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紺碧海の女王

(1)
水色の肌に濃紺の髪。美女の上半身と、様々な生物の下半身を併せ持つ彼女たちは『スキュラ』と呼ばれる種族。一見外観が似ている『ラミア』とは異なり、スキュラの生息圏は澄んだ海の中である。
そんなスキュラ住む海の名は『紺碧海』。深い深い、きれいな水が濃い紺色に見えるほどの深海で、彼女たちはひっそりと暮らしていた。
(2)
《ヒドラヘッド》は竜頭の下半身を持つスキュラ。分類上はドラゴンに属するが、その頭は竜というより蛇に近く、鋭い牙には猛毒を持っている。複数ある頭に噛みつかれたが最後、噛み砕かれることを免れたとしても、注入された神経毒で、身動きできずに死に至る。
(3)
紺碧海の王族、『蛇姫』。彼女たちは通常のスキュラと違い、極めて人間に近い肌や髪の色をしている。
魔海の襲来によって絶滅したかに思えた蛇姫一族であるが、代替わりをしてその血脈は継続されていた。
《黒蛇姫メナス&アステル》はスキュラの若き姫君。スキュラには珍しい双生児で、なにかしらの兆しではないかと言われている。寄り添う二人は仲睦まじく、自身の生まれを幸福の産物だと感じているようである。
(4)
目の前に開けたのは果てしない大海原。
紺碧の海と蒼穹の空は溶け合わさり、輝く太陽は水平線を揺らめかせる。
いつか、まだ見ぬ世界へと。
この景色を見た僕らは、たとえどんなに遠くだろうと、どこへでも行けるような気がした。
どこまでも、どこまでも。
(5)
魔海の襲来で命を落とした先代カシオペアの意思を継ぎ、その妹が《赤蛇姫カシオペア》の名を継承した。碧い海の中で一際目立つ赤の鱗は、彼女が蛇姫の一族であることを雄弁に物語っている。
しかし、自然界において鮮やかな色は有毒の証。カシオペアの猛毒に当てられた者は、体の内側から燃えるような痛みに苛まれるという。
(6)
スキュラの下半身は様々な他生物の形をしているが、悪魔の下半身を持つ《デーモンヘッド》はスキュラの中でも異彩を放つ存在である。
《デーモンヘッド》は召喚術師の如く、限定的ながらもモンスターを呼び寄せる力を持つ。
それは本当に悪魔から与えられた力なのか。王族でない通常のスキュラがなぜこのような力を持つに至ったのか―疑問は尽きないが、答えが与えれらることもないだろう。
(7)
《ドラゴンヘッド》は竜の下半身を持つ巨大なスキュラ。本家のドラゴンほどの大きさはないが、中型の船なら軽く転覆させられるほどの体躯を持つ。
獲物に襲い掛かる竜の顎には無数の牙が並び立ち、津波と共に迫り来る様は悪夢の如く。《ドラゴンヘッド》に狙われた者は、荒れ狂う流水よりも鋭い毒牙によって命を奪われることが多い。
(8)
深海には、未知の生物が棲息する。奇妙な構造の体を持つもの、異常な魔力を溜め込むもの、そして通常では考えられない大きさに進化したもの。
《鋼玉蟹フロックハート》は永い年月を経て凄まじいまでの大きさに成長した蟹。鋼の甲殻はあらゆる外敵をはねのけ、蟹族の必殺技『カニばさみ』は他の蟹の追随を許さないほどに洗練された一撃である。
(9)
深い深い、海の青―紺碧の海の色は、スキュラの言葉で『インディゴ』と呼ばれている。
《インディゴ・フュージョン》は体の一部の組成を作り変える呪文。元々様々な生物の下半身を持つスキュラが、さらに他の生物と融合したかのような潜在力を発揮し、一時的に身体能力を向上させることができる。
(10)
かつて『禁蛇姫』と名付けられた、蛇姫王族の異端児が存在した。『白蛇』の直系の血を引いていながら、彼女の下半身の蛇の色は白ではなく青。禁忌の表れを恐れた王族達は彼女に『禁』の名を与えた。
そして訪れた、魔海の襲来。かつての王族たちは全滅し、スキュラの未来そのものが危ぶまれた。
紺碧海の危機に、難を逃れた禁蛇姫は覚醒する。彼女は短期間に脱皮を繰り返し、自らの体に負担を強いることで強制的に成長したのだ。結果、下半身の蛇も美しい純白に変貌し、彼女は《白蛇姫アンドロメダ》を正式に継承した。
新たな王国の再建と世界の危機に対し、彼女たちは奔走している。

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テーマ:バックボーンストーリー投稿日時:2014/10/08 20:13
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