DuelPortal トレーディングカードゲームコミュニケーションツール

《ジェイス》は疲れていた。
彼が接触しようとした全てのものは、解明しようとするたびに、よりもつれた結び目と鳴る。
《テゼレット》と《リリアナ》、ウギンの目とエルドラージ…
《ジェイス》はその手に余りすぎるもの達に耐えてきた。
そして今、彼の知るただ一つの故郷のような場所「ラヴニカ」へと帰ってきた。
しかしその懐かしい大都市の数えきれない人々と路地の中に埋もれても、《ジェイス》の不安は消えなかった。
単純に忘れてしまうにはあまりに多すぎる多元宇宙の出来事を見てきてしまっていた。

---

壁の中に閉じ込められた精神を連れ出してくれるような、無意識の深淵から這い登って知られざる過去や未来の恐怖といったもののいくらかを気づかせる精神の蜘蛛を取り払ってくれる何か…そんなものが必要だった。
そしてそれは「ラヴニカ」にあった。
彼はギルドについて、街路の迷路について、そして《竜英傑ニヴ＝ミゼット》についての研究を始めた。
新たな”イゼット団”の研究室と仕事場は、一見無秩序に開かれているように見えた。
しかし《ジェイス》は知っていた。
表面上はでたらめな活動をしているドラゴンの指導者率いるギルド。
そこにはいくつかの根本的な法則があるのだ。
そしてもうひとつ"ディミーア家”の復活も彼の関心事項だ。
彼らに《ジェイス》は"無限連合”の姿を見た。
不吉な秘密主義という内部を今も彼らは隠している。

---

《ジェイス》はこれといって特徴のない、平凡な地区の平凡な区画に店を立ち上げた。
この都市次元には何か特別なものがある。
そうは感じても、彼には全くもってそれが何なのか的確に指摘することはできなかった。
しかし古の秘密は、彼の調査が「ラヴニカ」の隠された過去と不確かな未来を深く掘り下げるごとに開かれていく…

---

生から死へ。死から生へ。永遠の連環。
それを野望からかき乱すものには意味深い死を。
ある者の存在の連環は、彼らの生き方によって終えられるべき。
真に暗き根の中、それのみが反復を駆り立てるだろう。

---

数年前に起きた"ゴルガリ団”の暴動。
"アゾリウス評議会”によって騒ぎを起こした者たちは捕らえられていた。
拘留所に入れられた囚人たちの何人かは、反逆を起こし、拘留所の一部を占拠したのだった。
残った囚人たちを別の場所に移送する途中、事件が起こった。
囚人の中にやせ衰えたゴルゴンがいた。
彼女を武器として使い、脱走を企てようとした者がいた。
自力で束縛を破った一人の囚人が、ゴルゴンの目隠しを外し、戦いに加わらせた。
"アゾリウス”の守衛と格闘になったゴルゴンは、組み敷かれ、何度も何度も肘を叩きこまれた。
残された力でなんとか反撃し、束縛から逃れた彼女の側頭部から血が吹き出した。
彼女の頭が横を向き、ちらつく光が彼女を飲み込んだ。
次の瞬間、もうそこに彼女はいなかった。

---

ついに彼女が裁きを下す時が来た。
数年前に起こった暴動、その鎮圧に関係している者達を、彼女は暗殺者とともに殺してきた。
腐りきった司法に罰を与えるのだ。
「お前の『守衛』に殺されそうになった直前、私はこの世界から引き離された。出口のない暗黒の墓所に放り出された。」
復讐すべき最後の一人、暴動の鎮圧を許可した者の喉首を掴みながら《ヴラスカ》は言う。
「そこを脱出する方法を、世界の境界を越える方法を学ぶまで、まるで障害を費やしたように思えた。だが久遠の中に囚われている間、私は決意した。あらゆる者がそれに値する死を受け入れねばならないと。」
目を開かせ彼を石化させると、《ヴラスカ》と暗殺者はその場を立ち去った…

---

今後のストーリーも気になる「ラヴニカへの回帰」10月5日発売！
( <<  3 / 3  >> )


Magic:The Gathering