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DuelPortalをご覧の皆さんこんにちは。そしてはじめての方ははじめまして。
カードゲーム「アンジュ・ヴィエルジュ」のプロデューサー・荒井です。気軽に荒井Pと呼んでください。

さて、前回のコラムでは「リンクを制する者がアンジュを制す」というお話をしました。今回はそこからちょっと踏み込んで「リンクを成功させるために、ランダム性を味方につけよう」という話をしていきたいと思います。
キーワードは“確率”。以下、実例を挙げて解説していきます。

▲B7-010《無限の可能性　日向美海》

たとえばこのカードであれば、リンクで山札を9枚めくり、その中にフレーム（この場合はΩ）を持つカードが5枚あれば成功です。成功すれば手札が2枚も増える上に条件が揃っているなら相手に直接ダメージ！超強いですね。ですがそこであなたは考えるわけです。
「このリンクははたして成功するのだろうか？」
デッキ内のフレームの数は16枚と決まっているため、その答えは確率で求めることが可能なのです。あ、ここからいきなり計算とか始まりますが別に難しい話じゃないですよ！荒井はバリバリの文系ですよ！



この場合、山札に残っているフレームは16枚中6枚であることがわかります（実際は裏向きで置かれているエナジーのカードにフレームが潜んでいる可能性がありますので多少の誤差は発生しますが、いったん忘れます）。つまりデッキ内のフレーム率は6/16＝37％。
このリンクではめくる枚数が9枚なので、フレーム率が37％であればフレームの出る期待値は3.3枚。成功のための5枚には届かない数字です。ダメージからフレームを発生させる「ダメージリバース」で＋1枚してもまだ足りない数ですので、この状態でリンクが成功する確率は「低い」と考えるのが自然です。

が、この確率はゲームの進行によって大きく変動していきます。
アンジュでは山札がなくなると捨札をシャッフルして新たに山札を作り直す「リメイク」を行いますが、その際にフレームでないカードは場に出たりダメージに置かれたりすることで数が減り、デッキ内のフレーム率が上がるいわゆる「圧縮」が行われています。また、リメイクするとゲームスタート時に置いていたレベル0のプログレスカードが山札に混ざり、これは1枚でフレーム二つ分の働きをするため、さらにフレームの期待値が増えるのです。

▲レベル0のプログレスはリンク成功の大きな助けとなる。 能力は全て共通なので、イラストの好みで選んでOK

リメイク直後です。リメイク時にはフレームを持つカードを1枚デッキから除外する必要があるので、その1枚だけが見えている状態です。
つまりそれ以外の15枚は全て山札に入っており、かつ1枚でフレームふたつ分になるレベル0も4枚あります。レベル0の4枚をフレーム8枚分と計算すると、フレーム率は23/42＝55％とかなり高い数字になりました。9枚めくれば4.9枚はフレームが出る計算です。実際は、リメイクが行われるほどゲームが進んでいれば何点かダメージが入っているのが普通なので、ダメージリバースも考慮すれば成功率はかなり高く、このリンクは成功する前提で使用しても問題ないでしょう。

このような要素を考慮してリンクをする順番などを決めていくのがアンジュの基本的なプレイングです。例えば、失敗してもいいリンクはリメイク前に使用し、絶対に成功してほしい本命のリンクはリメイク後のフレームがたっぷり入った状態で使用する…などですね。一般的なTCGではどう見てもデメリットでしかない「自分の山札を上から○枚捨札に置く」といったようなカードがアンジュでは平然と使われていたりしますが、これも「序盤で捨札にたくさんフレームが落ちてしまったから、リメイクに速く辿り着くために山札を削ろう」というテクニックだったりするわけです。

▲山札を削るだけでなく、選んで捨てられるものもある。 リメイク速度を速めつつ、デッキの圧縮も行うことができる

上の例ではわかりやすくするためにパーセンテージで表記しましたが、実際のゲーム中においては、そんなに厳密に計算することはまずありません。ざっくり「まだフレームそこそこ残ってるなー」「もうほとんど捨札に落ちちゃったなー」くらいの感覚でも十分です。

しっかり場の流れを読んで、「ここは決める！」という局面で使ったリンクがバッチリ成功するとやっぱりテンションが上がるものですし、その快感はアンジュ最大の魅力ですね。運命を自らの手で操作した結果「俺はヒトを超えた神に近しい存在だ」という気分になれます。みんな口に出していないだけでこっそりそう感じているはずです。
ただしこれはあくまで確率の話ですので、実際にその通りになるかはやっぱり未知数。意気揚々とドヤ顔で宣言したリンクで1枚もフレームがめくれなかったり、逆にどう考えても失敗しそうな局面で奇跡の大成功があったりで、そこの「ブレ」による意外性も面白いところだと思っています。

というわけで「アンジュは“確率”のゲームである」というお話でした。
あなたの周りにやたらとリンクが成功するαドライバーがいたとしたら、その人はきっとこういった細かな努力を積み重ねて、プログレスとのシンクロ率を高めているはずです。


第3回　アンジュのデッキ、可能性は無限大
次回はアンジュの「デッキ構築」のお話をしようと思います。実はこのゲーム、構築の自由度がめちゃくちゃ高いんですよ！



アンジュ・ヴィエルジュ公式サイト