仔猫の住む家


ブランニューからモンコレを再開しています。
まだまだ分からない事が多いですが、楽しみながらプレイ中。

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【小説】モンコレSS その2-2

「何と言う事だ……このオレが、よりにもよって人間の女に欲情してしまうとは……」
「あ、あの……」
「なんだ? 人間の女。んん? 貴様も変な匂いをしているな」
「に、匂いですか? 獣道での木の実の匂いが染みついたのでしょうか」
「そう言う匂いではない。これは貴様の身体の内から漂っている匂いだ」
 すると、赤毛の青年はオフィーリアに近付くなり、オフィーリアの頭からつま先までを物色すると、顔を近付けてオフィーリアの匂いを嗅いだのだった。
「どう言う了見でフィーに手ぇ出してやがる。何者だお前?」
「何者だ――はんっ! 言うに事書いて何者だ、か? ふざけるなよ人間。貴様が姫にしでかした事を、まさか忘れたとは言わさないぞ」
 赤毛の青年はリュナイを睨むなり、腰に提げていた装飾に縁取られた赤い魔剣を引き抜いたのだった。火精霊の加護でも受けているのだろう、まるで南の砂漠地帯を裸足で歩いているかのように宿屋全体が熱に包み込まれ、オフィーリアはもちろんの事リュナイまでもが額に汗を書いたのだった。
「その魔剣は確かドラグリアで祀っていた灼熱の魔剣クレイモア……どうして貴様が持ってやがる?」
「はんっ! ここでお前の首を刎ねれば、姫もドラグリアに帰れるわけだ」と、赤毛の青年がリュナイに向けて魔剣を振りかざす。

 一閃。

 振りかざした魔剣から熱風が巻き上がり、リュナイは高速で水の防御呪文を唱え自分の幻影を作り、オフィーリアを抱えたまま酒場のカウンターへと飛び込んだのだった。
 幻影は魔剣から迸る炎によってかき消され、部屋に焦げ跡を残す。
「ミラーイメージか。さすがに、魔術の腕は10年前より上達したらしいな。だが、一度や二度オレの攻撃を防いだとして、これは止められるか?」
「マスター……」
「フィー、お前はそこに隠れていろ。絶対に出てくるんじゃねぇぞ」
「は、はい……」
 オフィーリアが頷くと、リュナイは武器を持ち赤毛の青年の前へと姿を現す。
 だが、赤毛の青年は身体中で息を吸い込んでいた。
「まったく、ノエルの馬鹿も厄介なもんを召喚しやがる」
 息を吸い込み終わった赤毛の青年は、リュナイに向けて灼熱の息を吐き出す。
「――ちっ」
 だが、赤毛の青年が息を吐き出すよりも早く、リュナイの合図で樽を縛っていたロープがまるで自我を持っているかのようにその身をくねらせながら赤毛の青年の身体へと巻き付いたのだった。
「くっ……身体が、動かない……だと……」
「まさかノエルの召喚したファイア・ドラゴンが人間の姿になっているとはな。俺も不思議だったんだ。図体のでかいお前がどうして姿を消したのか」
「殺せ……こんな醜態……貴様に見せるとは、ひと思いに殺せ」
「そうか。なら言う通りにしてやるよ。俺はフィーほど甘かないんだ」
「待って下さいっ!」
 赤毛の青年から離れた魔剣をリュナイが手に握ると、その剣先を赤毛の青年へ向ける。
 そのまま振り落とそうとした時、カウンターの裏で隠れていたオフィーリアがリュナイと魔法のロープに縛られた赤毛の青年の間へと割って入ったのだった。
「待って下さいマスター。この人を殺さないで下さい……」
「そこをどけフィー」
「嫌ですっ! 私がどくとマスターはこの人を殺してしまう。そんなの絶対嫌です! 私は誰かが傷付くのは見たくありません」
「お前も俺もついさっきまでこいつに殺されそうになっていたんだぞ」
「それでもっ! それでも……誰かが傷付くぐらいなら私が傷付いた方が良い……誰かが怪我をするのなら私が怪我をした方が良い、誰かが……誰かが死ぬのなら私がっ!」
「命を粗末にするなっ!」
 オフィーリアの声は震え、両手を広げながらリュナイから赤毛の青年を守るが、その瞳は強い意志を持っているのだろう、オフィーリアの瞳はリュナイを睨むが、リュナイはそんなオフィーリアの頬を叩いたのだった。
「あの、大きな音が聞こえてきましたがいったい何が――」
「ノエルさん……」
「どうしたのあなた、その頬。それにデュランまで」
 先ほどまで宿屋の2階で眠っていたノエルが、階段の手すりにもたれながら下りてくると、状況を呑み込めずに三人を見渡した。
「デュラン? もしかしてドラゴン・パピーのデュランか? いつもお前が胸に抱いて俺に灼熱のブレスを吐いていた、あの。たった10年で幼竜が成長したのか。それにしても頭の中は全然成長していないみたいだが」
「なんだとっ!」
「止めなさいデュラン。どうせ悪いのはあなたの方でしょ?」
「しかし姫……」
「それにわたしの事を姫と呼ばないの。あなたはいつもそうなんだから。自分勝手で短気な性格のせいでいつも他者と対立してばかりじゃない? ほんとのあなたはとても優しくて素直ないい子なのに。このままでは嫌いになりますよ」
「わ、わかりました……ノエル…………」
 同時に赤毛の青年、つまりはデュランを縛っていた魔法のロープが力を失くして解く。
「よろしい。それより、その頬の傷を手当てしなくては」
「ノエルさん……」
 オフィーリアが呟くと、ノエルはオフィーリアの前に座り込み、その透き通るほど白い両手をオフィーリアの頬へと向ける。両手が白色に輝くとやがて黄色へ変わり、その光はオフィーリアの腫れた頬を包み込む。温かな光りが、オフィーリアの腫れた頬を見る見るうちに治療したのだった。
「あたたかい……」
「キュア・ウーンズ。聖属性の治癒魔法か」
「はい。もう、大丈夫よ。確か、あなたは」
「オフィーリアです、ノエルさん」
「オフィーリアさん。ごめんなさい、その傷デュランのせいでしょ?」
「い、いえ……」と、上目遣いでオフィーリアはリュナイを見上げる。
「それよりお前の方は大丈夫なのか?」
「え? リュナイがわたしの事を心配してくれるなんて!」
「いや、別に心配なんざしてないが……」
「もう、相変わらず照れ屋なんだからっ。身体の方はもうすこし休めば元に戻るわ」
「なら帰れ」
「どうして?」
「どうしてもだ。見ただろ、この惨劇を。ここに来た理由は知らないがこっちは迷惑なんだよ」
「リュナイ?」
 ノエルはリュナイを見上げるが、その瞳からは感情を読み取る事が出来ない。
 無と言えばいいのだろうか。リュナイはノエルを見下すでもなく、ただ、そう無気力に彼女の事を見降ろしていた。
「嫌よ! 嫌よ嫌よ嫌よ。やっと会えたのよ。やっと……この10年、どんな気持ちでリュナイを考えていたか分かる? どうやって会えばいいか分かる? わたしはあなたの事を一時も忘れた事はなかったわ。だから、成人の儀が執り行われる前にリュナイ、あなたに会いに来たのじゃない」
「成人の儀だ?」
 成人の儀とは、つまりは竜族が大人になる為の儀式であり、婚儀でもある。
 古くから代々受け継がれ、竜鳴の谷ドラグリアの姫でも例外ではなく、子宝に恵まれない竜族はそうやって子孫を残してきた。
「なら、なおのこと」
「わたしはシルヴィアの竜姫の前に、一人の女よ。どうせ儀を執り行うのなら、名前も知らない人より好きな方と結ばれたいの、リュナイ……ごほごほ」
「だ、だいじょうぶですかノエルさん?」
「ご、ごめんなさい……すこし、熱くなってしまったようだわ」
 まだ体調が回復していないノエルは立ち眩みを起こし、頬の腫れが治ったオフィーリアがノエルの身体を支えるように抱きしめたのだった。
「マスター……可哀想です」
「フィー、それだと俺がまるで可哀想な奴みたいじゃないか」
「いまは冗談を言っている場合ではありません。このままノエルさんが帰ってしまうと、ノエルさんは望んでいもいない方と結婚をしなければならなくなります」
「俺には関係ない事だ」
「関係ありますよ。だってマスター、ノエルさんは傷だらけでキエレの町までマスターに会いに来たのですよ」
「オフィーリアさん……ごめんなさい、無理を言ったわ。ドラグリアに帰ります」
「姫っ!」
「今度姫と言うと、ほんとに嫌いになるわよ」
「うぐ……」
 オフィーリアに身体を支えて貰っているノエルはきびすを返し、リュナイに背を向ける。
「ごめんなさい。我が儘を言ってしまったわ」
「マスター!」
 ノエルの小さな背中とオフィーリアの訴えかける瞳を見て、リュナイは頭を掻く。
「……おい。なに一人で納得して帰ろうとしやがる?」
「だって……」
「こいつがぶっ壊した天井と、まる焼けになった隣の部屋はどう弁償するつもりだ?」
「そ、それは……」
「修理費ぐらいここで働け。そこから先は知らん」
「リュナイっ!」
「くっ付くな! うっとおしいっ!」
 どこか照れくささの交じったリュナイの言葉に、ノエルは瞳を潤わせながらリュナイを力一杯抱きしめたのだった。

登録タグ: モンコレ  二次創作  書いてみた 

あなたはこのブログの 489 番目の読者です。


テーマ:モンコレ投稿日時:2012/06/19 23:02
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現在“3件”のコメントがあります。
私服いつも 如月くおん さん [2012/06/19 23:07]
ここでオリジナル設定の追加です。
火竜もポリモルフで人間の姿になったので、アイテムを使っていますね。
なぜか、執筆しながら「エメドラ」ドラマCDを聞いていた影響が出ていますね(汗)
あばた2。 蔵女 さん [2012/06/20 07:28]
おぉ進んでおりますね。

でもまた、これは懐かしいものをです。
PCエンジンSCD版が一番でSFC版はごめんなさいです。


笠原弘子さんが輝いております。
私服いつも 如月くおん さん [2012/06/20 18:52]
コメントありがとうございます。

くおんはSFC版しかプレイできてないです(汗)
しかも、高校の時の修学旅行でソフトを買いましたww


いまでも笠原弘子さんは好きな声優さんの一人です。