Shangri-La

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04.第三回TCS準決勝 HAJIME vs 紀柳

さながら決勝戦であるかのような見逃せない対戦カード。
「遊戯王やろうぜ!!」中四国予選でもそうであったように、
今年特に台頭したこの二人が、同じフィールドであいまみえる機会は
決して少なくなかった。

HAJIMEに対峙するのは、山口のトッププレイヤー・紀柳。
第四回山口CS4位、やろうぜ中四国予選入賞、近畿チャンピオンシップ
チーム戦では優勝と年間通して目覚ましい実績を誇る、中国地方を代表
する選考会プレイヤーであり、既に知らない人間はいないのではないだ
ろうか。地元の公認大会でも優勝以外の経験が無いかのような勢いを
見せつけている。

今期の西日本を代表する二名の王者。
最強と最強の戦いが、今、始まる。

Game:1
アスリートの一面も併せ持つ紀柳は、毎試合において、独自の神経集中
の方法を行う。深く深呼吸をして天を仰ぎ、試合に挑む紀柳が先攻を
勝ち取る。

それが功を奏したのか、「先手ダスシュー」と呼ばれる最強の必殺技を
披露し、HAJIMEの初手を暴露させる。
《スターライト・ロード》《マクロコスモス》×2枚、《奈落の落とし
穴》《ガーディアン・エアトス》に《E・HEROアナザー・ネオス》と
いう ハンドが公開され、四つ星の《E・HEROアナザー・ネオス》を
山札に沈める。
明らかに罠を構えた動きに対し、HAJIMEはエアトスが出せない。
三枚の伏せカードを用意してターンを終える。

《マクロコスモス》が張られてから始まる紀柳の第2ターン。
試合開始早々、読み合いが始まる。情報量という点では紀柳が圧倒的に
有利。
《馬頭鬼》を次元の彼方に飛ばして現れた《邪帝ガイウス》。
紀柳としては《スターライト・ロード》を取り除きたい状況だったが、
《奈落の落とし穴》にひっかかってしまい、「外したか…!」と、
思わず表情が曇る。

次々とエアトス側のモンスターを挫いていく紀柳。
「次元エアトス」という構築は、打点の高さや環境に対するソリュー
ションを多く搭載した、かなり完成度の高いデックなのは間違いないが
《スキルドレイン》や《次元の裂け目》など、パーマネントを多用する
構築という特性上、モンスターの採用枚数が他構築と比べて少ない事
から、除去で一枚一枚を挫かれると苦戦を
強いられる、という点では従来のそれと大差はない。
モンスターを失って動きが鈍くなり始めた所で、紀柳は《クレボンス》
《キラー・トマト》とモンスターを並べていき、ビートダウンを開始
する。

ようやく《E・HEROアナザー・ネオス》に辿り着いたHAJIMEはノータイム
で攻撃宣言、そこに《聖なるバリア-ミラーフォース-》を撃ちこみ、
相手の反応を見る。
それに対し、少考の末に《神の宣告》を放つが、戦闘ダメージが通った
所で《トラゴエディア》が紀柳の場に現れる。

お互いの手札は同数、紀柳は伏せていた《異次元からの埋葬》を表に
する。《キラー・トマト》《邪帝ガイウス》《馬頭鬼》を墓地へ戻し、
《トラゴエディア》のテキストを宣言、レベルを6に変更する。HAJIME
のライフポイントはこの時点で1500、《スターダスト・ドラゴン》が
降臨する。
《ゴブリンゾンビ》《緊急テレポート》と全ての手札を使い切り、
《ゴヨウ・ガーディアン》が生成され、総攻撃により、勝負は決した。


HAJIME 0-1 紀柳

デッキ相性的に一本目を取れたのは大きい。
マッチアップを考慮して死に札となるカードを排して挑む二戦目。
このまま流れに乗りたい所だが、初手を眺め、天を仰ぎつつ紀柳は若干
の苦笑いを浮かべた。

Game:2
《E・HERO アナザー・ネオス》を立ててからのスタート。

相手の行動に対応して《デュアル・スパーク》を放ち、これでモンス
ターを失ってしまうHAJIMEだがそのキャントリップにより《エヴォル
テクター シュバリエ》を手に入れ、何とか次へ繋げた。
《奈落の落とし穴》で《E・HEROエアーマン》を失いながら、
《E・HEROアナザー・ネオス》を補充したHAJIMEのハンドは《スター
ライト・ロード》《王宮の弾圧》《次元の裂け目》《月の書》と
内容に富んでいる。

相手の場には《クレボンス》がおり、モンスターを確実に引き始めた
HAJIMEのハンドに《魔導戦士ブレイカー》が送り込まれる。
裂け目を置いてから《月の書》で《クレボンス》を横にし、ブレイカー
で戦闘破壊。

そこから、地味ではあるが確実なアドバンテージの稼ぎ合いが始まる。

しかし、少しずつ紀柳が失速していく。
相手のモンスターを除去していったはいいが、それもリカバリーされ、
いまいち大きな波を起こせない。ドローゴーが続き、首根っこを指で
静かに掻く様子からも、僅かな動揺が見受けられる。

ついに迎えるHAJIMEの9ターン目、再び《魔導戦士ブレイカー》を
引くと、そのまま場に召喚。
「お触れかなー」と一言呟きながら、《異次元からの帰還》を射抜く。
戦闘フェイズを終えた第2メインフェイズの時点でライフは5500と
4000、決して大差ではない。
ここを巻き返したい紀柳だが、やはり引きが芳しくない。
少しずつ、確実にHAJIMEに追い詰められていく。
相手のアクションから判断して、一枚ずつ相手の手札に無いモンスター
を呟いていく。
その上で《ゾンビ・マスター》をプレイし、攻撃を宣言。
それに対する《聖なるバリア-ミラーフォース-》にチェーンして
《スターライト・ロード》をプレイしようとするが、
対象は1体しかいない。
「さっき聞いてやったし…」


HAJIME 1-1 紀柳


Game:3
サイドチェンジ中に制限時間を迎え、エキストラデュエルで決着を
つける事となる。
HAJIMEは、ライフコストを擁するものを一切排除する。
両者意識を集中しての三戦目、先攻はジャンケンの結果、紀柳。
いつものように天を仰いでから、手札と向き合う。
泣いても笑っても、これが今年度最後の、二人の試合。

紀柳は、一体の壁と一枚の伏せカードを置いてターンを終える。
対するHAJIMEの初手にモンスターはいない。
ましてそのうち2枚が《デュアルスパーク》と、コンボカードを抱え、実質使える
カードは限られている。
相手と場を見つめる紀柳も、それに薄々と気付き始めた模様。
しかしHAJIMEは、動く。

《増援》をプレイ。即座に《E・HEROアナザー・ネオス》を選び、
エアトスのために墓地にモンスターを溜めないよう《次元の裂け目》を
張ってからそれを場に出す。
ここから残りターンで削られるライフポイントの計算を行い始める紀柳。
指を折りながら、計算機での計算も行い、《奈落の落とし穴》を発動する。
それには対応で《デュアルスパーク》、壁に用意していた《魂を削る
死霊》を割って、三枚の伏せカードを用意し、山口の強豪を迎え撃つ。

顔を抱え、手札を見つめる紀柳。
「あー」とため息をつき、目を閉じて次の状況を想定する。
次の相手ターンが終わればサドンデスに入り、後がない。
手札から《クレボンス》をキャスト、攻撃が通り、HAJIMEに傷をつける。
二枚の伏せカードを置いて終了。

返すHAJIMEはトップデッキの《神獣王バルバロス》を場に叩きつける。
HAJIMEの残る一枚の手札、それは二枚目の《次元の裂け目》。
再びライフポイントの計算を始める紀柳に対し、
意を決してHAJIMEは手札を投げ、伏せカードを表にした。

「《ライトニング・ボルテックス》を発動します」

同じ広島の華柳が《天罰》でそうしたように
再びこのテーブルに、
HAJIMEの思いを全て込めて
落雷が撃ち込まれた。

「強かった、トップバルバロス」
王者が屈した瞬間だった。

HAJIME 2-1 紀柳
Result:HAJIME Win!


見る者を魅せるマッチだったが、試合後、周囲のスタッフや対戦相手の
紀柳と共に、検討戦を始める。
用意された手札で、どう動くか。
次のトップデッキの可能性。
相手の対応。
あれをしたほうがいいのか。これをするべきではなかったか。
小さな可能性も限界の限界、さらにその限界まで検討し、詰めていく。
こういった、デュエルのたびの検討の積み重ねが、各地域のコミュニ
ティを引っ張るトッププレイヤーたちのプレイスキルを支えているに
違いない。


札は無数に存在する。
しかし、いつでも隣にいて、弱さを指摘し、補い、
ともに高みを目指して支え合っていける友は、唯一無二の存在である。

トーナメントは、勝敗だけでなく、友との「絆」をも深め合える。
そんな素敵な魔法空間である。

登録タグ: 遊戯王OCG  大会レポート 

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テーマ:日記投稿日時:2010/01/04 12:51
TCGカテゴリ: 遊戯王OCG  
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