Shangri-La

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02.T4GP 最終戦 ナイトメア vs ハット

ここに、また新たな物語が刻まれる。

これまで幾度となく、九州の地にて決闘者たちの戦いを記録してきた。様々な思いが交錯する戦場では、向かい合う人間同士が背負う歴史、人生そして物語が激しく衝突し、そして新たな『縁』を紡いでいく。そうして積み上げられていった縁が、新たな物語を、未来を、時代を築いてきた。

縁は舞台を生み出す。
九州遊戯界の担い手・Tetsuによる"活性化"活動で生まれた、トイコレクター店長との縁があって、こうして大会を記録する事が実現するに至った。我らTCS運営委員会代表、そしてトイコレクター店長には大会カバレッジの執筆という形で、自身の心からの感謝そして敬意の意を表したい。

博多天神トイコレクター、『T4GP』。
まだ見ぬ新たなコミュニティ、そしてトーナメント。
進化し続ける福岡を、その意味を、

見届けて欲しい。




二日間で開催されたT4GP、予選そして決勝トーナメントを勝ち抜きついに行われる最終戦、卓に座る両者を記録するのは自分にとっては初めて。

一人目は、ハット。
福岡県内で遊戯活動を続ける、決して初心者ではないプレイヤー。
今年から自身のブログも開設し、発展的な遊戯活動を目指そうとするその姿勢には強い意欲が感じられる。
TCS運営委員会管轄のイベントで上位入賞をした事はないが、活動拠点を同じくするTetsuの"活性化"については勿論知らないはずはなかった。
長く活動を続けてきたTetsuにも、まだ知らないプレイヤーが、そしてコミュニティがこの福岡県には眠っていると思うと、こうした一つ一つの『縁』にも期待を寄せてしまう。
「シンクロキャット」を駆り、最大勢力のBFに対する回答を見出したい。

対するナイトメアは、福岡の古参デュエリスト。
北九州は飯塚を拠点に地方イベントを頻繁に主催する傍ら、チームRAINBOWSTARのリーダーも務め、プレイヤーとしても積極的に活動を行っている。
今期最大勢力の「旋風BF」をもって、最終戦に挑む。


Game:1

ナイトメアは《BF-蒼炎のシュラ/Blackwing-Shura the Blue Flame》の後ろに一枚の伏せカードを置くという好調なスタートを切っての発進。対するハットも初手に《封印の黄金櫃/Gold Sarcophagus》を握る事に成功し、《召喚僧サモンプリースト/Summoner Monk》を配備。一枚の伏せカードを置いてターンを返した。

《BF-蒼炎のシュラ/Blackwing-Shura the Blue Flame》による進撃の後で現れたハットの《ライオウ/Thunder KIng Rai-Oh》には《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》であしらい、《BF-疾風のゲイル/Blackwing-Gale the Whirlwind》を戦線に追加し、ビートダウンを進めながらもその群れの後ろには安定してカードを置いていく。
チューナーを置きながらもシンクロせずターンを返すあたり、その後ろにはBFの「必殺技」、《ゴッドバードアタック/Icarus Attack》が仕込まれている事が見て取れる。

《強烈なはたき落とし/Drastic Drop Off》を警戒し、ドローフェイズに引くカードは一度テーブルに置いてフェイズ確認を行っていくという姿から、トーナメントへの慣れと熟練度合いがうかがえるハットが迎える第3ターン目。
櫃に封印しておいたカードを手札に加えると、まずは《洗脳-ブレインコントロール/Brain Control》をプレイし、ゲイルを奪う。その能力を使用し、シュラの攻撃力を半減させ、それが解決にまで入り、戦闘さえも通る。伏せに少なくとも《ゴッドバードアタック/Icarus Attack》は無い。
それはブラフか、それともシンクロ阻害のための《月の書/Book of Moon》か。
一連の動きから恐れる必要はないと踏んだハットは《異次元の狂獣/D.D.Crazy Beast》を素材にシンクロ召喚に成功、ナイトメアの前に《ゴヨウ・ガーディアン/Goyo Guardian》が立ちはだかる。

用意された伏せカードのうち一枚を《砂塵の大竜巻/Dust Tornado》で射抜いてからターンを開始するナイトメアは《BF-極北のブリザード/Blackwing-Blizzard the Far North》をキャストし、ゲイルをリアニメイト。チューナーを二種類並べるという事は…
やはり手札から《BF-黒槍のブラスト/Blackwing-Bora the Spear》が戦線に追加され、ゲイルの能力により弱体化したゴヨウを踏み潰し、その留まる事を知らないビートダウンは相手のライフを一気に700まで追い詰めた。
第2メインフェイズで《BF-アーマード・ウィング/Blackwing Armor Master》を生成。
ハットが形勢逆転したかと思われた盤面であったがナイトメアが一気に流れを引き寄せる。

しかし消耗戦に持ち込まれる事もハットの計算のうちであった。
タイミングを見計らって《召喚僧サモンプリースト/Summoner Monk》を召喚、そのテキストは解決にまで繋がる。そのまま《レスキューキャット/Rescue Cat》を出すが、それによって呼び出す獣の選定については、それまでのプレイとは異なり珍しく考えるハット。
《氷結界の龍トリシューラ》が通るか、そして制圧できるか。
ゆるぎない勝利を手にするためのプランがその脳内で構築されていく。
《X-セイバー エアベルン/X-Saber Airbellum》《コアラッコ/Sea Koala》と展開し、それまでブラフとして仕込んでおいた《貪欲な壺/Pot of Avarice》を発動。山札を回復させると、一気に物量差をつけナイトメアを引き離し始める。
《ハリケーン/Giant Trunade》を引き寄せ、《氷結界の龍トリシューラ》が完全に場を制圧した。

壁をまったく引かないナイトメア。
温存していたはずのライフも、成す術なくトリシューラに奪われていく。モンスターを引かなければ、ナイトメアのライフを守る事は不可能。そして辿り着いたモンスターを裏守備でセットするも、返すターン、ハットの手札から《精神操作/Mind Control》が見せられると、静かに戦いは幕を下ろした。

 ナイトメア 0-1 ハット

一戦目の状況について振り返り談笑しながら迎える二戦目。
先手である利点を活かしながらナイトメアは《ダストシュート/Trap Dustshoot》や、猫系デックに効果的な罠を多くサイドインする。
対するハットは、動きが遅れる札を切り、サイドに控えた相手の対策を投じていく。


Game:2

再び先手を握るナイトメアは勢いよく《闇の誘惑/Allure of Darkness》をプレイし、二本目も好調な滑り出しかと思えたが、悩んだ末に切ったカードが《ダーク・アームド・ドラゴン/Dark Armed Dragon》であった時点で、雲行きは非常に怪しかった。
《BF-蒼炎のシュラ/Blackwing-Shura the Blue Flame》を立て、後ろに二枚のカードを配備する。

対するハットは、シュラにとって恰好の餌である《クリッター/Sangan》を設置。
二枚の伏せカードを置くかどうか躊躇しながら、一枚のカードを置いてターンを渡す。

案の定、クリッターはシュラによって踏み潰されるも、これによりハットは《レスキュー・キャット/Rescue Cat》を手に入れる事に成功。シュラによって新たに呼び出されたBFは、《BF-月影のカルート/Blackwing-Kalut the Moon Shadow》。
そのまま直接攻撃に入ったが、ヴァーユ+ブラストという、トリシューラ生成の最悪の流れは免れた。
後ろにカードを追加してターンを終えようとするも、そこには《砂塵の大竜巻/Dust Tornado》が撃ち込まれ、《ゴッドバードアタック/Icarus Attack》を剥がす事に成功する。

猫シンクロというアーキタイプはかつて一世を風靡したデックであるが、その力は未だに健在。
しかしそれに対して効果的な妨害カードの採用率がここ近年、非常に高まっており、猫はその対策にひっかかりやすく安全に運用していくのが難しいとされている。
しかし今日のハットは違った。相手が用意する対策への回答を、次々と引き込んでいく。
寧ろ、カードのほうから彼の手に向かっているように思える。
それほどまでに、今日の彼には勢いがあった。
刹那、《大嵐/Heavy Storm》が卓上に吹き荒れる。《王宮の弾圧/Royal Oppression》等、相手の対策を見事に消し去りながら、猫を安全に配備。
その姿、まさに無双。
手札枚数を数え、カルートを警戒しながらラッコ、エアベルンと展開。ラッコで攻撃力を消されてしまっては、カルートによるカウンターブローも出来ない。戦闘後のメインフェイズで《ナチュル・ビースト/Naturia Beast》をシンクロ召喚。
その後ろにはカードが一枚追加され、厳しい様子のナイトメア。

しかし、まだ希望はあった。
幸いにもBFは一体残っているため、チューナーを引き込みシンクロをしても、カルートを握っても、罠を置いても、目の前の《ナチュル・ビースト/Naturia Beast》は突破出来る。
計画通り《BF-月影のカルート/Blackwing-kalut the Moon Shadow》を構える事が出来、特攻。
早々に森の獣は戦線から退場する。
第2メインフェイズで《大嵐/Heavy Strom》を撃ち、罠を剥いでから一枚の伏せカードを置いてターンエンドするナイトメア。

次のターン、初手からは遅れるも見事にナイトメアの《ダストシュート/Trap Dustshoot》が決まりハットの手札が公開される。
ライオウが引き抜かれて残った手札は、
《墓守の偵察者/Gravekeeper's Spy》
《墓守の末裔/Gravekeeper's Descendant》
そして砂塵の計三枚。
ひとまず末裔でカルートを戦闘破壊すると、砂塵を後ろに置いてハットはターン終了を宣言。

お互いに全力でぶつかっていく二戦目は、ナイトメアの第4ターンを迎えるにあたりエキストラターンに突入する。ここでナイトメアは《BF-極北のブリザード/Blackwing-Blizzard the Far North》をトップデック、さらにはブラストを追加し、戦闘後、ついに悪魔の龍が降臨する。

《氷結界の龍 トリシューラ》

ナイトメアの全力全開、渾身の一撃のトリシューラ。
ハットは全てを奪われた。このタイミングでのトリシューラは、まさに死の宣告。

絶望的だった。

お互いが全力を出し尽くして繰り広げられた攻防に突如として撃たれた終止符。

残る3ターン、自分には二度ターンが訪れるが、それでもあと一度でも攻撃を許してしまうのは厳しい。

これまで好調に勝ち上がってきたハットに、優勝を目前に再び大きな壁が立ちはだかる。

しかし、ハットは冷静になる。

自分には何も無い。しかし、相手にも後続の札はない。

数あるカードゲームにおいても、遊戯王OCGにおいては、最終局面に対し、一つの"魔法"が存在する。



運命の引き。
デステニー・ドロー。


信じるしかない。


今の自分なら、いける。


冷静にカードをドローしたハット、それは《貪欲な壺/Pot of Avarice》!


強過ぎる引き。ナイトメアも思わず顔を歪める。
しかし、まだ第一段階に過ぎない。確かにカードは増えるが、その内容は不確定。
何かしらの除去を引き込みたいハット。
デッキを切る手にも、自然と力が入る。

相手からデッキを受け取っての、ドロー。
《スノーマンイーター/Snowman Eater》を引き込み、全ての状況を巻き返し始める。

何もかもが完璧だった。

ナイトメアの最終ターン。
壁が用意されるも《BF-黒槍のブラスト/Blackwing-Bora the Spear》をプレイ、物量で攻める。しかし表返るハットの雪だるまによって、このターンは一切ダメージが入らなかった。

ハットの番が回ってくると、この試合も最終ターンを迎える。
この時点でナイトメアのライフは6300、ハットのライフは4500。
ここで巻き返せるカードは、ただ一つ。
それを引けるか。

ドローフェイズ。

引いたカードは、《洗脳-ブレインコントロール/Brain Control》!

鮮やか過ぎるトップデッキの連発は、まさに最高のエンターテイメントであった。


 ナイトメア 0-2 ハット


今回のT4GPは、動員数こそ地方CSに引けを取らないものの、その層はと言えばこれまでのTCS管轄で見受けられるイベント参加者とは異なる層であったと言える。
Tetsuにとっての新顔、筆者にとっても、それは同じであった。
長く続いた活性化活動。TCS運営委員会のイベントを通じて、盛り上がってきた福岡の遊戯王コミュニティだが、まだまだ未発掘のユーザー達がいる事を実感させられる。

まだ見ぬ新しいデュエリストたちとの出会い
そこから生まれる新たな『縁』に、期待したい。
そして、より多くの人たちに、"遊戯王"を楽しんでもらいたい。
福岡天神四丁目最強決定戦、T4GPは、改めてそう思えるイベントであった。


まずは新たな福岡の決闘者の、初タイトルを讃えようではないか。
おめでとう、ハット!

登録タグ: 遊戯王OCG  大会レポート 

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テーマ:日記投稿日時:2010/05/01 13:12
TCGカテゴリ: 遊戯王OCG  
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