蘇るあの夏の日、むせ返るこのフィーリング
久しぶりに汽車を利用した。
汽車に乗ったのは何年ぶりだろう。
そう汽車。徳島の鉄道は電化されていないディーゼル使用。
鉄道には詳しくないし、調べたわけではないけれど、ついに電化された!という話も
聞かないから、きっと未だに電車ではなく汽車のはず。
風通しのよい地元の無人駅で切符を買って。
1時間に2本あるかないかの各駅停車徳島行き。
徳島駅では改札で駅員さんに切符を切ってもらって…。
構内は綺麗に改装されている部分もあったりして、ちょっとした浦島気分。
駅前の雑居ビルの狭くて急な階段を上って、学生時代の馴染みのショップへ。
本当に久々で、ひょっとしたらもう無くなっているんじゃないかと心配だったけど、
店はまだそこにあった。相変わらず狭くて薄暗くて不健康な感じ。良い意味でね。
馴染みといってもそこまで贔屓にしていたわけじゃない。
学生の乏しい小遣いから、雀の涙ほどの額を何度かシングルカードに落とした程度。
猫のオデコくらいのデュエルスペースは使用した事もなく、店員の顔も覚えていない。
汽車を待つ時間を潰すためだけの、それだけの店だった。
それでもX年ぶりの店内は、陳列も何もほとんどあの頃のままで。
壁にかけられたシングルカードと、大昔にスタン落ちしたエキスパンションのポスター。
垂れ流されるFM放送の夕方番組まで相変わらず…。
カラデシュブロックのシングルカードがなければ、タイムスリップも信じられた。
本当によい学生時代だったと思う。戻りたいとは思わないけれど…。
結局、店にいたのは僅かな時間。
帰りの汽車が駅に着く10分前に店を出た。これもあの頃と同じ。
店内で思い出に浸ってぼんやりするおっさんの姿は、さぞ店員に不信感を与えただろう。
物見の対価に購入したものは、「プレーンシフト」と書かれたMTGのオリジナルパック。
来たときと同じように狭くて急な階段を下っていると、ふと、
この瞬間、この階段で過去の自分と擦れ違ったら、という妄想が浮かんだ。
その手のフィクションによくあるアレである。
自分はどうするだろう。何か言うだろうか。
あの頃から今まで、小さい成功と失敗を積み重ねて。
大した事はないけれど色々あって。
重たい通学鞄を肩に食い込ませて階段を上る野暮ったい学生に、なにを伝えるだろう。
「あの時あっちの道に進んだのは失敗だったよ」?
「あの子のあの言葉は絶対に信じちゃいけない」?
「あの人には謝罪と精一杯の感謝を伝えるよう」?
決まっている。
「タルモゴイフは、1000枚買っとけ。」
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テーマ: | 投稿日時:2017/03/09 08:59 | |
TCGカテゴリ: Magic: The Gathering | ||
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