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[2015/07/28 17:05]

様々な業種・視点からアナログゲーム業界を見る「ブシロードTCG内覧会」セミナー(前編) ( 2 / 3 )

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大型イベント開催の前に押さえておきたい5つのポイント
カードショップ・オーガ 統括 鈴木竜太 様

続いての講演は、カードショップ・オーガの統括を務める鈴木氏による『大型イベント開催の前に押さえておきたい5つのポイント』。
ご自身のいままでのイベント開催の経験則から、100人から300人程度の1店舗で開催可能な範囲の大型イベント開催に際しての注意点などを解説しました。
▲大型イベント開催の前に押さえておきたい5つのポイント▲カードショップ・オーガ 鈴木氏


ポイント1 参加者について(ターゲットをどこに絞るのか)

タイトルのエリア内のプレイヤー人口がどれぐらいいるのかというのがまず1つ目のポイントです。
会場から1時間以内で来られる範囲の公認大会や非公認大会の情報を集めることで、おおよその参加人数を割り出すことができます。

参加費の設定は通常500円~1000円。1500円以上の場合参加者を集めるのは難しくなります。

参加人数の目処がついたところで、80%の出席で赤字を出さないような料金設定がベターです。
(500円の参加費で定員が100人ならば、参加費収入は5万円なので、その80%(4万円)で諸経費を賄う)

事前の受付等について告知は早めに、2か月前にアナウンスした上で、受付自体は1~2か月前から開始されるのが通常かと思います

受付の方法は、インターネットのフォーム入力。もしくは予約サイトを使ったご予約がお客様にとってはハードルが低いです。
次にメール、その後がお店への電話、さらには直接店舗でのご予約という順にハードルは高くなります。

店頭受付だけでは、遠方からの参加者が集まりにくいので、ハードルは下げておくに越したことはありません。

参加者から、イベントの傾向は大きく2種類に分けられます。
まずは競技志向のイベント。こちらを開催するメリットとしては比較的参加人数、規模が読みやすい。
競技志向のプレイヤーは、その他の予定よりも大会を優先していただける可能性が高く、予定が組みやすくなります。
デメリットとしては、カジュアル志向のゲーマーはこの手のイベントには参加しない可能性が高い。
そのため参加人数がある程度で頭打ちになりやすいです。

次に、遊戯志向(カジュアル志向)のゲーマー向けのイベント。こちらのメリットは、母集団が非常に多いことです。

パックを購入される方が100人いるとして、その中で公認大会に参加される方は恐らく10人から20人程度だと思います。
それ以外の方は、例えば友達の家であったり、身内で遊ぶので大会にはいらっしゃらない。
ただ公式イベントの中でもカジュアル寄りな大ヴァンガ祭やしろくろフェスなどに参加する可能性は高いです。

公式イベントでもグランプリ的なものよりも、大ヴァンガ祭の方が圧倒的に参加者が多いのは明白なので、イベント規模を多くしていくのであればメリットの1つであると思います。

デメリットとしては、カジュアル志向のプレイヤーは大会参加へのモチベーションが低く、よほどの動機が無いと足を運んでいただけません。競技ゲーマーの方はメインの対戦イベントを1つ用意しておけば基本的にご納得いただけるのですが、カジュアルゲーマー向けですと、ステージイベントや抽選会など、その他の要素で盛り上げなければいけないということで、運営の工夫や手間がかかってきます。


ポイント2 会場について

法人でイベントを開催する場合、あくまで最終的に黒字を出さなくてはいけません。例えばスタッフを10人用意すれば10人分の人件費がかかるわけで、それを参加費だけで補うのは非常に難しい。そのため、物販などで補う必要があります。必然的に物販が可能な商業施設を使用することになります。

(資料などに)会場の定員は書いてありますが、それは快適にゲームがプレイできる定員では無い場合もあります。実際は1人当たり一畳(1.6平米)程度を目安にすると快適になりますので参考にしていただければと思います。

場所によっては机と椅子が別料金になっている場合もあり、一見安そうに見えるのですが、結果高くなってしまうケースもございますので、申し込みの際は注意してください。一脚60円でも100人分なら6000円です。


ポイント3 タイムスケジュールについて

場所をお借りして運営しているものですから、当日は時間との戦いとなっていきます。
何時間使えるのか、設営時間は別途取れるのか。設営は机を並べるだけでも1時間くらいかかってしまいます。
また、受付も1人あたり30秒としても、100人いたら50分、説明が増えたり参加賞を選べるタイプであったりするとさらに時間がかかってきます。
大会も1戦30分のゲームですと組み合わせに最低10分、エクストラターンのあるゲームならばさらに5分~10分。スコアシートの提出なども会わせて1戦50分は見ておかないと回らないという計算になります。

128人、7回戦の大会で6時間弱。会場を8時間で押さえていたら会場設営と受付、大会だけで終わってしまいます。これに予選リーグ、決勝リーグをやろうと思ったら会場は10時間~12時間押さえないといけなくなります。これだけ余裕をとってもいろいろなことが起きてくるので安心はできません。

(3人チーム戦なら)回戦数はそのままで、3倍の人数まで対応できますので、最近ではチーム戦を開催することが非常に増えてきています。
個人参加と違い、チーム戦ではキャンセル・欠席の割合も減りますので、その点でもお勧めです。


ポイント4 スタッフについて(必要な人数・役割)

ここまで決まれば、あとはスタッフをどれだけ用意するかということになります。
まずはフロアジャッジ。会場内をまわる、所謂ジャッジとよばれる人です。会場やイベントの案内、ルールなどを誰に確認すれば良いかを把握して、すみやかに大会を進行する役目を持っています。
フロアジャッジの人数ですが、競技志向のイベントの方がジャッジを呼ばれる回数が多いので、競技志向のイベントであれば参加者30人あたりに1人 カジュアルなイベントであれば50人あたり1人いれば十分かと思います。

次にヘッドジャッジです。ルールに一番詳しい人で、フロアジャッジと兼任してもかまいません。
基本的にこのイベントではヘッドジャッジが一番偉い、何かあってもヘッドジャッジの裁定が最優先されるというのを開会式などでお客様に周知しておくことがトラブルを防ぐために重要なことになります。
これを言っておかないと後でトラブルの元になりますし、当日の場を収めることが非常に難しくなります。

その他にタイムキーパーとスコアキーパーを用意します。
タイムキーパーはその名の通り時間を測る仕事、スコアキーパーはプレイヤーの点数やいわゆるオポーネント(順位計算に必要な成績)の計算を行います。
今ですと、そういった(対戦成績の)計算をするソフトもありますので、そういうものを使うことも多いかと思います。

それとは別に司会の方、イベント全体の進行を把握してアナウンスされる方がいればやりやすいかと思います。


ポイント5 収支について

法人がイベントを開催する理由は直接間接を問わず最終的には収益を上げることになります。
オーナーさんが「そのカードゲームが好きで、いくら赤字が出ても続ける」というので無い限り、赤字のイベントは続けることができません。

支出は会場費、設備利用費、人件費、賞品代、名札などの備品費。得るものはお客様の満足、感謝の言葉、そして少しのお金。
皆さんも是非大型イベントの開催に挑戦していただければと思います。


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