプレイし、《スターダスト・ドラゴン》が帝都に降臨する。再び綿毛トークンが並んだ。返しのターンで《サイコ・コマンダー》が綿毛を殴り倒す。
《スターダスト・ドラゴン》が《サイコ・コマンダー》を戦闘破壊すると、タムのLPは2400。
どうにか逃げ切りたいタムは守備モンスターを1体置いてターンを終えるが、それは《強制脱出装置》で空の彼方へ飛ばされ、動物と植物の雌雄が決されるのであった。

 ソバット2-1タム

中盤の攻防から一気に大逆転を狙いたかったタム。しかしその願いは叶わず、最後の最後でソバットは、同じ九州の同志・Tetsu氏から預かった《スターダスト・ドラゴン》を召喚し、友情と信頼の力を見せつけて勝利を勝ち取った。

ここに、初代「遊戯王やろうぜ!!」全国大会覇者が、誕生した!

誰よりも遊戯王を愛し、九州の地で育んできた力を決勝大会・東京にて存分に発揮したソバット。
初代王者を全力で讃えよう、おめでとう!ソバット!


文責:


協力:

  • カードショップ札市様

  • Tetsu様

  • 「遊戯王やろうぜ!!」全国大会に関わった全ての皆様

  • Team@Infinite Moon

  • Tempest@地雷デッキ研究所



登録タグ: 遊戯王OCG  大会レポート 

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テーマ:日記投稿日時:2009/06/24 20:31
TCGカテゴリ: 遊戯王OCG  
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