仔猫の住む家


ブランニューからモンコレを再開しています。
まだまだ分からない事が多いですが、楽しみながらプレイ中。

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【小説】モンコレSS その2-1

 教皇庁の組織下には、聖杯騎士団や神官戦士団の他にも聖都防衛隊所属<天使の巣>――エンジェルネストと呼ばれる部署がある。つまりは名前通り、聖都サザンを防衛する事が任務であり、悪魔を倒す為に設立された部署ではあるが、ここ最近は外回りの仕事の方が多い。と言うも、組織下では下の下。掃き溜めの部署でもあり、出世のできない部署でも有名の事から、汚れ仕事の方が多くなってしまっている。
 制服カラーは白に青いラインが入っている至って普通の物を着用している第二小隊の中隊長マリア・チェトケルは、お昼休憩を終えた午後に新たな任務を上司である対悪魔戦中隊トミー・グルマン中隊長から言い渡されたのだった。
 その内容と言うのが、聖都サザン郊外の町キエレで火炎樹の森の守護獣でもあるファイア・ドラゴンが突如として出現した為、早急に調査をしろとの事。
 ただ、今回は情報が情報なだけに、キエレの町には知人もいる事からマリアは一人依頼調査の為、千夜一夜に向かったのだった。
「それで、この辺りでファイア・ドラゴンが出没したって聞いたんですけど」
「あぁ、その事か」
「何か知ってるの? まさか、もしかしなくてもまたリュナイさんが関わってるんじゃないでしょうね」
「別に、お前に隠す気なんかねぇよ。ただ、ちょっとしたアクシデントで天井に穴が空いただけだ」
「それならいいけど……フィーちゃんは何か見たりしていない?」
「お昼は木の実の採集をしていたので、私も詳しくはちょっと……」
「あ、フィーちゃんのお菓子美味しいよね。今度は何を作るの?」
「苺タルトに、苺のムース、あとは苺のジャムです。マリアノさん」
「そう。もしよかったらまた分けて貰ってもいいかな? ナナもそうだけどフリーダさんやイオニアさんからもフィーちゃんの作るお菓子は美味しいって評判なのよ」
「ありがとうございます。作り終わったらサザンに持って行きますね」
「いいのいいの。最近は、サザン近郊までゴブリンが出没して女子供をさらっているって報告があったから、フィーちゃんも気を付けてね」
「ゴブリンなんざどこにでもいるだろ? それに人さらいは何もゴブリンの専売特許じゃねぇ。まぁ、オークの方が質悪いがな」
「マスター、話し合えばどんな相手でも理解して頂けると思います」
「それは話し合いの通じる奴だけだ。この世界の全員がフィーみたいな奴じゃねえ」
「……それでも、私は話して分かって貰えるなら、争いはしたくありません」
「偽善だな。いや、そうさせたのは俺か……」
「はいはいはい! なんだか暗いですよ二人とも。リュナイさんと違って、ほんとフィーちゃんは礼儀正しくて心優しいんだから。リュナイさん、二人暮らしだからってまさかフィーちゃんに変なことしてないですよね」
「用が終わったならさっさと帰れマリアノ。だからお前は、へっぽこ召喚術師なんだ」
「わっ、わたしだってこれでも小隊を預かっているんですよ。――って、あんただってわたしがいなきゃ肉体の顕現もままならないでしょ」
 二総に分けた蒼み掛かった長い髪の毛と、裕福な胸元を揺らしながらマリアは誰もいない場所で叫んだのだった。リュナイはいつもの事ながら、マリアを眺めていた。
 マリア・チェトケルは田舎から家出同然に聖都サザンに旅立った落ちこぼれである。大学院の入学に失敗したマリアは一年間傭兵として学資を稼ぎながら、とある事件に巻き込まれて挙句の果て行き着いたのが、エンジェルネストだった。
 17歳と言う若さで中隊長まで上り詰めたのは、単にマリアの才能と言うよりチェトケルと言う英雄の血筋が物を言っているのだろうか。母親は聖エルドの神官戦士であり元聖女でもある。逆に父親は平原の悪魔と言う異名を持つ大罪人であるが、それは表向きでいままでに裁く者<ジャッジメント>の暴走、空中庭園の落下阻止、太陽王の覚醒と偉業を成し得ている。その為か、故郷である東部のモーングロシア地方を初めとする各地で彼を英雄視し、大学院では多くの生徒が彼を目標に召喚術の勉強を行っていたりする。
 リュナイもまた、彼を尊敬していた。
「マリアノさんは、いつも誰とお話しされているのでしょうか?」
「馬鹿フィー。あれはただの仕事のストレスだ。俺達には見えないものが、マリアノには見えているんだ。だから、可哀想な奴だとか思ってやるなよ」
「……見えないお友達でしょうか?」
「だ、誰がこんな奴。友達でも何でもないのよフィーちゃん」
「そ、そうですか……」
「そうそう」と、マリアが言いかけた時、2階から階段を下りる足音が聞こえると、長身痩躯の青年が現れた。目つきが悪く、何より驚いたのは炎のように燃える長くて赤い髪の毛だった。年齢はリュナイよりすこしばかり幼いようにも見える。
「話し声が上にまで聞こえていたぞ貴様達。やっと姫が眠りに付いたと言うのに」
「綺麗な人。宿屋のお客さん?」
「知らん」
「まったく、貴様は相も変わらず目つきが悪いな。なぜ、姫はわざわざこの男の元へ――なんだ、この女から溢れる匂いは?」と、リュナイを睨んでいた赤毛の青年は、マリアに視線を移す。
「まるで熟した果実のように甘く、蜂共の女王が分泌するそれのように、このオレの頭を刺激する……人間の女、名は何と言う」
「わ、わたし? あ、……マリアです」
「マリア。良い名だ」
「ちょっ! いきなりどこを触って……」
 まるで一目ぼれでもしたのか、赤毛の青年はリュナイとオフィーリアの視線を気にせずマリアに抱き付き、リュナイはオフィーリアの両目を手で覆ったのだった。
「貴様、オレの女になれ」
「は? ちょ、ちょっと、いきなりなに――って、誰があんたに身体を貸すかぁっ! もっと大変な事になるじゃない! い、嫌よ。この、ゲイ堕天使! って、どっちも一緒でしょ?」
「さっきから何を喚いている」
「何って……ひ、独り言よ。独り言。そ、それよりリュナイさんも見てないで助けて下さいよ」
「別に、お前がどこの誰と付き合おうと俺には関係ないが、フィーの目の毒になるだろ? するなら宿屋の外でやれ」
「そんな。ちょっと、あんたも煽らないでよフレイム……今回の仕事は終わったんだから」と、身体を締め付ける赤毛の青年から逃れたマリアは早々に宿屋の外へ出ようとする。
 仕事を終えたマリアは颯爽に聖都サザンへ帰ったのだった。
「あいつ、何しに来たんだ?」
「ノエルさんが召喚したファイア・ドラゴンの件だと思いますけど。それより、この方はどなたでしょうか?」
 リュナイの手から視界が解放されたオフィーリアは、落ち込んでいる赤毛の青年へと視線を向けたのだった。

登録タグ: モンコレ  二次創作  書いてみた 

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テーマ:たまには小説の話でも投稿日時:2012/06/11 01:32
TCGカテゴリ:
表示範囲:全体
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現在“3件”のコメントがあります。
私服いつも 如月くおん さん [2012/06/11 01:42]
モンコレSS2回目の更新です。
その1の時は思った以上に容量が大きかったので、今回は2分割する予定です。そして、ようやく念願のチェトケル筋を出す事ができました。キャラ崩れしないように頑張りましたが、どうなんでしょう(汗)
問題なければ、週一程度にモンコレSSの方は更新していきます。
無題 TASUKU さん [2012/06/13 22:44]
こんばんは。
マリア来ましたね。エンジェルネストとかまた懐かしい名前がw
キャラは同じでも世界が異なっているとどう変わってくるのかも楽しみに。

ところで「異形を成し」→「偉業を成し」?
私服いつも 如月くおん さん [2012/06/14 06:04]
>「偉業を成し」?
完ぺきな誤字ですね(汗)

今回マリアは脇役なので、体質やフレイムの会話は他人には分からないようにしていますので、初見の方は「召喚士マリア」を是非是非参考にして頂ければと思いますww

また、何周目かの世界の為、ブシモンスターも登場させますよww