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[2015/07/28 17:05]

様々な業種・視点からアナログゲーム業界を見る「ブシロードTCG内覧会」セミナー(前編) ( 3 / 3 )

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世界が注目する日本のボードゲーム市場とは?
株式会社アークライト 代表取締役 福本皇祐 様

3番手は、カードゲームショップホビーステーションの経営の他、様々なボードゲームを手掛け、ボードゲームの同人イベント「ゲームマーケット」も主催する、アークライトの福本氏。
テーマはトレーディングカードゲームと類似する点もある「ボードゲーム」。
トレーディングカードゲームとボードゲームの商品特性の違いを比較した表を見ながら、世界が注目しているという現在、そしてこれからの日本のボードゲーム市場について話しました。
▲株式会社アークライト 福本氏▲TCGとボードゲームの商品特性の違い


TCGとボードゲームの商品特性の違い

いろいろと事業をやっているなかで十数年前からボードゲームをずっと手掛けていまして、今日はTCG専門店やっているみなさまにボードゲームという新しい商材についてすこしでも知ってもらえればと思いお時間をいただきました。
最初に表を1枚ご用意しました。本日は基本的にこの表をかいつまんでご説明していきます。
TCGと比較して、こういう商材なのだとご理解ください。
 市場規模キャラクター性セカンドマーケット客単価販売特性(鮮度)商品種類商品特性
TCG大きい高い有り高い(回転率)短期間少ないコミュニティー型
ボードゲーム小さい低いほぼ無しやや高い長期間多いコミュニティー型


ここで唯一共通しているところが商品特性「コミュニティ型」ということです。
TCGもお客さんが何故集まるかというと、TCGって一人では遊べない、相手がいないと遊べない。お店に行くと仲間がいるわけです。
ゲームをやるよりも仲間とTCGの話をすることが楽しくて、お客さんは集まるわけですね。
ボードゲームもコミュニティ型なんです。相手がいないと遊べない。会ってゲームをやる楽しさよりもゲームのプレイの中で、仲良くなって雑談したり、そのまま飲みに行ったり、むしろそっちの方が面白いかもしれない。
そういうお客さんを集めてコミュニティを作って、そこから商売をしていくという点では共通と言えるのではないかと思います。


世界のボードゲーム市場の規模

TCGは、玩具白書の統計データですが、600~700億程度の市場規模と言われています。
一方で日本のボードゲームはどれくらいの市場なのか、私の考えですがおそらく50億くらいの規模ではないかと思います。
セカンドマーケットも無いということで、そんなに大きく無い、美味しくない市場ではないかということになります。

日本ではたった50億ですが、世界を見ていくと桁違いに大きい。
例えばボードゲーム大国であるドイツがちょっと古いデータですが2006年次点で400億くらい。最近ドイツをしのぐボードゲーム大国であるフランスが大体300~400億。イタリア、チェコ、ポーランドなども凄い勢いで伸びていて、ヨーロッパ全土では1000億くらいの市場があるのではないかと見ています。またアメリカでもボードゲーム規模は大きく数百億規模はあると思います。
さらに最近中国、韓国、台湾などアジアでもいろいろなメーカーが台頭していて、日本だけで見れば小さいですが、世界を見るとものすごく大きなマーケットが存在しています。


何故、今日本のマーケットが注目されている?

では、世界的には小さい日本の市場が注目されているのか。
今から12~3年前は、日本から来たというと、いくら一生懸命売り込んでも見向きもされませんでした。
それがちょっと変わってきたのが、ここ6~7年前くらい。ドイツのエッセンで開催されている世界一のボードゲームイベントで日本のボードゲームNPO法人が馬鹿にされながらもしつこく営業していった結果、徐々に「日本人の考えていること、面白いじゃないか」ということで、日本人のゲームデザインを登用してライセンスにするというメーカーが出てきました。

その中で何人か注目されるゲームデザイナーが出てきまして、カナイセイジさんの「ラブレター」というゲームがドイツ、アメリカで数十万本と世界的にヒットしたことで「日本て意外にやるんじゃないか」と風向きが変わってきました。

最近で驚いたことと言えば、グランディングという会社の「街コロ」というゲームが世界でもっとも権威ある賞「ドイツ年間ボードゲーム大賞」(映画で言えばアカデミー賞のような賞)にノミネートしたことです。残念ながら大賞にはなれなかったものの、(日本のボードゲームが)ますます注目されるようになったと考えています。


世界でも類を見ないボードゲーム同人イベント「ゲームマーケット」

日本にはコミックマーケットという世界最大の同人誌イベントがあるわけですが、実はボードゲームの世界にも私共(アークライト)が主催している「ゲームマーケット」というイベントがあります。
16年前の第1回は(参加者)400人からスタートして、今年5月には約1万人集めるまでになりました。
何がすごいのかというと、世界でボードゲームの同人イベントをこれだけの人数集まって行うのは日本だけなんです。
その中でいろいろなタイトルが発表されるわけなんですが、今年の春には220種の新作が発表になり、年間で400程のタイトルが出ています。
海外の知り合いにその話をすると驚かれる。そんなの世界中で日本だけだと言います。
その中で出て来るものも、海外からすると考えられないものが次々出てきています。

カナイセイジさんの作った「ラブレター」もわずか16枚のカードだけで遊べるということで、世界で衝撃を与えました。
海外のドイツなどのゲームは大きな箱に何枚ものボードやカードやチップなどいろいろなものが入っているわけです。
ところが、日本人が作るものはたった16枚のカードで遊べるゲーム。「よくそんなアイデアが出るな」ということになります。

今、アメリカとかヨーロッパとかいろいろな国の人が、どんどん日本にヘッドハンティングに来ています。
ゲームマーケットの会場に行って、いち早く日本人の有能なクリエイターをいかに早くひっぱるかというように動き始めています。
これから日本で作ったゲームが世界で伸びていくというような流れができていくのではないかと思います。


TCGショップでの取り扱いについて

今日の話を聞いて、今TCGショップでボードゲームを入荷したとしても、残念ながら売れないと思います。専門店を出したとしても、まだやれば売れるというものではありません。

では何故こんな話をしているかというと、ブームというのはマスコミなどで宣伝されたときは、ピークの半年、1年後で、それから始めてもブームは終わってしまった後ということもある。
トレンドというのは最初に入っておくのが重要で、上がっていくときに入っておくことで初期のメリットを得ることもできます。

明日からすぐにやってみましょうというのではないのですが、新しいものを獲得していくということで注目していく必要はあるのではないかと思います。

今、(ボードゲームの)マーケットがどのくらい増えているのかと言いますと、先ほどのゲームマーケットは毎回やる度に入場者数が20%程増えている。
ボードゲームの売上、出荷数量でもおそらく昨対で毎年20%くらい増えている。この不況の中で、これだけ成長している稀有なマーケットですので、今後面白い商売になっていく可能性はあるのではないかと考えています。

今日の私の話をきっかけとして、ボードゲームを「研究してみようじゃないか」という話になれば、お話したかいがあったと思います。

ボードゲームはこれから非常に面白くなっていくと思います。
是非ご興味を持って、これからチャレンジしてみてはと思います。

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